« 何も足さない、何も引かない | Main | 職場の女性が N700 系至上主義 ? で困っています »

Sep 02, 2008

Coaxial Technology と X2 デモンストレーター

シコルスキーの次世代ヘリコプター、「X2」が初飛行

今回のは「大誤報」というより「説明不足」なんですが。

「X2」は2重反転ローターの浮力で上昇し、前進には機体の後部に取り付けられたプロペラの推力を利用するというもの。

これはいいです。間違ってません。

従来型のヘリコプターは機体の浮力と推力を同じローターで得ているため、推力を得るために機体を前方に傾けると浮力が失われ、結果的に構造的な速度限界をもっていた。

正確にいうとこれって、ローター失速の話だと思うんですけれど…

ヘリが揚力を生み出すために使用するローターは回転する物体なので、ヘリが前進すると右半分と左半分とでローターの対気速度に差が生じて、揚力のアンバランスが発生します。ブレードの迎角をブレードの回転に合わせて変化させることで、ある程度はこの問題を抑えられるのですが、これにも限界があることから、ヘリコプターの最高速度は実質的に 300km/h 程度に抑えられる、とされています。

これを解決しようとして Sikorsky が考えたのが、ABC (Advanced Blade Concept)。1970 年代から取り組んでいて XH-59A (S-69) なるデモンストレーターを飛ばすところまでいったのですが、当時はまだ要素技術が不足していて、重量過多やローターの剛性不足といった問題がありました。

その後、FBW (Fly by Wire)、複合材料、高出力に耐えられるトランスミッション、といった技術が出揃ってきたので、今回の X2 を自費で開発したわけです。

では X2 ではどういう技術革新をやったかというと、強度を高めたブレードを近接させて二重反転型に配置、かつリジッド固定とすることで、後退側でのローター失速限界を引き上げたと説明しています。また、推進手段としては二重反転ローターとは別に、後尾に推進式プロペラを設置しています。これら全部をひっくるめて LHTEC の T800-801 エンジンで駆動します。

XH-59A では推進用に J60 ターボジェットを用意して、巡航速度 225kt、降下速度 260kt をマークしましたが、X2 では巡航速度 250kt が目標とのこと。ただ、ローター ハブとローター マストが大型になるので、その部分で発生する空気抵抗がかなりあるそうです。

参考 : Jane's Defence Weekly (2005/6/8)
"Sikorsky to demonstrate fast coaxial helicopter"

|

« 何も足さない、何も引かない | Main | 職場の女性が N700 系至上主義 ? で困っています »

Comments

>機体を前方に傾けると浮力が失われ
おれは違うぞ!そんな柔じゃない(XFY-1)

Posted by: sionoiri | Sep 03, 2008 at 08:30 AM

ヘリにも固定翼機にもなれる我輩が最強だぜ (V-22)


そういえば、ピアセッキの複合型ヘリコプターの話って、どうなったんだろう…

Posted by: 井上 | Sep 03, 2008 at 08:46 AM

こういうときは、ぶっちゃけ「斜め上に向かって飛ぼうとしている」「でも、水平飛行したいから上昇しない様、足りない浮力をブレードの角度とかエンジン回転数で(手動・自動含む)コントロールしながら補填してる」程度の方が分かりやすいかも。なんとなく実感できそうな気がするし。

Posted by: あっさむ。 | Sep 03, 2008 at 09:34 PM

いわれてみると、確かにそうかも…

Wikipedia なんか見ると、もっと小難しい書き方になっているのですが、つくづく、ローター失速の話は難しいと思いました (´・ω・`)

Posted by: 井上 | Sep 03, 2008 at 10:56 PM

小難しい言い方をそこそこの人に分かるように翻訳するのって難しいのでw

オイラもそれで滅茶苦茶苦労してますし。理想は多少怪しい部分があったとしても、その説明が体感できる、容易に想像できるという説明をしなきゃならんのですが、未だパーフェクトは難しいです(泣)

Posted by: あっさむ。 | Sep 13, 2008 at 02:13 PM

ローター失速の場合、

・ヘリコプターのローターは回転している
・ホバリングしているときには、空気に対する速度はどこでも一定
・ところが機体が移動すると、移動方向の軸線を境界にして速度の高低ができる。前進側は速度差が大、後退側は速度差が小
・前進側と後退側でブレードの迎角を変えれば、速度差による揚力の差を補正できる

と、ここまでは分かりますが、そこから先でひっかかってしまう感じでした (´・ω・`)
たとえば、風が吹いてたらどうなるの、とか。

話は変わりますけれど。
ヘリのローター ヘッドって、ローターの回転や角度変更のメカが集中していて、しかも機体の重量が全部そこにかかってくるわけですから、設計が難しそうですよねえ。

Posted by: 井上 | Sep 13, 2008 at 02:41 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 何も足さない、何も引かない | Main | 職場の女性が N700 系至上主義 ? で困っています »