米軍の契約の面白さ
防衛庁や米軍では、民間企業に発注を行った案件に関する情報を公開しています。米軍ではそれを誰でも電子メールで受け取れてしまうところがものすごいのですが、それに関連する話。
空軍向け JSF・F-35A 関連の契約が米海軍から出ている、という話を本館に載せたら「私が誤訳したんじゃないか」といってる奴が 2ch にいたんですが、ソースではちゃんと「NAVY」と書いてあるんですね。米軍の発注では、たまにこういう珍妙なことが起こります。ある軍種が、実際には他の軍種に引き渡す装備を発注するという現象が。
この件以外でメジャーな事例では、空軍基地の土木工事に関する発注が陸軍を窓口にして行われたりします。軍の施設に関する土木工事を陸軍工兵隊 (Army Corps of Engineer) が仕切ることになっているのか、あるいは空軍が陸軍から独立した歴史的経緯によるものなのか。ハリケーンの被害を受けた海軍関連施設の災害復旧については海軍が発注していましたから、状況にもよるようです。
海兵隊の場合、海軍が調達の窓口になっています。だから、海兵隊向けの AFV 発注案件が「Contracts」では「NAVY」の下に載っていたりします。飛行機のシリアルナンバーも、確か海軍と海兵隊で通しになっていたはず。でも、これはそんなに違和感ありませんね。
それと比べると、H-60 系のヘリをまとめて陸軍が発注している事例の方が、違和感があります。でも、もともと H-60 系列は陸軍の UH-60 ブラックホークから始まっているわけですし、空軍や海軍の H-60 系ヘリはドンガラよりアンコの方が大事です。となれば、機体はまとめて陸軍を窓口にする一方で、キモとなるミッション・システムは空軍や海軍が発注する、という方が理に適っているのかなとも思います。
P.S.
ググってみたら、Army Corps of Engineer のことを「陸軍エンジニア部隊」と訳してる人が意外といるんですね。これこそ大誤訳。軍隊組織で Engineer といえば「工兵」に決まってるでしょーが。ぶつぶつ。
Comments
SASを空軍特殊部隊と訳するのと同じですね。他にもあるのかも知れない。
それにしても英語が読めるとそういうネタをすぐに見ることが出来るのですね…勉強するか。
Posted by: ちっち | May 30, 2006 06:59 PM
とりあえず、Defense Industry Daily あたりから始めてみるとよいと思います。装備関連の話題が多いので取っつきやすいのと、いろいろな国の話題が出てくるのがよいです。
http://www.defenseindustrydaily.com/
Posted by: 井上 | May 30, 2006 09:57 PM
ありがとうございます。早速行ってみたところ、もう興味を引きそうなタイトルばかりでした。
確かにとっつきやすくていい感じです。えっちらおっちら読むことにしました。
Posted by: ちっち | May 30, 2006 10:25 PM
私も英語がダメだったんですが、
1 JDWを入手する
2 その号(例えば6月1日号なら6月1日号)の「今週のJDWから」をプリントアウト
3 プリントアウトしたものを見ながら、気になる記事(英文の方)をノートに書き取る。
ということを繰り返す内に、防衛関連の記事なら苦も無く読めるようになりました。
どう見ても井上さんのお蔭です。本当にありがとうございました。
Posted by: フレスコ | Jun 01, 2006 02:35 AM
こういう専門性が高い分野は、テクニカルタームを拾っていけば意味を掴めるので、まだ楽なんです。その点、文学作品なんか大変だと思いますよ、ほんと。
頭を英語モードにするため、英語版 Windows に日本語の言語環境を追加して利用するのはどうでしょう (まてこら)
Windows Vista β2 の英語版をセットアップしたときに、言語選択で「Japanese」を指定したら、自動的に日本語フォントと IME が組み込まれたのにはびっくり仰天。
Posted by: 井上 | Jun 01, 2006 02:52 PM
>SASを空軍特殊部隊と訳するのと同じですね
SAS…ああ、正しくは「スカンジナビア航空」ですね!
とおりすがりですみません…_o_
Posted by: Bar | Jun 05, 2006 12:11 PM
つ サザンオールスターズ
台湾では「南方衆星楽隊」というそうです。
Posted by: 井上 | Jun 05, 2006 12:21 PM