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May 18, 2007

軍事情報との付き合い方

毎週、本館の方に「今週の軍事関連ニュース」なんてものを掲載しておきながら、こんなことを書くのも何なんですけれど。

この業界では特に、さまざまな矛盾する情報が錯綜するものだ、ということは念頭に置いておいて欲しいなあと思うわけです。肯定的な人、批判的な人、当事者、政府の会計監査機関など、立ち位置が違えばモノの見方は当然ながら違ってきますし、対立する複数の国の言い分だって、それぞれ違ったものになります。

だから、たとえば装備調達プロジェクトなんかで、一方から「うまくいっていない。コストは上がるしスケジュールも遅れている」といえば、当事者が「いや、そんなことはない、順調だ」と反撃するのは毎度のパターン。パキスタン向けの FC-1 に装備する (はずの) RD-93 エンジンなんか、「パキスタン向け輸出は許可しない」「いや、実現するみたいだぞ」「やっぱり駄目」といった具合に、さまざまな情報が入り乱れてワヤワヤです。もうゲタを履くまで真相は藪の中。

作戦面でも似たところがありますね。特に現在進行中の作戦の場合、OPSEC (作戦情報の保全) を優先して、わざと情報を流さない、あるいはガセネタを撒き散らす、ということもあり得るわけです。


MNF-I が毎日のように、イラクでの出来事についてプレスリリースを流しています。「アメリカ軍のぉー、イラクにおけるぅー、悪行がぁー」とアジ演説でもかましそうな人達からすれば、「あんなものはプロパガンダだ」と簡単に切って捨ててしまいそうですけれど、それは考え方が単純すぎ。
内容がどこまで真実に迫っているかどうかは別としても、少なくとも MNF-I が何を伝えたいと考えているのかを知る材料にはなりますし、御丁寧に部隊名を書いてくれることも多いので、どこでどの部隊が活動しているかを知る材料にもなります (もちろん、わざとガセネタを流している可能性もありますけれど)。

細かい事例を挙げ始めるとキリがないですけれど、「互いに矛盾した話が、あちこちから出てきても不思議はない」「単にプロパガンダだと切って捨てるのはダメダメ」ということはいえるんじゃないかなあ、と思うのです。はい。

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