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Apr 18, 2007

え、ヨーロッパで軍事費削減 ? (その 2)

え、ヨーロッパで軍事費削減 ?」の続きです。

SIPRI (ストックホルム国際平和研究所) が公開しているデータベースを使って、1998-2005 年の国防予算をヨーロッパの主要国について調べてみました。ドル建てに換算すると為替変動の影響が出て正確さを欠いてしまうのと、それぞれの国における相対的な変動トレンドが分かればいいという理由で、通貨圏別にグラフ化してみました。いずれも、クリックすると別ウィンドウで拡大します。

まずユーロ圏諸国。

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これら諸国の分を合計してみました。

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グラフの左端と比較すると、三割・四割増は当たり前って感じです。特に 2000 年代に入ってからの伸びが目立ちます。

次にイギリス。

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特に 2000 年代に入ってから、激しく伸びてます。
微増なのは昨年度から今年度にかけてだけでした (汗)

次にデンマーク、ノルウェー、スウェーデン。

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スウェーデンだけ、2000 年代に入ってから減っていますが、顕著な減少というほどではありません。1996 年の極端な落ち込みが謎です。

※追記 (2007/4/20)
なんていっていたら、"Sweden Considers Defense Budget Increase" なんて記事が DefenseNews.com に載っちゃいました。

最後にスイス。

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1990 年代に落ち込んだ後、おおむね横ばい傾向です。


これでヨーロッパの主要諸国はだいたいカバーしているはずですが、その他の国は金額的に小さいので、全体傾向に大きな影響を及ぼすかどうかは疑問です。それに個別に見てみたところで、東欧の NATO 新規加盟国なんかは軒並み国防予算が上げ基調ですから、持ち出すだけ藪蛇ってもんです。

実際には、単なる国防予算の多寡だけでなく、インフレも考慮に入れる必要があります。といっても、ジンバブエあたりならともかく、ヨーロッパでそんなとてつもないインフレって起きてたでしょうか。
それに、ここでは取り上げていませんけれど、SIPRI のデータベースには対 GDP 比の数字も載っていて、そちらは 2000 年以降、おおむね横ばい基調。つまり「削減して軍縮」っていう風情じゃないのは同じことです。

あと、おカネ以外の話をすると、EU 諸国が独自に EUFOR を編成してボスニア・ヘルツェゴビナに送り込んだのも、NATO が緊急事態に備えて NRF (NATO Response Force) を編成したのも、これみんな 2000 年代に入ってからの話。ヨーロッパ諸国が軍事的オプションの放棄に向けて動いているわけではない、ということの傍証になります。EU はコンゴにも平和維持部隊を送り込んでいますし。


で、どこのヨーロッパが軍事費を削減して軍縮に向かってるんでしたっけ ?

辻元さん、あなたが仰るヨーロッパって、どこのヨーロッパ ?

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Comments

「中国」は集団的自衛権ではなく、「一国」的安全保障です。軍「人」を削減し軍縮に向かっており、歯止めを作っています。
お金の事は判らない〜〜って…
日本だって旅団を「増やしてるぞ!」

Posted by: sionoiri | Apr 18, 2007 at 08:36 PM

組織や表面的な数字をチョイチョイといじって、軍縮しているように見せかけるテクニックもアリかも…

Posted by: 井上 | Apr 19, 2007 at 01:27 AM

> どこのヨーロッパが軍事費を削減して軍縮に向かってるんでしたっけ ?
米軍基地がなくなるアイスランドとか…
さんざ引き留めたじゃんとかは聞こえない方向で。

Posted by: Shaul | Apr 22, 2007 at 02:52 AM

そういえば、アイスランドって一応はヨーロッパでしたね。

あるいは、リヒテンシュタインなんていいだしてくれたら最高なんですけれど (おい)。

Posted by: 井上 | Apr 22, 2007 at 09:46 AM

特に検証していないけど、対GDP比で言ったんじゃないのかと思ったんだけど。まぁ、それでも増えていたら、ご愁傷様ということで。

Posted by: 通りすがり | Apr 22, 2007 at 05:21 PM

えーと、本文中にあるように、対 GDP 比だとおおむね横ばいです。はい。

Posted by: 井上 | Apr 22, 2007 at 06:57 PM

ドイツとスイス以外冷戦終了直後も減ってないのは意外ですね

Posted by: | Nov 24, 2007 at 10:54 PM

私も意外でした。もっとも、さらに精確に傾向を把握するには、ドル建ての数字や対 GDP 比なども持ち出して、多角的に検討してみる必要があるかもしれません。

Posted by: 井上 | Nov 24, 2007 at 11:42 PM

ラテンの血が騒ぐブラジルには肝っ玉大将が居るようです。
http://www.nikkeyshimbun.com.br/071117-21brasil.html
「国防省国際戦略担当のモレイラ大将は十五日、ブラジルが原爆製造技術を保有することに同意した。」

Posted by: sionoiri | Nov 25, 2007 at 03:18 AM

実行に移した日には、制裁を食らって散々なことになる悪寒。

今はイランに世界の耳目が集まってるし、表明しただけだから放置されているのか、それとも「どうせ途中でこけるに決まってる」と思われているのか…

Posted by: 井上 | Nov 25, 2007 at 10:15 AM

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