ソースコード開示騒動
一応、表向きの理由としては「セキュリティ対策として云々」ということをいってますけれど、これまでの日頃の行いからして、
「市場を人質にとって、国を挙げてパクリ宣言するものだ」
と思われても言い逃れできないように思えます。
過去に、独自に、あるいは外国の企業を巻き込んで「中国独自規格」を作って、それを広めてパテント代を稼ごうとしては頓挫している事例がいくつもあります。
あと、当初に外国から技術導入してこしらえた製品について「自国開発」と喧伝して批判された事例もいろいろ。Su-27SK の一件なんかがそうですね。アルストームの CEO が怒ってた話もありましたし。
それで、従来の路線がうまくいかないので、業を煮やして強硬路線に転換したんじゃないか、と批判されても仕方ないでしょう、これは。
あるいは、「自分が (やってきた | やろうとしている) のと同じことをされるんじゃないか、と疑心暗鬼になっている」という見方もあり得るでしょう。
目を皿のようにして例外規定を探すか、役人に賄賂を贈って解決するか、中国市場から手を引くか。そもそも、国を挙げてこういうことをするようなところが、安心して商売できる相手たり得るのか、というところから考える必要があるんじゃないでしょうか。
Comments
これは、支那輸出用のモンキーモデルを各社設定しないといけないのかもですね。
デジカメみたいな一般的な民生用機械でも、画像処理やら顔認識やらで、結構高度なテクノロジーが突っ込まれてそうなので、軒並み輸出自粛になるのかな?
Posted by: H@tokara | Apr 26, 2009 11:36 AM
モンキーモデルを作るのが現実的な解決策という気がいたしますが、そうなると今度は、安さが命の中国企業との、血で血を洗う総力戦になりそうでもあります。モンキーモデルを別途作るとなれば、それはそれで開発費がかかりますし。
調子に乗りすぎて中国が他国から相手にされなくなってしまい、結果としておとなしく現実路線に転じるというのが、もっとも好ましい結末なのかも知れません。
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 26, 2009 11:58 AM
> 中国が他国から相手にされなくなって
おそらくそこまで行かないとダメなのでしょうね。
まあ、中国市場の魅力はありますが、自分の生命線まで差し出してまで維持すべきところかと言えば、その企業各々の考え方があるわけで。それぞれのリスクと利益をどうとるのか見物だと考えます。
一体どのような喜劇的な結末を迎えるのか、興味は尽きないですね。
Posted by: へぼ担当 | Apr 26, 2009 12:10 PM
なんか、今の中国政府のやり方を見ていると、自分たちが有利な立場にいる間に獲れるだけのものを見境なく獲っておいて、将来に向けた足場固めをやってしまおう、という焦りのようなものを感じるんですよね。それが当たるか、裏目に出るかは神のみぞ知る、であります。
…おっと、共産国家に神はいないんでしたっけw
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 26, 2009 01:07 PM
これで必死になってやっていた海賊版の取り締まりも、「他の国に文句を言われるから」やっていただけで、別に知財関連問題についてお上のほうだけでも目覚めたわけじゃなかったと。結局上から下まで全部同じ「中国人」でしたと。
Posted by: U.K.Name | Apr 26, 2009 01:52 PM
少なくとも、ソースコードの開示を求めることがどういう意味を持つか、知らずにやっているとは思えないのです。すでに諸外国から反発されているわけですし。
それを承知の上で実施に踏み切るということは、確信犯的だといわれても言い訳は不可能でしょう。この件がどういう方向に転ぶか、注目です。
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 26, 2009 02:22 PM
おや、名古屋の方から葛西大明神の笑い声が聞こえてきましたよ?どうやら東の方を向いて笑っているようです。そういえば、こないだの講演会では中国の悪口を言っていませんでした。一応外向けの口はちゃんとお持ちのようです。
中国の市場レベルなら、バレても問題ない程度の製品しか入ってこない、なんてこともあり得るのではないでしょーか。ついこないだまで金にあかせて最新鋭の買ってたのに、純正品だと20年前レベルにまで落ちた、なんて現象になったら、それはそれで見物ですが。
Posted by: TB&SH | Apr 26, 2009 03:19 PM
何を今更って感が。
そもそもの中国リスクとして、合弁会社しかつくれないのである程度のノウハウが流出する可能性が高い、場合によっては流出したノウハウを元に別会社を作り粗雑なパチモンを製造・流通させるためブランドイメージ自体低下させられてしまう、なんていう話が工場の段階で出ていたため、コア部品に関しては現地で製造することなくアッセンブルという形式で乗り切った事がこの姿勢を生んだことの背景にあることは想像に難くありませんし、その延長線上がこの話になるでしょう。低リスクで海外のコア技術をゲット♪というのがそもそもの世界の工場化の主題ですし。
次はマイコン等のxHDLソースを開示しろと言ってきたとしても、今更驚かないデス。正直なとこ。
Posted by: あっさむ。 | Apr 26, 2009 04:13 PM
>東の方
そういえば、鉄道博物館に行ったら束の新幹線・各形式の模型を展示してあったのですが、端っこの方に置いてあったのが CRH2。なぜか他形式よりも模型のサイズが小さいのですが、後から空きスペースに押し込んだせいなのか、扱いを小さくとどめようとしたのか…
>何を今更
御意。
「粗雑なパチモンを作られるから手を出すな」という話は、以前に本館で、新幹線の対中輸出に絡めて書いたことがありましたっけ。
合弁会社を作って技術移転、とかいう類の話は他国でもありますけれど、何かと問題化する事例が中国でむやみに目立つのは、これはもう体質というか、最初から "狙って" やっているとしか思えないんですよねえ…
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 26, 2009 06:27 PM
そうそう。
このあいだゲラを戻した新しい本でも、中国向けの輸出とパクリ問題について、ちょっと言及してたりします。
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 26, 2009 06:46 PM
製品に組み込むのはオープンソースのクライアントだけにして、すべては日本に置いてある鯖でSaaSとして処理するのです。ネット環境がないと使えない家電は売らないと言う事で( ・・)/
Posted by: 緑川だむ | Apr 26, 2009 08:11 PM
それ、「提供する機能をこちらで利用することに変わりないのだから、SaaS 部分のソースコードを寄越せ」とかいう感じで難癖つけられないですかねぇ…
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 26, 2009 08:28 PM
そういや組み込みでLINUX使ってる家電なんかはソースコードは公開してますけど、あれって知的財産の管理ってどうしてるんですかね。ハードの丸々コピーは完全なパクリですから輸出の時点で制裁を加えられそうですが
Posted by: 憑かれた大学隠棲 | Apr 26, 2009 09:21 PM
OS は分かりますけれど、その上で動いてるアプリケーションもソース公開なんですか ?
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 26, 2009 10:34 PM
どうなんですかね。ダウソしてみてみると面白いかもしれません。ただアプリとはいえたとえばVIERAのソースならVIERA用UniPhierプロセッサにMPEG2-TSを流し込んで処理して、とかリモコンの処理は、みたいなことしか書いてないでしょうから、実質的にパクっても意味がないかと。
Posted by: 憑かれた大学隠棲 | Apr 26, 2009 10:44 PM
このへんの記事からも、「国産機が日本機を上回ってほしい」という願望がひしひしと伝わってきましたからねぇ。デジカメなんて真っ先にパクられそう。
http://blogmag.ascii.jp/china/2008/09/001852.html
それと、バイアメリカンへの意趣返しの意味もあるのかな?などとも思いますが。
Posted by: 73式編 | Apr 28, 2009 04:10 PM
対象になるかどうかは別として、デジタル製品以外でソースコードの公開が大きく影響しそうな商品として「自動車」があると思うのです。
昨今の上級モデルになると、ソースコードの行数だけなら F-22 並みになってきているようですし、当然、そこにはいろいろなノウハウが詰まっているはずですから。
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 28, 2009 04:24 PM
では、トヨタには是非ともヨタハチの復刻版を。iQくらいの値段なら買うぞ。
ナビ関係の付加機能は別として、スタンドアローンで使う制御用コンピューターにセキュリティ対策という名目は、さすがに通用しないとは思いますが。
Posted by: 砂兎 | Apr 29, 2009 08:27 PM
>復刻版
そのネタ、新エントリ用にいただいていきます。
制御用コンピュータの場合、「暴走して人命に危害が及ぶといけない」とかいう屁理屈を持ち出す、に 100 ガバス。
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 29, 2009 08:35 PM
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090429AT2M2902R29042009.html
2010 年 5 月から「政府調達に限定して」実施、という第二報が入ってきました。しかし、「政府調達」って、どうとでも拡大解釈できそうな気がするんですが…
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 30, 2009 12:12 AM
政府調達のみとなると、やはりバイアメリカン条項への報復っぽい気がいたします。
Posted by: 73式編 | Apr 30, 2009 02:14 PM
「バイチャイナ」とかいって保護主義化するよりも、ソースコード開示の方が悪質なように思えてならないのでありますが…
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 30, 2009 04:12 PM