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Nov 28, 2006

対アフリカ兵器輸出

ホワイトバンドが話題になったときに、

「ホワイトバンドを仕掛けた本家本元のイギリスは、アフリカに兵器を売りまくっている。つまり、ホワイトバンドとは債務免除で捻出した資金でイギリス製の兵器をアフリカ諸国に買わせるための運動なのだ」

という陰謀論が囁かれていました。それに対して私は、「イギリスに、アフリカの貧困国に買わせるような品物があるかよ」と否定的な見解をとっていたのですが、面白い資料を見つけたのでメモ。

Conventional Arms Transfers to Developing Nations, 1998-2005 (PDF)

これは、アメリカの CRS (Congressional Research Service) がまとめた報告書なんですが、注目は 83 ページ目の表「Table.7 Number of Weapons Delivered by Major Suppliers to Africa」。これを見ると、アフリカ向けの兵器輸出では「ロシア、中国、英仏独伊以外の欧州諸国」が大半を占めている、という現実が一目瞭然です。

まあ、これは「輸出」の話ですから、軍事援助と称して無償供与した分はカウントしていないでしょうが、イカリング騒動のときに流布されていた内容に疑義を呈するためのネタ元としては、信憑性があるんじゃないでしょうか。と書くと、アメリカ議会がまとめたものだという点にイチャモンをつける人が出てくるのは想定の範囲内ですが、別にウソをつく理由もないですしねぇ。世界全体で見るとアメリカがダントツ 1 位、という数字はちゃんと出てるわけでして。

ついでに書いておけば、アメリカが FMS 経由で行う兵器輸出は DSCA (Defense Security Cooperation Agency) がいちいち議会に通告しているし、議会が反対なら阻止する権限もあるので、"すべて闇の中" ってことはないです。

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Comments

東急ハンズで工具を買った首相がNATOの会合で演説するそうです。その時のOption。「中国に武器技術を売らずに、アフリカに売れ」「アフリカの市場を奪って、中国の武器製造メーカーの生命線を断て」「中国に武器技術を譲らないかわりに、アフリカの市場を譲って顔をたてて呉れまいか?」3つめは踏んだりけったり。
1つ目で、NATOが主導して正規のルートでコンプライアンスを重視し、小型武器規制の枠組みを活かして、非対称戦に兵器の流出を来さない様にしましょう。という話をできれば、NATO新規加盟メンバーの顔も立つ?
小型武器といえば、
http://www.k-inoguchi.jp/2004jpn13.htm
あれ、ちょっと間違えかな?

Posted by: sionoiri | Nov 29, 2006 at 07:05 AM

もともと「武器が強い男の象徴」みたいなマッチョな雰囲気がある土地みたいなので、供給源だけ絶っても、紛争だけ絶っても解決しそうになくて、鬱になります。
いまさら「暗黒大陸に戻してしまえ」というのは荒唐無稽ですし、それをやっても流入済みの武器はどうにもならないですしねぇ。

Posted by: 井上 | Nov 29, 2006 at 12:12 PM

こうした統計は額より数が重要ではないでしょうか。カラシニコフを幾ら売ってもたいした額にはならない反面、恐らく流れ込んだ地域の紛争の発生確率(&予想される犠牲者数)は跳ね上がると思います。
ルワンダでもフランスが武器供給してた事が問題になっていましたが、FAMASを持ってる民兵なんて見たことがないし、何を売っていたのかは疑問でした。ていうか虐殺の大半はナタと棍棒だったというし…

勤め先の近くの本屋には未だにイカリングがあって見るたびにいたたまれなくなります。

Posted by: flanker | Nov 29, 2006 at 11:20 PM

おっしゃるとおりです。アメリカ、あるいは西欧諸国製の兵器は値段が高いので、数量ベースのシェアと金額ベースのシェアにはだいぶ差が出ます。ちなみに、件の報告書で 83 ページに載っているのは数量ベースの数字です。

Posted by: 井上 | Nov 30, 2006 at 12:10 AM

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