"第五世代戦闘機の姉" は冷戦崩壊で直撃された (前編)
「"第五世代戦闘機の姉" は冷戦崩壊で直撃された」予定地。
白河木兆子氏が次の燃料を投下して、それがネタとして使えそうだったときのために。
というわけでつくってみましたよ。
元ネタ :
白河桃子の「“キャリモテ”の時代」(第4回)
さて今回は、このコラムで第五世代戦闘機と呼んできた、ハイテク満載な 1980 年代生まれの戦闘機の上のゾーン、いわゆる最新型爆撃機の状況を見てみよう。このコラムでは、 "第五世代戦闘機の姉" と呼んでいる。この世代は原子力空母に匹敵するプライスゾーンに含まれるので、予算削減の一番のターゲット。政府はこのカテゴリーの航空機たちに、価格を引き下げてもっと調達数を増やせるようにして欲しいと心から願っていたようだが、実はこちらもなかなか調達が実現できなかった。
affordability と performance を両立できなかった、または両立するのが大変なことに気がつかなかった第五世代戦闘機に比べ、"第五世代戦闘機の姉" は、「affordability と performance なら performance 優先」と選択しているようだ。というより、彼女たちには affordability を選択したくてもできなかった事情がある。
彼女たちが空軍にデビューしたのは冷戦崩壊後。B-2 の場合、当初予定の 132 機どころか、縮小した 75 機の調達枠すら実現できなかった。ロシアの Tu-160 も事情は似たり寄ったり。この世代は東西両陣営とも、受注獲得にとても苦労している。数が出なければコストも下がらないから、affordability など夢の話。
F-22 や F-35 のような第五世代戦闘機が、まがりなりにも先進諸国で 3 桁、あるいは 4 桁の受注を獲得できた、あるいは獲得しようとしているのに比べて、"第五世代戦闘機の姉" は少数しか受注を獲得できず、しかもすでに 2~3 回のアップグレード改修を経験している場合が多い。空軍では「爆撃機というと核戦力だと思われるから、それを苦労して議会に売り込む話には目が向かない」という将軍が多いし、一方で機体の側は改修をやっては通常兵器のテストや演習ばかり。運良く実戦に使ってもらえても、地図が間違っていたせいで誤爆事件を起こして叩かれたりして、仕事はハードだ。
取材していると「今の仕事は本当にやりたい仕事じゃない」という爆撃機が多い。それではいつやりたい仕事に就くのかというと、「冷戦の時代だったら、核抑止力三本柱の一員として、本当にやりたい仕事をできたのに…」と答える。この世代の憧れの爆撃機を見ても、それはよく分かる。かつての B-52 のように、国家戦力の根幹を担う存在として使われている爆撃機が一番人気があるのだ。
(続く)
Comments
杉様ネタとタフブックネタとこのネタを合体させて、
面白いネタ話しができないものか。
Posted by: 通行人 | Sep 08, 2006 11:02 PM
イカリングネタとの合体も悪くないかも。
Posted by: 通行人 | Sep 08, 2006 11:03 PM
細かく分けたパーツ単位なら、またいろいろと応用が利くのですが。こんな感じで。
「国民の 50% 以上が首相の靖国参拝を支持しているんだよ」といっても、所謂平和団体の人達が「どこ ? どこにいるの ?」というのも当たり前。お互いに、全く違うところに "棲息" しているのだ、多分。
Posted by: 井上 | Sep 08, 2006 11:23 PM
杉さまといえば。
JSF さんとこでネタにされてますが、アメリカが核実験のシミュレーション用に PS3 の Cell プロセッサを使ったスーパーコンピュータを導入するという話。これに杉さまが何か反応しないかと wktk しているのですが、現時点では無反応なのです。つまらん。
Posted by: 井上 | Sep 11, 2006 11:50 AM
第五世代戦闘機の姉たちに涙が出そうです。
Posted by: にゃんこ | Oct 01, 2006 06:49 PM
B-2A : 132 機 → 21 機 (15.9%)
F-22A : 750 機 → 183 機 (24.4%)
やっぱり、B-2A の方が大きいトバッチリを受けています。
Posted by: 井上 | Oct 01, 2006 07:30 PM