「第二目標」が要る理由
「障害報告@webry」さんからのネタ。
1944 年 11 月に中島飛行機武蔵工場を爆撃した 73rd BW の B-29 に対して、「第二目標」として東京の下町が指定されていたというニュースがあった由。
長いこと、爆撃機や攻撃機は爆装したままで母基地に帰るということをしませんでした。それは、最大着陸重量の制約であるとか、安全性の問題であるとか、そういう事情があるからです。たいていの飛行機は最大離陸重量よりも最大着陸重量の方がずっと小さいので、燃料や兵装を消費しないと降りられないのですね。
ただし、だからといっていつも具合よく洋上投下できるとは限らないし、洋上投下したら貴重な弾薬が無駄になってしまいます。そこで「第二目標」が出てくるわけです。第一目標に投下できないような事情があったときには、そこに落として帰れと。洋上に投下するよりは無駄にならないという考え方でしょう。
そのせいで、とんだトバッチリを受けたのが浜松市。マリアナから北上してきた B-29 が、第一目標に爆弾を投下できなかったときには「とりあえず浜松に落として帰れ」という指令が出ていたようで、中小都市にしては爆撃を受けた回数が多くなっています。太平洋岸で本州の真ん中辺、というロケーション故でしょうか。
最近では、bring back payload という言葉があります。つまり、捨てて帰るのではなく、使わなかった兵装はちゃんと持って帰れと。高価な精密誘導兵器ばかり使うようになったのと、政治的な理由でお気楽にポンポン爆弾を落とせなくなったせいで、「使わなかったから適当に落として帰る」というわけにはいかなくなってしまったのですね。まあ、ちゃんと持ち帰る方が余計なトバッチリを受ける人は減るし、納税者の負担も減るのですが。
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