これは酷い防火管理者講習ですね
訳あって、昨日と今日、某所で甲種防火管理者の講習に出てきたんですが、一言でいって「問題あり」だなあと感じました。
特に酷いと思ったのが、講師の人が話す内容に脱線が多すぎるところ。脱線ばかりして時間を冗費するもんだから、「これは重要だろう」と思われるポイントについては、「○○というモノがあります」「テキストを見ておいてください」と、見出しを読み上げる程度ですっ飛ばす始末。これじゃあ、体系立った防火管理のための知識なんて身につきませんってば。
なんでそんなことになるかといえば、早い話が確固としたシナリオの欠如。
防火管理者の講習であれば、
- 防火管理者が必要な理由は何か
- 防火管理者は何をしなければならないのか
- その際に知っておくべきポイントは何か
- その理由は何か
というストーリーをきちんと組み立てた上で、それに沿って話を組み立てて喋らないといかんわけです。その過程で、オーディエンスが居眠りしないように、ときどき関心をひく意味で体験談や脱線に走るのはアリですけれど、体験談や脱線ばかりで肝心の本題が疎かにされたのでは、まさに本末転倒。
かと思えば、講師の人の中には、肝心な話をすっ飛ばしている一方で「(2 日目の最後にやる) 到達度確認テストでは、こんな問題が出ます」なんてカンニングまがいのことを始める人までいる始末。
いったい、確認テストに合格させるのが目的なのか、防火・防災のための知識を備えた人間を養成するのが目的なのか、どっちなんですか > 東京消防庁
講習の中で「防火管理は、形式的なモノに陥ってはいけない」なんていっているわけですけれど、肝心の防火管理者講習が、確認テストに合格させて手帳を交付するための「形式的なモノ」に陥ってるんじゃないの ? と思ってしまいました。
肝心の話をすっ飛ばして「後で本を読んでおいてください」なんていうぐらいなら、最初から、テキストを買わせた上で自習させておいて、後で確認テストだけやって適切な知識がない人を落とせばいいんですよ。これなら半日で済みます。
今回、私が受講したときのような内容では、別に本業がある人間を 2 日間も拘束するに足る内容とはいえないんじゃないかなあと。
他にもいろいろと不手際なところがあったんですが、いちいちあげつらっているとキリがないので、もっとも拙いと思ったところだけ書いてみました。
Comments
ワタシも川崎で7月にその資格取りましたけど、あの講義の内容は確かに「確認テストに合格させるのが目的」と思えます。ワタシの時も講義内容は似たようなモノでした。
ちなみに、先週受けた「乾燥設備取扱主任者技能講習」も、3日間もかけたのに内容はやはり「確認テストに合格させるのが目的」な感じでしたよ。
Posted by: KWAT | Dec 14, 2007 08:43 PM
講習の内容そのものも、書類だとか手続きだとかいう関連の比重が結構大きくて、肝心の「火を出さない対策」がちょいと蔑ろにされている印象がありました。
そのうち、さらに東京消防庁によるウケ狙いの度が加速して「防火ロイド・火元キル」なんてキャラクターを出してこないかと心配です (をひ)
Posted by: 井上 | Dec 14, 2007 09:10 PM
自分も何年か前に受けましたがやはり話が脱線してましたね。
たまの脱線なら多少は面白い話が聞けたなとなるのですが途中から完全に睡魔の虜でした。
講習が上手い講師の話は講義を受けていても楽しいけどねー・・・
今年受けたビルクリーニング講習も退屈でした。orz
技本のシンポジウムは脳の沸点越えてました。w
Posted by: 未だ社員になれないにゃんこ | Dec 14, 2007 09:34 PM
脱線もウケ狙いも、ときどきワンポイントで入れるからこそ意味があると思うのです。
まずは、きちんと組み立てられたシナリオの下で、明瞭な発音で早口になりすぎないように喋ることが、講師として果たすべき最低限の仕事じゃないのかなあ。と、反面教師としての意味合いも込めて感じたのでありました。
Posted by: 井上 | Dec 14, 2007 10:22 PM
大枠で言うところの「合格させるための講義」ではあるのですが、肝心の講習内容はどちらかと言えば常識の再確認みたいな所がありますんで、テストの前に内容をおさらいしているような傾向はありますな、後は結局講師の質次第かなあ、私が受けたのはそれなりに「防火のポイント」「その為に防火管理者は何をするべきか」を押さえてましたかねえ。
睡魔?襲ってきます、後半部分で特にorz
Posted by: ooi | Dec 15, 2007 08:51 AM
>講師の質次第
行き着くところは、それですねえ。ハズレをひいちゃったかな、私。
あまり眠くはなりませんでしたが、しまいには講師の話は半分ぐらいしか聞かないで、自分でテキストを読んでました。その方が頭に入るんだもんw
Posted by: 井上 | Dec 15, 2007 09:37 AM
ウチらの方だと元消防士(あ、天下りの温床だ(マテコラ))が講師だった(制度改正で消防士が講師じゃなくなったンだとか何だとか言ってたな)んですが、実体験に基づくお話は結構生々しいネタが多かったですね、放火への対策と問題点だとかを実例を挙げて話してみたり、どんな火災でも水掛けて消すのはBadでその判断を的確に行うこととか、まあ、脱線が多かったかなあと言う気もしないでもありませんが、それは実際必要なテキストの量から見たらそんな酷くもなかったような、文字どおりテキストを自習して常識の再確認する合間に興味のある話を聞くといった流れになっちゃう傾向がありますから。
ただ、ここは試験に出ると強調する辺りは逆に言えば常識で判断しちゃダメだよ、って辺りのおさらいではなかったかなと、常識で済まないこともあるから気をつけなさいという教育とも言えます。
まあ、ふるい落とすより認定された機関で教育を受けさせたという証明に近いのかなあと思わないでもありませんな、全体として試験ではなくて講習だという点から言っても。
Posted by: ooi | Dec 15, 2007 10:59 AM
うん、そういう話もそれはそれで必要だと思うんですわ。ただ、それはあくまで、基本となる「筋」や「原理原則」をビシッと通した上でやるべきじゃないか、と思ったわけです。
じゃないと、フラグメント化した話題の集合体、組み立てていないジグソーパズルの箱詰めみたいになっちゃうと思うんですよね。
たとえば、「消防計画の内容は、それぞれの事業所の事情に応じて違ってきます」。仰せの通り、そのとおり。
ただしそれならば、「どういったところに違いが出るか」「どの点に注意しなければならないか」をいうべきだと思うんですが、「違ってきます」だけで済ませてしまうのはどうかと。これも、根本にある原理原則に触れていないから拙いわけです。
Posted by: 井上 | Dec 15, 2007 11:46 AM
自分が去年受けた有機溶剤作業主任者の資格取得講座でも
一日目は普通の講義で、二日目はテスト込みの詰め込み授業に近かったですね。
まあ、朝早いのは仕様なんですが、結構眠たかったですね。
Posted by: SCARFACE1 | Dec 15, 2007 12:27 PM
えーと、ひょっとしてこの手の講習はみんな同じ傾向だったりするんでしょうか。なんか、似たような証言がボロボロと出てきているんですが (汗)
Posted by: 井上 | Dec 15, 2007 08:43 PM
>>ひょっとしてこの手の講習はみんな同じ傾向
実はワタシも12年半前に有機溶剤作業主任者技能講習と特定化学物質等作業主任者技能講習を受けているのですが、今となってはテスト対策がほとんどだったような印象が残ってますよ。(^◇^;)
なおワタシの場合、9月に乙種第4類危険物取扱者資格(いわゆる乙四)を取ったのですが、その時の試験勉強で得た知識が防火管理者業務にヒジョーに役に立ちそうです。井上さんも乙四いかがです? 持ってるとひとりでタンクローリーの運転ができたり、ガソリンスタンドでバイトする時に時給がアップしたりしますよ(笑)。
Posted by: KWAT | Dec 15, 2007 11:52 PM
乙4、オススメです
灯油を大量に保管できますよー
あとエンジンオイルとかも
講習。。
中古自動車査定士の講習は、全く脱線が無かったように記憶しています
脱線している時に眠っていた可能性も否定はできないのですが、、
Posted by: 二枚橋 | Dec 16, 2007 01:59 AM
>乙4
ええー、自宅に JP-8 か F-76 を大量に保管する事態に備える、とかいう話ですか ? (爆)
閑話休題。
脱線があってもなくても、押さえるべきポイントをちゃんと押さえていれば構わないと思うのです。それをちゃんとやった上で、効果を上げるため、あるいは時間が余ったとかいう理由で脱線するなら、私もいちいち目くじら立てないんですけど…
よくよく考えると、IT 業界でも「資格試験の過去問題集」なんてのが人気ですから、実はあまり状況に差はないのかも知れません。なんてこった。
Posted by: 井上 | Dec 16, 2007 05:54 PM