阿部知子事件の本質
本館でも書いた阿部知子事件ですけれど、さらにいろいろな話が発掘されてきて、ちとゴチャゴチャしている感じもあります。そもそもの騒動の発端になった発言について問題点を整理すると、以下の 2 点に収斂するのかな、と思いました。
- 震災当時、最高責任者たる内閣総理大臣は社民党の村山富市氏だったというのに、そのことについて知らん顔を決め込んだ「お前がいうな問題」
- 自衛隊批判のために阪神淡路大震災とその被災者をダシに使った、とてつもない節操のなさ
もちろん前者も問題なんですが、目的のためなら手段は選ばずという後者の方が "罪が大きい" のかなー、と思ったりもします。さらに、サイトが炎上して焼け落ちるときの典型パターンを地で行っている「対応のまずさ」や、
社民党って、過去の大物や先輩を批判してはならない、という内規、あるいは不文律でもあるんですかね。そんな政党が「思想信条の自由」を旗印にして何か主張しても、正直いって信用したくないです。はい。
追記 (2007/1/26)
阿部議員の秘書 blog が炎上 (という言葉は不適切かも) したときに寄せられたコメントは「全消し」されましたが、やまめさんのところでサルベージされています。見るのも辛くなるような言葉が並んでいますが、これが現実なのです。その現実から目を背けて全消しした秘書、それを承知していたであろう阿部議員は、さらに「してはならないこと」をしてしまったといえるんじゃないでしょうか。
Comments
拉致事件のことで北を擁護するような内容が昔、社民党のサイトで掲載されて、それを指摘されて削除したという珍事もあったっけ。
Posted by: 通行人 | Jan 25, 2007 01:20 PM
ありましたね。それをやらかしてからしばらく経った頃に、本館の日記でネタにしたことがあります。ひょっとすると今でも、Internet Archives に証拠が残っているかもしれません。
Posted by: 井上 | Jan 25, 2007 01:39 PM
しかし、なんというか。
上の連中が下の者に色々と教えてないんですかね。
この問題、まだまだ大きくなりそうですし、下手したら社民党にとって命取りにもなりそうな気もしますが。
Posted by: 槍の又兵衛 | Jan 25, 2007 08:15 PM
今のところマスコミダネにはなっていないようですが、騒ぎが大きくなって抑えきれなくなったときに、どうなるか見物です。特に、党の幹部がどんな対応ぶりを示すか…
Posted by: 井上 | Jan 25, 2007 09:29 PM
トップの記事が変わった模様。
http://www.abetomoko.jp/
消火剤とガソリンの区別が付かない人の例だな、こりゃ。
Posted by: だよもん星人 | Jan 25, 2007 11:03 PM
実は、この新しい記事にも疑惑の声があるようです。
http://obiekt.seesaa.net/article/31950805.html
コメント欄の下の方です。
数日後に、また釈明記事を載せる羽目になるかも知れません。
Posted by: 井上 | Jan 25, 2007 11:17 PM
私は完全に堪忍袋の緒が切れて、深く、しかし冷静に怒りを蓄積中です。
社民党と私(家族含め)の生き方は相容れないことばかりですが、最低限の民主主義者の矜持として「言論の自由は保障する」。相手の意見に全く賛成できなくとも、それが暴力を容認したり、民主主義を否定する物でさえなければ、その「意見を言う権利は守る」というものがありますが、あまりの怒りにかなり揺らいでいます。しかし、揺らいだとしても最低限それだけは守りたいところで、必死に踏ん張っているところ。
ただ、あまりの言われ無き誹謗中傷には「的確に冷静に、でも徹底的にそれを糾していきたい。」そう考えています。
Posted by: へぼ担当 | Jan 25, 2007 11:34 PM
まったく同感です。普段、さんざ政府・与党の不祥事をえらそうに追及しているくせに、自分たちが守勢に回ったとたんにごまかして逃げようとするのですから、ダブスタもいいところです。
もっとも、社民党に票を入れるなというだけでは問題ありですが、幸いにも都知事選なんかと違って、他に受け皿はいろいろあります。といっても、相手によっては社民党と大差なかったりしますけど…
Posted by: 井上 | Jan 26, 2007 01:27 AM
いや、多分当時阪神大震災に行った経緯について、招集がかかったってのはおそらく嘘じゃないでしょう、この人が当時勤務してた病院は徳洲会の病院になるんですよ、だから大ボスに緊急召集令状喰らって泡食って行ったってのは嘘じゃないでしょう、良かれ悪しかれあそこの会長、徳田虎雄氏はワンマンで立志伝中の人物ではありますから、ありそうなエピソードではある。
で、最大の問題は現場にいながら物事をまともに見ていなかったと言うことで・・・何だ、本質がダメなんじゃん?
Posted by: ooi | Jan 26, 2007 08:51 AM
結局のところ、人はいつ、どこに行っても「見たいもの」しか見ようとしないものなのかも知れませんね (><)
Posted by: 井上 | Jan 26, 2007 10:37 AM
>社民党にとって命取り
そもそも、社民党にまだ「命」が残っていたらすでに驚愕かも。
Posted by: 緑川だむ | Jan 26, 2007 10:26 PM
まあ、「一寸の虫にも五分の魂」などと申しますから… (違)
Posted by: 井上 | Jan 26, 2007 10:33 PM
人命よりイデオロギーか・・・。日本が侵略される時も「反戦」・「平和」というイデオロギーで自衛戦争の権利を拒絶して憲法9条違反だからと自衛隊の出動に抵抗するのだろうか。そうか、社民党は「人命」より「反戦」・「平和」が大事だったんですね。そういえば、みのもんたが前にTBSの朝番組で何処かの災害派遣で出かけた自衛隊に触れ、自衛隊が災害活動をやることに「なんかなぁ」という発言をした記憶が。
Posted by: 通行人 | Jan 28, 2007 08:11 PM
そういえば、村山元総理って、前に自分が乗った車が男児と接触して人身事故を起こしたというニュースを見た記憶が。現場で普段着を着た村山元総理がポツンと人生が終わったかのように立っていたニュースのワンシーンが印象深かったですね。
Posted by: 通行人 | Jan 28, 2007 08:19 PM
>イデオロギー
それ、先週の Opinion でも少し触れましたね。憲法でも何でも、そもそも国民の生活を守るためのものであるべきなのに、憲法を守るために国民が犠牲になれというのは本末転倒だと。
>人身事故
ググったら出てきました。こんなことがあったんですね。「もみじマーク」は付けてたのかしらん ?
http://www.mizuki.jp/mt/archives/000878.html
Posted by: 井上 | Jan 28, 2007 08:55 PM
阪神大震災と村山内閣のイデオロギーについて安易に結びつけるのは危険かと存じます。
なぜなら、村山首相が「イデオロギーを優先した」かどうかは、村山氏の内心を探ってみない限り、確たることは言えないからです。おそらく、状況証拠による推測が限界ではないでしょうか。ただ、イデオロギーに拘ったのだとすると震災の半年前の、村山内閣による自衛隊容認の方針表明との整合性がつかなくなる。この違いをどう合理的に説明するか、という問題が新たに出てくることになります。
では、自民党首班内閣だったら、もっと被害を小さくすることができたか?私は難しかったのではないかと思います。
村山内閣のイデオロギーと似た論点としては、兵庫県知事や神戸市長のイデオロギー問題なども取り沙汰されることがあります。しかし、こちらもまた証明するのは難しいでしょう。知事や市長が「非核証明にこだわった」というソースすら出てこないのですから。
私が危惧するのは、震災の反省がイデオロギー批判に終始することによって、他のもっと重要な問題点が見過ごされてしまうことです。例えば、震災によって家屋を失った人への個人補償の問題です。94年のアメリカ・ノースリッジ地震のとき、米国政府は個人補償を認めました。しかし、日本政府(この時は既に自民党政権になっていました)は認めなかった。震災から時間が経って、情報も増え、考える時間もあった時期のことなのに、何故こういった問題は議論の俎上にすら上らないのか。
阿部議員の不見識を糺すことは容易ですが、怒りに任せて議論の本題からそれてしまうことは、避けなければならないと考えます。
Posted by: NISSHA | Jan 30, 2007 08:28 PM
コメント欄ではイデオロギー問題の方に話が進んでいますけれど、エントリの冒頭で書いた本題には、イデオロギーの件は含まれていない点にも留意していただきたいと思います。本館で書いたときにも「仮定の問題」にとどめていますし。
確かに、「じゃあ自民党政権だったらもうちょっと上手くやれたの ?」というと疑問な部分もあります。ただ、最高責任者が誰だったのか、という点については言い逃れできないわけでして。その見地からすると、今回の「阿部発言」については、冒頭で書いた二点の方が震災当時の対応よりもはるかに問題ですし、悪質だと思っています。
まあ、総理の出自が出自ですから、どうしてもイデオロギー方面をつつかれるのは仕方ないですけれど。でも、仮にそれが真実だったとしても、本人が認めることはないでしょうねぇ…
Posted by: 井上 | Jan 30, 2007 11:04 PM