戦闘機は自分で作るのが当たり前 ?
ちょいと思い立って、自国で使用している戦闘機について「自国で作って保守している」国がどれくらいあるのか、リストアップしてみました。以前に、駄法螺で有名な誰かさんが、それが当たり前だとかいってたから。
順番はテキトー、カッコ内はメーカー名。なお、自力開発だけじゃなくてライセンス生産も含めてます。そういえば、中東の方に「自分で作った」と主張している国がひとつありますが、無視。
- アメリカ (Boeing, Lockheed Martin, Northrop Grumman)
- ロシア (Sukhoi, MiG)
- イギリス (BAE Systems)
- フランス (Dassault Aviation)
- ドイツ (EADS)
- イタリア (Alenia Aermacchi)
- スペイン (EADS CASA)
- オランダ (Stork Fokker)
- ベルギー (SABCA)
- スウェーデン (Saab)
- トルコ (TAI)
- 日本 (MHI, KHI, FHI)
- 台湾 (AIDC)
- 韓国 (KAI)
- 中国 (いろいろ)
- ブラジル (Embraer) ※AMX のこと
- インド (HAL) ※Tejas のこと
もしも漏れがあったらフォローをおながいします。過去の話は抜き、あくまで現時点の話で。
その昔から、自国で戦闘機を開発・生産できた国って、そんなに多くないんじゃないかなあ。コンポーネントのレベルで生産に関わっている国なら、さらにいろいろ出てくるのですが。
冬戦争の頃のフィンランドやスウェーデンみたいに、やむにやまれず自力開発に乗り出した事例もありましたけれど、現在ではそれはないといえるでしょう。
じゃあ、上のリストに載っていない百数十ヶ国が自国の空を守れないヘタレ集団かというと、そんなことはないわけでして。だから、「戦闘機は自分で作って保守するのが当たり前」なんてことは、下手にいわない方がよいと思ったのでした。はい。
Comments
現代戦、特に航空戦闘は短期間で優劣がはっきり出る傾向にあるようですから、列線に如何に多くの機体を準備できているか、出来るかが重要で、生産設備が機能していても開戦後に着手された最初の機体が進空する頃には、帰趨が決せられていると考えられ、友好国からの完成機やコンポーネントの融通が利く体制の整備が、無駄な軍事費の抑制に繋がると思っていますので、共同開発や生産によって幾重にも関係強化しておくのが詰る所、お得になるのではと。
Posted by: やのちゃん | Mar 15, 2009 01:21 PM
>「自分で作った」と主張している国
エジプト?は過去か
http://hajime.eshizuoka.jp/e264387.html
イスラエルと南アフリカも過去か?
http://www5b.biglobe.ne.jp/~hukumi/air/kfirc2.html
http://jwniche.blog38.fc2.com/blog-entry-171.html
過去の定義は?21世紀に作っているか?
Posted by: sionoiri | Mar 15, 2009 01:39 PM
http://www.koryu.or.jp/Geppo.nsf/54d605669911e341492568bd0046b0ad/2ce6073bbaeacd0c492571560008f614?OpenDocument
F-Xは自衛隊もこれでいいんじゃんと思ってしまう自分が哀しい。台湾も根気があるなぁ。
Posted by: sionoiri | Mar 15, 2009 01:48 PM
>共同開発や生産によって幾重にも関係強化しておくのが>詰る所、お得になるのではと。
同感です。日々の稼働率確保のことを考えると、予備品を十分に確保できる体制をどうやって構築するかが問題で、それが直ちに自国での製造に直結するかどうかはケース・バイ・ケースじゃないかと。
そういえば最近の JDW で、日本の武器輸出三原則が装備品を他国と共同開発する際の足枷になってるんじゃないの、なんて記事が載ってましたっけ。
>過去
「過去」の線引きは、基本的には「いま使っている機体が対象かどうか」かなあと。だから、水子に終わった IAI Lavi みたいなのは対象外のつもりです。
そういえば、インドのところで、ライセンス生産している Su-30MKI を忘れてましたね。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 15, 2009 02:16 PM
「日本みたいな大国が、」戦闘機は自分で作って保守するのが当たり前
と、入れるべきではないかと思う。
Posted by: K | Mar 15, 2009 04:08 PM
二階堂.com が (あっ書いちゃったよ) そこまで考えてるかどうかというと、ちと疑問だったりしますけれど…
イスラエルみたいに、どこに分類したらいいのか、ちょっと悩ましい事例もありますし。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 15, 2009 08:14 PM
北朝鮮のMiG-29がライセンス生産されてるとか言われていた時期もありましたが、結局の所はどうなんですかね。あの国のことはよく分からないのですが、ソビエト崩壊時に技術者が引き上げて生産は出来なくなったとも、その後も生産中とも言われていますが、保有機数は増えているという話も聞きません。
本によってはコンポーネントを輸入しての、ライセンス生産というどちらかというとノックダウン生産じゃないのという記事も見た記憶がありますが…。
Posted by: Almera WRC | Mar 15, 2009 08:55 PM
アルゼンチンとポーランドはもう過去か。
Posted by: さはらあきら | Mar 15, 2009 09:54 PM
>北朝鮮のMiG-29
いいとこノックダウンか、ソ聯から人が来て現地組み立てしていたか、といったあたりが妥当じゃないかと思いますが、推測です。
>アルゼンチンとポーランド
過去ですねえ。以前は自力でなんとかできたけれど、現在では無理、という国は案外とあるかも。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 15, 2009 10:46 PM
自分とこで生産してない国が、特定の一カ国からの輸入に絞っているか、それとも多様な国から輸入してるかのほうが重要な問題の気も。
冷戦時代は、アメリカ系かソ連系の二種類にきっぱり別れてましたけどねえ( ・・)/
Posted by: 緑川だむ | Mar 15, 2009 10:55 PM
考えたらエンジンから機体まで自力で開発出来る国になるともっと少なくなる気が。
スウェーデンにしてもエンジンはライセンス生産ですし、中国はロシアのエンジンの完全コピーは無理だとロシアから見なされている様です。
て考えると米露に仏(一応ラファール)に英はエンジンはRRですけど、タイフーンは共同開発ですよね。(でもそう言い出すとF-35とかPAK-FAの開発形態は…となるから難しいですなあ)
Posted by: 井上さん二人分の重さの男 | Mar 15, 2009 11:29 PM
といっても現実問題、多様なソースを確保できる空軍は、それなりの規模を持つところに限られますからねえ…
ギリシア・インド・台湾みたいに、まるで毛色が違う国の機体を混ぜて使っているところは大変かも。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 15, 2009 11:45 PM
エンジンまで含めると、実質的には米露英仏ぐらいになっちゃうんじゃないでしょうか。第一線で通用するものを作れるという意味では。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 15, 2009 11:47 PM
航空用エンジンや、機体構造で必須の素材を供給できるか?も考えると本当に数が絞られます。
その点で考えると、日本も脱落寸前のように感じています。
Posted by: azuv25 | Mar 16, 2009 01:31 AM
環境基準・国際基準に適合し売って採算のとれる車と、高速で走れる動力分散式の電車と、一方的に落とされない戦闘機を作れる国って随分と限られてるんですねえ。
素材の供給って意味ではかえって日本に優位になるのかもしれないのですが、やはり米露は数をこなしているので製品にするプロセスでの優位性がある気がするのです。
Posted by: 憑かれた大学隠棲 | Mar 16, 2009 03:07 AM
>製品にするプロセスでの優位性
そうなんですよね。個々の要素技術では日本にもいいものがいろいろあるんですけれど、それをひとつの戦闘機という形にインテグレートする段階になると、つらいものがあります。
だから、せめて自国の強みを発揮できる要素技術で磨きをかけるべきだ、というのが私の考えなのですが。それができれば、他国と共同開発するような場面なんかで、発言力が少しは増すでしょうから。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 16, 2009 05:33 PM
この部分に関して言えば、明らかに日本に足りない分野が一つだけあります。それはアーキデザイナーとかインテグレーターとか言われる分野。もっとも、それは個の資質及び押しが大で日本式の組織にはそぐわないところも無きにしもあらずではあるのだけれど。
かといって、この部分が肥大化すると一部国内電機メーカー(民生部門)の様に商品企画の力が滅茶苦茶大きくなって、開発現場は商品企画のいいなり、下手打てば未完成品をリリースせざるを得なくなったり、現場の声無視の無理な開発期日設定をしておいて、それに送れたからといって左回しさせられたりと、こう、恐ろしい状態にはならなくもないので、さじ加減が大事だけれど。ね。
Posted by: あっさむ。 | Mar 16, 2009 09:55 PM
インテグレーターに求められる資質って、どんなのがあるんでしょうね。
パッと考えたのは、用兵側の事情と技術動向の両方に通じていて、かつバランス感覚とマネージメントのセンスを備えていること、といったあたりでしたが。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 17, 2009 12:37 AM
日本の場合は、自動車や家電などにエンジニアが集中していて、そこでは世界最強なんですよね。勝てるところに戦力集中、という非常に正しいやり方。軍事の場合も、買えるものは上手に買ってきてるように思います。
そっから先は防衛ドクトリンと産業政策の双方によって最適な条件は固定されていて、他にやりようがないようにも思えるのです
Posted by: 憑かれた大学隠棲 | Mar 17, 2009 06:14 PM
>家電などにエンジニアが集中していて、そこでは世界最強
>勝てるところに戦力集中
つまり「タフブックは世界を制する」ということですね、わかります (マテ)
冗談はさておき。
デンマークの Terma A/S なんか典型例ですけれど、何か強みを発揮できる分野があれば、それを武器に戦っていくことは十分に可能だと思うのです。はい。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 17, 2009 07:47 PM
ただ、日本の経済規模を考えると一点突破、一芸に秀でる、は許されないような…
武装にしても、何時しか外国さんが作る物が高騰し、散々叩かれたF-2だって大して高くないんじゃ、とか思えるようになりました。真っ新から作ったら平気で200億くらい逝くんじゃ、4.5世代でも。
P-1がかなり上手く行っていますし、ちゃんとリソースなりの時間を割けばインテグレート出来た物が出来ると自信持って良いと思いますよ。持って生まれた器用さ?がある故かもしれません。w
失敗例はリソース配分を間違えたが故。という意味で欲しいのは解っていてかつ強力なプロジェクトマネージャー(物でなく政治、利害関係をまとめられるお方)、の気もします。
Posted by: ぼろねこ2k | Mar 18, 2009 05:54 PM
一点突破が許されなければ、せめて一つずつでも実績を積み上げていくのが、現実的な対応でしょうか。
日本で何かする場合、ついついいつもの習性で無駄を極限までそぎ落としてしまいがちですけれど、特に航空機は長く使う傾向が強まっている昨今。その習性が足を引っ張るかも知れないなあと思うことがあります。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 18, 2009 07:19 PM
航空機で走ルンです、的な作り方が出来ればそれはそれで画期的なんですけどね。^^)
15年サイクルなら勿体ないお化けも出ず、程良く新しい技術を取り入れできますし。
それでも日本は航空宇宙に関してはホント、よーやってるわ、と思いますよ。3千億で中型機2つも形にしてるし。(P-1はBAe146の後釜に是非4発のまま旅客型をw)
まぁ、事戦闘機に関しては始めから勿体ないお化けを魔除けしちゃってるからなー…、結界の中でやりたい放題(大分過去の話になりつつあり、しかも日本には関係有りませんがw)
Posted by: ぼろねこ2k | Mar 19, 2009 06:24 PM
>P-1はBAe146の後釜に
諸元:エンジンの出力と数と全長/全幅
じつは、CV-880クリソツ
# 全長:38m (42.43m)
# 全幅;35m (36.58m)
# 全高:12m (12.04m)
# 発動機:IHI XF7-10 ×4(CJ805−23B)
# 出力:12000lb (5,400kg) ×4(推力7280kg×4基)
縁起でもないとか、我々のグリーンテクノロジーを見よとか、非難は轟々でしょうけど。
Posted by: sionoiri | Mar 19, 2009 06:50 PM
プレスリーの墓前に献上ですね、わかります。
(w
飴参がエレクトラでなくコンベアを選んでいたらP3Cはジェットだったのかもしれないってのがw
Posted by: ぼろねこ2k | Mar 19, 2009 07:37 PM
日本航空が使っていた CV880 のことも思い出してあげてください (え
エレクトラは、旅客機の時は空中分解事故を起こして散々でしたけれど、P-3 になって大成した面白い機体です。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 19, 2009 09:08 PM