ロシア・韓国・日本の Military Expenditure
「え、 ヨーロッパで軍事費削減 ?」と「え、 ヨーロッパで軍事費削減 ? (その 2)」の続き。
先週の JDW (25th July, 2007) に "Russian spending gathers pace"
という記事が載っていて、「ロシアの国防支出が 2009 年に、初めて 1 兆ルーブル (393 億ドル) を突破する見込み」
という趣旨の内容でした。そこで、例の SIPRI のデータベースを調べて裏取りしてみました。
ただ、SIPRI と JDW の記事 (のソース) とで、
どこからどこまでを国防予算に分類するかの解釈が違っている可能性があるせいか、数字には食い違いがみられます。なので、
厳密な数字というよりも、増減の傾向を見る資料として扱ってもらえればと。
他国との比較にはドル建ての数字を使うことになりますが、
国内でのトレンドを見るにはルーブル建ての数字が適しているだろうということで、両方並べてみました。
件の JDW の記事によると、今のペースで増加が続けば 2012 年には日本を抜くんじゃないか、というのですが、
実際にどうなるかは分かりません。ちなみに、日本より先にフランス・ドイツを抜く必要があります。
同じ理由で、韓国についてもウォン建てとドル建ての両方を並べています。
以前にも書いたことですけれど、インフレ率の違いや軍種別の重点の違い、装備体系の違い、それにもちろん外交政策も絡んでくるので、 単に金額の多寡だけで「軍事大国だ」「軍事大国じゃない」というのは、公正な見方とはいえません。ただ、 自国通貨とドルの両方で増加が続いているのは、それだけ力を入れている証拠である、とはいえると思います。
Comments
ロシアのドル建ての軍事予算額のグラフがすごいことになってますね。 滅茶苦茶なルーブル暴落だったんだなぁと、つくづく...
こういうグラフで見ると「単にドル建ての予算だけで軍事バランスを議論するのは考え物だなぁ」ということも、よくわかって助かります。
反面、兵器の多くを輸入に頼る国では、ドル建て表示の方が実態をよく表す可能性もありそうで難しいですね。 どこかの経済学者が適当なインデックスを作ってくれると良いですね。
Posted by: H@tokara | Aug 03, 2007 11:18 AM
異なる国同士で比較するにはドル建てにするしかないのですが、そうなると為替変動の影響がモロに出るので、難しいところです。自国の通貨がドルと比べて弱くなったせいで、装備輸入のために予算を増やさざるを得なくなった、なんていう話はありそうですし。
それに物価水準の違いがありますから、さらにややこしいことになりますよね。たとえば、日本とミャンマーでは 1 人あたりの人件糧食費が桁違いでしょうし。
同じ国の中でトレンドを見るには自国の通貨を使う方が適切ですが、これはこれでインフレの問題も絡んでくるので、見た目の数字だけだと勘違いする可能性があって難しいです。
結局のところ、「いろいろな方向から眺めるしかない」という、ありきたりな結論になってしまいます。ふう。
Posted by: 井上 | Aug 03, 2007 12:04 PM