変わった耐震補強
阪神淡路大震災以後、高架橋の橋脚がつぶれる事故を防ぐために、鋼板を巻いて補強するのが一般的になりました。
高架橋だけじゃなくて、地下鉄の駅でも対向式ホームになっているところでは、中間の柱に鋼板を巻いたり、鉄管を追加したり、コンクリートを追加したり、といった補強をやっています。
だから、高架橋を補強しているだけならいちいち驚かないのですが、これはちょっと驚きました。
東北新幹線の小山駅付近です。写真は両毛線ホームのところですが、他の場所も含めて、「鋼板」ではなく、もっと細い鋼材をリング状にして橋脚に巻き付ける補強をやっています。
確かにこれでも同様の成果が得られるはずですが、他と違ったことをやっているのには、相応の理由があるはず。どんな事情によるものなのか、ちょっと興味があります。鋼板を被せるよりも、こちらの方が設置に手間がかかりそうですし。
Comments
北京とかの影響で鉄が高かったから、とか茶々を入れてみる(アホ)
炭素繊維のシート(某市偽装計算書発見嬢(お役人様)のマンション補強法の説明より類推)でもいいでしょうしねえ、それとも鋼の指定なのかなあ(素人意見)
Posted by: 部外者 | Aug 12, 2009 09:51 AM
大阪市立博物館でやっていた特殊材料の展示会(去年でしたが)で、炭素繊維を巻いたコンクリ柱を熱く解説してたおじさんを思い出しましたw
鉄板をまくのに比べて、ボルトで固定できるお手軽さがあるんでしょうけれど、鉄筋と鉄筋の隙間から、圧縮に負けたコンクリが吹き出してこないか心配で心配で……
Posted by: TB&SH | Aug 12, 2009 10:23 AM
私はこういう形を見ると「埃がたまって掃除が大変ぢゃないか」なんて思っちゃうんですが (爆)
確かに、鋼板巻きよりも鋼材を節約できそうです。あと、鋼板だと橋脚を押しつぶす力に対抗する際に曲げ荷重がかかりますが、この形だと引っ張り荷重がメインになるので、強度面で有利かも知れません。
しかし、一定の間隔で正確に取り付けるのは面倒ですし、調達・施工コストの面では、どうかなあと思いました。ひょっとすると、新方式を試行しているのかも知れませんね。
Posted by: 井上@Kojii.net | Aug 12, 2009 11:19 AM
これはRBという形式の耐震補強です。
鋼板巻きよりコストはかなりかかります。
しかし、鋼板巻きは、鋼板の持ち込み、つり上げ等スペースが必要です。
また、工期もそれなりにかかるので、このような線路近接箇所や、駅舎内では不利な工法となります。
そこで、このようなRB工法の耐震補強を行います。
ちなみにRBはリブバーの略であります。
ご参考まで。
Posted by: はて | Aug 12, 2009 03:02 PM
おお、勉強になりました。ありがとうございます。
よく見ると、角のところにアングル材 (?) を配置してボルト止めしてあって、それの位置を 1 本ごとに変えてあるのですね。多分、負荷平準化のためなのでしょうけれど。
確かに施工時の作業スペースは少なくて済みそうですが、間隔を正確に保って取り付けるのは大変そうだなと思いました。
Posted by: 井上@Kojii.net | Aug 12, 2009 07:02 PM
井上様
その通りです。
太い鉄筋をL型に曲げて、ねじを切ります。
隅部はLの曲げ部が当たるところは、板状の金具。
突端部は箱状の金物をあてがいます。
箱の中で、ナットで締めつけます。
脱落、ゆるみ防止のために2重ナットとします。
ピッチは柱の太さ、長さに応じて計算によって導き出されるので、それに応じて施工します。
RB工法でググると何件かヒットしますが、東京武蔵野鉄鋼(現:東京鐵鋼土木)の商品ですので、興味がおありでしたら、サイト等見てください。
役に立たぬ長文でお邪魔いたしました。
Posted by: hate | Aug 12, 2009 10:48 PM
いえいえ、とても勉強になりました。重ね重ね、ありがとうございます。
余談ですが、引っ張りの方が強いんじゃないかという話は、苫田ダムで導入した引っ張りラジアルゲートの話を読んだときに、頭の隅にひっかかっていたのでした。
Posted by: 井上@Kojii.net | Aug 12, 2009 10:52 PM