軍事英語入門 II (部隊名は住所)
あまり間が空いてしまっても何なので、イラク関連のニュースでよく出てくる言葉の話題を。
陸軍の部隊は通常、以下のような階層構造になっています。
- 軍 Army
- 軍団 Corps
- 師団 Division
- 旅団 Brigade
- 聯隊 Regiment
- 大隊 Battalion
- 中隊 Company
- 小隊 Platoon
- 分隊 Squad
部隊名を表記するときには、これらを下の階層から順に書いていくのが基本パターンです。住所の書き方と似ていますね。日本だと「国→都道府県→市区町村→番地→名前」ですが、外国だと「名前→番地→市区町村→州とかなんとか→国名」となるのと同じです。
だから、「第 1 歩兵師団・第 2 旅団・第 3 大隊・D 中隊」であれば、「D Company, 3rd Battalion, 2nd Brigade, 1st Infantry Division」と書きます。聯隊がすっぽ抜けているのは、旅団が聯隊に配属部隊を追加したもので、基本的には同一レベルだからです。
また、組織階層名に兵科名称が加わる場合もあります。歩兵なら Infantry、野戦砲兵なら Field Artillery、機甲なら Armour、空挺なら Airborne、工兵なら Engineering。上の例で師団だけ兵科名称が加わっているのは、「第 1」には機甲師団も騎兵師団もあるから、です。
米陸軍や米海兵隊の場合、中隊名だけは数字じゃなくてアルファベットです。それと、兵科の名称だけで部隊階層名称を省略したときは、たいてい聯隊のことです。近代的な軍隊では、聯隊が基幹戦闘単位となっているという歴史によるものでしょう。(ただし、第 82 空挺師団みたいに数字も内容も重複していないと、"82nd Airborne" で済ませてしまうことも)
そのほかの例外としては、米陸軍の騎兵隊があります。第 1 騎兵師団 (1st Cavalry Division) や第 3 機甲騎兵聯隊 (3rd Armoured Cavalry Regiment。第 11 もある) では、大隊が Battalion ではなく Squadron になります。飛行隊の Squadron をときどき「飛行大隊」と訳す人がいるのは、この影響でしょうか。
中隊名でも、変わった書き方をする場合があります。典型例が、SAS 戦闘中隊の Saber Squad。その SAS 自体、正式には「第 22 SAS 聯隊」ですが、アンディ・マクナブの本によると、通常は単に "Regiment" と呼ぶそうです。
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