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Apr 20, 2009

M494 APERS-T と、CBU-107/B PAW

アムネスティから照明弾とフレシェット弾の件でお返事が来ました」で取り上げられている、M494 の話が載っている JDW (2001/5/23) が手元にあるので、他のフレシェット弾の話も交えてまとめておきます。

M494 APERS-T (Anti-PERSonnel Tracer) は、1972 年に米陸軍が制式化した 105mm 砲弾。ヨム・キプール戦争の後でイスラエルが、米陸軍の在庫品になっていた M494 を入手しています。

その後、IMI (Israel Military Industries) が M494 の 120mm 版を開発した、と JDW にあるわけですが、当該記事では「開発した」としか書いていないので、採用されたかどうか、今も実戦配備されているかどうかは、この記事だけでは分かりません。IMI の Web サイトには現時点で何も掲載されていませんが、「掲載されていない」と「製造していない」はイコールじゃありませんし。

M494 は、Reshef Technologies の電子式時限信管・OMEGA M127、あるいは同等品の M571 を使用します。これは装填の際に弾に取り付ける構造。信管が作動すると、砲弾に内蔵する 5,000 個のフレシェットを幅 94m、奥行き 300m の円錐状の範囲に飛散させる仕組み。

主な用途は対人用で、たとえば迫撃砲チームを制圧する場面で使える由。ただし、どれだけアテになるかという話になると、信頼が置けない部分があり、砲手にとっては使うのが難しいという話も。使っているのが時限信管だし、炸薬が破裂するわけではないので、破壊効果を推し量るのが難しい ?

もともと、この種の弾薬は第一次世界大戦のときに、塹壕に立てこもった敵を頭上から攻撃する目的で開発されたのが発端という話。

最近だと、米国防総省の Combating Teerrorism Technology Task Force が、CBU-107/B PAW (Passive Attack Weapon) を開発しています。これはイラクで大量破壊兵器関連施設を破壊するために開発したもので、ディスペンサーには TMD (Tactical Munition Despenser) を使用、さらに WCMD (Wind-Corrected Munitions Despenser) を組み合わせて命中精度を上げることもできます。

CBU-107/B の中には、長さ 14in のタングステン製ロッド 350 本、長さ 7in のタングステン製ロッド 1,000 本、長さ 2in のスチール製ロッド 2,400 本を内蔵。長いロッドで建物の屋根を突き破り、その後で短いロッドが中身を破壊する構造。

いずれにしてもフレシェット自体のサイズは小さくて軽いのですが、速度があれば、それなりに大きな運動エネルギーを発揮するはずです。撃たれる方はたまったもんじゃありませんが。

ref : 105 mm M494 APERS-T cartridge (United States), Tank and anti-tank guns (Jane's Ammunition Handbook), JDW (2001/5/23) "Israel's military debates use of flechette round), JDW (2003/5/14) "US Air Force reveals new strike munition", JDW (2005/4/27) "US DoD office focuses on tomorrow's threats"

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Comments

ところでCOTSという単語が出てきますが、普通の人にはイマイチわからんと思います。(普通の人にCOTSとはなんぞやと説明することもまずないですが。)

わざわざ"Commercial-Off-The-Shelf"という文章があるぐらいなので、元々はなにか深い概念があったのかも知れませんが、幕・省レベルの文章では単に"既製品"ぐらいの意味でしか使われてないですな・・・。

Posted by: 金珍宝 | Apr 20, 2009 at 01:09 PM

追伸:訂正

ところでCOTSという単語が出てきますが
→ところでCOTSという単語がkojii.net中の記事中にしばしば出てきますが

Posted by: 金珍宝 | Apr 20, 2009 at 01:11 PM

直訳するならば「既存の民生品」でしょうか。
実は「既存の軍用品」、つまり MOTS (Military-Off-The-Shelf) という言葉もあります。

この手の、すでにできあがっていて開発作業を必要としない (はずの) 物品のことを、NDI (Non-Development Item) と呼ぶこともあります。

Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 20, 2009 at 01:28 PM

>>MOTS (Military-Off-The-Shelf) という言葉もあります。

は、知りませんでした。企業の自己資金開発の銃火器なんかは既製品でも軍事専用ですもんね。

COTSといいながらガッツリ手を入れてどうしようもないものがそこらじゅうにあります。COTS採用で経費削減と言いますが、確かに新規開発するよりは安いですが、ITにおけるCOTSはソフトもハードも更新が早すぎて、いざ調達する段階になってモデルチェンジして性能過剰になってたり(会計検査でひっかかる)、マニアックな商品だと生産中止になってるし(他に選択肢が無く設計変更)、ソフトなんか入れたとたんサポート停止でどうしようもないとか、戦略が無いまま目先の価格だけ見てるのでかえって遠回りと言うか・・・。

Posted by: 金珍宝 | Apr 20, 2009 at 02:32 PM

COTS、特にコンピュータ関連だと、そういう問題ってありますよね。UYQ-70 なんかだと「COTS 化にありがちな問題も解決 !」って謳ってますけれど、どんなマジックを使っているのか、興味があります。

もっとも、企業向け PC だと「(通常より長めの) 一定期間の部品供給を保証」と謳っているケースもありますから、コンポーネントのメーカーとつるんで、それに近いことをやっているのかも知れません。

Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 20, 2009 at 11:26 PM

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