[書評]エニグマ・コードを解読せよ
タイトルと中身が、いまひとつ合っていない本でした。
解読の方法論ではなくて、イギリスを中心とする暗号解読現場の裏話コレクションという感じです。それはそれで興味深いのですが、そうなるとタイトルが微妙。
拾いものだったのは、フランスなどで活動していたレジスタンス組織、あるいは敵地の後方に潜入した秘密工作部隊における無線連絡の話。むしろ、こっちの方が興味深かったです。
最後に対日戦の話がいくらか出てきますが、ここに来て急に、怪しげな記述と、しっくり来ない訳語が増えるのが謎。著者・訳者の限界が出たのでしょうか。
本来の意味での「エニグマ解読」の話であれば、サイモン・シンの本に勝るものはないと思います。幸い、今は文庫になったものが出ていますし、買いやすく・読みやすくなったと思います。
Comments
読むのが辛いので積んどくになってますね。まぁ一人がどうしたという話ではなくいろんな人が頑張った、でも組織を作るのには英国の階級制が役立った様な障壁になった様な見たいな話でしたね。
Posted by: sionoiri | Apr 13, 2009 05:03 AM
いろいろな出自の人が入り乱れたせいでギクシャクした、なんていう話は、なかなか興味深いものがあります。でも、いざとなるとそれをやっちゃうところが、大したものだと思いました。
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 13, 2009 08:07 AM
タイトルの本の方ではなく、サイモン・シンの方ですが、古書店で見つけて「井上さんが誉めていたなぁ」と思いつつ買って読んだら、非常な良書でした。
高度な内容を平易に解説するというのは、言うは易く行うは難しの典型だと思いますけど、サイモン・シンは見事にそれをやり遂げてますね。
Posted by: H@tokara | Apr 13, 2009 10:04 AM
ほんと、見事だと思います。あと、「暗号解読」は翻訳がすごくいいです。訳者の力量も大したものだと思いました。
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 13, 2009 11:29 AM