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Nov 12, 2013

脅威評価をめぐるアンビバレンス

なにも現在の日本に限らず、一般論としていえることですけれど。
どこか「仮想敵国」が存在しているときはたいてい、脅威評価に際してアンビバレントな状況が起きるよね、と。

つまり、世論を煽ったり、国防予算の増額を求めたり、軍事力の強化を求めたりする場面では、脅威は強大であるほど都合が良いわけです。だから、脅威の過大評価、あるいはそこまで行かなくても「できるだけ強大に見せたい」というドライブが働く。

ところが一方では、脅威があまりにも強大だと、「本当に花火が上がって攻めかかってきたらどうする」という恐怖感から逃れて心理的安寧を求めるために、脅威を過小評価しようとするドライブも働く。

平素から「軍備縮小」「国防費削減」を主張する向きは、当然ながらその主張に合わせるために脅威を小さく評価しようとするもので、それはよくある話。ところが実は、脅威を大きく評価しようとする動きが裏返って、脅威を過小評価する動きに転化して、「過大評価」と「過小評価」が同居することもあり得るわけです。

ただ、「過大評価」も「過小評価」も度が過ぎると害毒にしかならないので、情報評価、とりわけ仮想敵国の軍事力に関する評価って難しいし、注意してかからないと危ない。というお話。

特に、心理的安寧を求める動きの度が過ぎると、「仮想敵国に対する擦り寄り & 親近感」にまで変化してしまうことがあるので要注意。「いっそ味方になれば脅威にならない」というロジックですね。えてして片想いで終わるわけですが。

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Comments

>仮想敵国に対する擦り寄り & 親近感

一部の平和団体は、尖閣の共同開発どころか対馬の共有を主張し始めるかも知れませんね。

Posted by: メリッサ | Nov 12, 2013 at 11:48 PM

それはもともと「仮想敵国」と思っていないわけですから、また別次元の話じゃないかと思えます。

それとは別に「○○国は敵だ !」と息巻いていたのが、何かの拍子に「○○国は決して敵じゃない !」に化けるケースもあるんじゃないかなあ、という話なのです。

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 13, 2013 at 11:08 AM

WWIIの頃のドイツとソ連のような感じでせうか。あのスターリンが、独ソ戦勃発の折は結構ショックを受けてたとも聞きますし、片想いというのは難しいところです。

Posted by: TBSH | Nov 13, 2013 at 06:28 PM

むしろ大戦末期の日本とソ聯かも。

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 13, 2013 at 07:18 PM

 脅威評価というのは、それが装備にしても外交政策にしても、金貸しの世界で「確実に返す客と踏み倒す奴を見分けられて一人前」というほどに難易度が高いテーマだと思います。

 外交選択のミスにしても、敵の意図を読み違えたことを非難した所で、それは後知恵に過ぎないし、装備に至っては、使っていた当事者はガラクタだと思っていたのに、敵側は意外に脅威に感じていたなんてのは山ほど。特攻なんて、戦果で言えば微々たるものだけれど、米兵に深刻なPTSDを与えて士気を低下させたことは事実だし。

 今の日中関係にしても、われわれは自衛隊の訓練や装備に関して、多少なりとも知っているから、なんでこの程度で騒ぐんだろうと思っていることが、あちらでは真顔で深刻に受け止められていることはあるんでしょう。信頼醸成は難しいです。

Posted by: えいじ | Nov 13, 2013 at 07:39 PM

それだからこそ、片手でドツキ合いつつも他方では握手するような工夫が要るんですよね。

見えないところに引きこもって、情報をロクに出さずにいると、実態以上に不気味に見える。少なくとも、実際に、会って話して、バカのひとつもやってみないことには。

気に入らない相手だから会いたくない、遠ざかりたい、というだけでは危機や緊張を助長するだけです。

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 13, 2013 at 07:50 PM

>井上氏

>それとは別に「○○国は敵だ !」と息巻いていたのが、何かの拍子に「○○国は決して敵じゃない !」に化けるケースもあるんじゃないかなあ、という話なのです

そういう意味でしたか、失礼いたしました
自国が劣勢でも、外交的譲歩で時間を稼ぎ、体制を整えられれば良いのですが
実際は言うは易しでしょうね。
(もちろん、一般論ですが)

Posted by: メリッサ | Nov 14, 2013 at 08:47 AM

データ不足で判断を誤るのは、まだ仕方ない部分がありますが、前提や願望が先行して過大評価や過小評価につながれば、これはもう弁明の余地はないでしょう。生身の人間のやることですから、状況評価に願望が投影される危険性は、常に存在するのですけれど、それも程度問題。

ちゃんとした根拠や状況評価に基づいて、適切な相手と手段と条件を選んで外交的譲歩で時間を稼ぐのであれば、それはいいのです。問題は、藁にもすがる思いで、願望に基づいて不適切な相手を適切な相手だと思い込んで、それに頼ってしまうことじゃないかと思うのでした。

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 14, 2013 at 09:22 AM

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