エッジの錆には御用心 !
スキーというのは矛盾に満ちたものだなあ、と思うことがあります。というのは、マテリアルの手入れに関する話。
板でもブーツでも、どこかしら「金属部分」というのはあるわけですが、ステンレスみたいな一部の例外を除いて、金属と水分がセットになると、「錆」が発生します。
ところが、スキーというのは雪の上でやるものです。その雪が融ければ水になり、結果として水分テンコ盛り。そうなると、金属部分が簡単に錆びます。ましてや、春先から後の季節になると、融雪防止のために硫安を撒くので、それがさらに錆びやすさを増幅します。
同じことは、シーズンの初めにもいえます。たとえば、「日本一早くオープンする」ということを売り物にしている、御殿場のスノータウン・イエティ (あれ、住所は裾野市だったかな ?)。いくら標高 1,300m の高所にあるとはいえ、10 月下旬では、まだまだ暖かいのが実情。そこに強引にカキ氷を撒いてコースを作っているので、せっかく撒いた氷が融けないように、鬼のように硫安を撒いてコースを維持しています。すると何が起きるか。
帰宅後、板のエッジを見てみると、ほんの数時間前に撤収したばかりなのに、もう錆だらけになっているわけです。すると、小一時間かけて、やすりや砂消しゴムなんかで錆落としをする羽目になります。
また、シーズン中でも、クルマのルーフキャリアに板をむき出しで積んで走ると、道路に撒かれている融雪材のせいで板が傷み、エッジが錆びます。だから、本当は板を車内に積む方がよいのですが、それが無理なら、ビニール袋に入れてからルーフキャリアに積みたいですね。
そんなわけで、錆びてしまってから慌てても大変ですから、できるだけ、錆を予防する必要があります。具体的にどうするかというと、滑り終わったら、板についている雪を落として、きちんと乾かしてからしまう、ということに尽きます。
手作業で雪を落とすのは大変ですが、最近ではセンターハウスのあたりにエアガンを設置してくれているケースが多くなっています。そこまでいかなくても、雪落としのブラシを置いてくれている場合が多いようです。
特にバインディングの周辺やブーツのバックルは構造が入り組んでいて、隙間に入り込んだ雪を落とすのが面倒です。でも、ここで手抜きをすると、後でもっとひどい目に遭うので、面倒くさがらずに雪落としをしましょう。
シーズンの初めや終わりの、硫安を鬼のように撒く時期には、雪を払い落とすだけでは駄目で、水洗いしてあげる方がベターです。さすがにイエティはちゃんと心得ていて、センターハウスの片隅に、エアガンと並んで水洗い用の水道を用意してくれています。無論、水洗いした後は、ちゃんと乾かしてからしまいましょう。しかる後に帰路につくわけです。こうすることで、帰宅後の仕事が大幅に減ります。
ただし、板を洗ったり拭いたりするときには、エッジで怪我しないように注意してください。私は一度、イエティに行った帰りにクルマを走らせていたら、手を怪我して出血しているのに気付いたことがあります。かなり大きく切っていたので、なかなか血が止まらなくて往生しました。といっても、輸血が必要なほど血が出まくったわけではないですが。
ちなみに、エッジに塗る錆止め、というものも売っています。帰路につく前に、これを塗ってから板をしまうのも一案ですね。
あと、意外と気付かないところでは、ブーツの隙間から内部に雪が入り込んでいることがあります。ですから、帰宅後はインナーブーツを引っこ抜いて、中身までちゃんと乾かしてあげるとよいです。
ちなみに上の写真は、某所のスキー場でコース脇に積んであった硫安の山。環境保護団体の人に噛みつかれることもあるから、普通は見えないところに置いておく場合が多いんですけどね。
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