スペインが中国に売り込んだ空母
中国は仏製武器で埋め尽くされる (大石英司の代替空港)
のコメント欄で、「そういえば、そんなネタがあったなあ」という話が出てきたので、投稿。
Jane's Defence Weekly (18 Feb. 1995) に、"Spain offers carrier designs to Chinese" という記事が載っています。
スペインの Empresa Nacional Bazan 社が中国に、小型の CTOL 空母を売り込んだという記事で、
提案したのはSAC200 (全長 221.8m、23,000t) と SAC220 (全長 240m、25,000t) の 2種類。
速力 26kt、航続距離は 7,500nm/15kt、カタパルト 2 基、飛行甲板面積は 9,600 平方メートル、格納庫面積は
3,300平方メートル、舷側エレベーター 2 基。航空関連要員を含めて乗組員 1,000 名ほど。
搭載機は 21 機。小型の SAC200 は A-4M や AMX 艦載型、もうちょっと大型の SAC220 なら MIG-29K
や F/A-18C/D を運用可能。また、どちらでも E-2C や S-2T を運用可能、という触れ込みでした。
ぶっ飛んでいるのは、ポテンシャル・カスタマーとして、インド、アルゼンチンに加えて日本の名前が出てくることでしょうか。 ちなみにお値段は 3 億 5,000 万~4 億ドル、と主張しているのですが、そんなに安くできるわけないでしょ。
この記事では、中国側は関心を示しつつもコスト面で難色を示している、という内容でした。でも案外と、中国の本音は 「もっとデカい艦じゃないとダメだ」というところだったのかも。面白いのは記事の末尾で、カナダの外相が「中国が空母を持たないのは、 近隣諸国に対する平和的な意図の現れである」なんてコメントしているところでしょうか。
P.S.
それにしても、たまに 10 年以上も前の JDW を引っ張り出してみると、面白いですね。なくなっちゃった会社は出てくるし、
「そうそう、このプロジェクトって、こんなだったよねえ」的な話はいろいろ載ってるし。
Comments
私の駄文を取り上げていただき、恐悦至極です。
私、当時SAC200の方に興味あったんですよ。艦載機の候補に上がっているA-4は、中古取得を前提にしてましたから。実際このやり方で、ブラジルがセコハン空母を戦力化していて驚きました。
Posted by: 名無し二等空士 | Jul 29, 2007 09:04 PM
後で「世界の艦船」にも SAC200/220 の記事が載りましたが、ソースが JDW なので、内容は同じで新味はありませんでした。一応、確認してみたのですが。
このサイズだと、A-4 なら十分に運用可能だと思うんですが、F/A-18 や MiG-29 は無理があるんじゃないのー ? と突っ込みたい気持ちでいっぱいです。ましてや E-2C なんて。
ともあれ、エド・ハイネマン万歳。精密誘導兵器を必要としなくて、相手がまともな戦闘機を持っていなければ、まだ A-4 でも通用するかもしれません (ん ?)
Posted by: 井上 | Jul 29, 2007 09:41 PM
>10 年以上も前の
クレーンでハリヤーをつるして離発艦、給油するというのがありましたね。
アイデア倒れの英国だけある
Posted by: sionoiri | Jul 30, 2007 12:47 PM
アイデア倒れということなら、B-36 とゴブリンのコンビもなかなか…
Posted by: 井上 | Jul 30, 2007 04:58 PM
それより、大石英司さんの空母技術と原潜技術への認識は、あれでいいのはとても思えません。
Posted by: JSF | Aug 01, 2007 08:52 PM
確かに…
とりあえず、カタパルトとアレスティングギアがこんがらかってるのは、どうにかしないと。今度会う機会があったら、話を振ってみますよ。
Posted by: 井上 | Aug 01, 2007 08:55 PM