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Sep 25, 2007

IAF の爆撃作戦@JDW

Jane's Defence Weekly (2007/9/26) に、"Israel remains tight-lipped over Syrian air strike" なる記事が載っていました。この記事の中で、イスラエル空軍 (IAF) がシリアの Deir Az-Zor  にある "核施設" を爆撃した際の話が、ちょっと詳しく載っていたので紹介します。

  1. 発端は、3 月初めに Mossad 長官の Meir Dagan 氏が Olmert 首相に対して、件の施設に関する情報をもたらしたこと。
  2. 当初は懐疑的な人もいたが、7 月になってさらに証拠が集まり、8 月にはイスラエル政府が合計 6 回の会議を実施して対応策を検討。
  3. 9/3 に、核物質を積んでいるらしい北朝鮮の貨物船が韓国船に偽装してシリアの Tartous に入港、「セメント」と称する貨物を荷下ろしした。それを受けてイスラエル政府は緊急会議を実施、実力行使に乗り出す。
  4. 9/4 の晩に、コマンドー部隊を現地に潜入させた。これは、レーザー目標指示器でターゲットを照射するため。
  5. 続いて、爆装した F-15I×4 機と護衛役の F-16×4 機、それと支援にあたる Eitam G550 AEW&C 機が発進。ユーフラテス川沿い・イラクとの国境から 50 マイルほどのところにある現場を爆撃。

とまあ、こんな内容です。

そこで、UT Library Online の Syria Maps にある地図を調べてみました。

現場はユーフラテス川沿いでイラクとの国境に近い、シリアの北東部にあたるそうです。とはいっても、イスラエルの北端から 500-600km 程度で、イラクのバクダッドにあるオシラク原子炉を爆撃したときと比べれば、ずっと近くです。

ただし問題は、現場に直行すると、目下「世界でもっとも稠密な防空網がある」といわれている、シリアの首都・ダマスカスをかすめるルートになる点。大事な任務を抱えていて、しかも重たい積荷を抱えた状態で寝た子を起こすような真似をして、そんでもって SAM 回避機動をするのはゾッとしません。それに、F-15I Ra'am はもともと FAST パック付きなのに、さらに増槽を付けていったとなると、相当な長距離飛行をしたはずです。

このことと、トルコ国内に増槽が落ちていたという話からすると、往路はいったん西に向かい、地中海に出てからシリア国内に侵入した可能性が考えられそうです。F-16 は護衛役なら爆装していませんから、増槽を積めるだけ積んで対処すると。

地上でレーザー照射をしたのは、確実を期したためでしょう。このことが、LGB を使用したことの傍証になります。ただし、爆装はひょっとすると GBU-24 じゃなくて、GBU-28/B (2005 年に DSCA が FMS 購入案件を通告済み) かもしれません。

行きは見つからないように遠回りの低空飛行、帰りは高空をショートカット、と考えた場合、SAM 銀座のダマスカス界隈を強行突破したか、(バビロン作戦の時もそうだったように) ヨルダン国内におじゃました可能性も考えられます。

ただし謎なのは、例のコマンドー部隊の侵入ルート。ヘリコプターで送り込んだのでしょうが (まさか地上をノソノソ移動していったわけでもあるまい)、これが地中海まわりというのはなんぼなんでも考えにくいので、よくわかりません。

とりあえず、「JDW でこんなことを書いていた」という話と個人的な推測の組み合わせなので、話半分程度に聞いておいてください (え

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Comments

IDFがトルコ軍と組んでトルコの基地からゴニョゴニョ…という報道もありますね。

Posted by: shaul | Sep 27, 2007 at 08:10 PM

コマンドー部隊潜入に際して、トルコが噛んだ可能性はあるとみています。ただ、戦闘機の発進基地までトルコに求める必然性は薄いし、やると目立ちすぎるでしょう、多分。

Posted by: 井上 | Sep 27, 2007 at 08:12 PM

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