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Jan 03, 2010

Sea Gripen

あけおめことよろもうだめぽ。

JDW (2009/12/23) によると、Saab がインド海軍からの RfI を受けて、Gripen NG の艦載型・Sea Gripen を提案するという話です。もともとブラジルに提案するつもりで検討していた話を、インドにも持っていくことにした模様。

中の人いわく、「Rafale、F/A-18E/F、F-35 と比較して安いのがメリット。また、もともと短距離離着陸能力を意識している機体だし、F414 は米海軍でも使っているから空母向き」。確かに安いでしょうけれど、これまでに艦上戦闘機を手掛けたことがないメーカーがいきなり提案したものを、どれだけ真に受けてもらえるのか、個人的には疑問です。

なるほど、スウェーデンの運用環境に合わせている分だけ降着装置を頑丈に作っているかも知れませんけれど、ローンチ バー付きの首脚は新たに作らないといけないし、アレスティング フックも必要だし、腐食対策など、艦上運用に独特のノウハウはいろいろあるわけですから。

アメリカ機は別として、ローンチ バー付きの首脚を手掛けているメーカーというと、フランスの Safran Group 傘下、Messier-Dowty があります。でも、ここは Rafale の降着装置を手掛けているメーカーでもありますから、競合製品にコンポーネンツを提供するかというと疑問がありますし。にんともかんとも。

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Comments

 実現性や実用性には疑問符が付きますが、素人には思いつかないような実に面白い発想だと感心してしまいました。
 もしこれで実現したら、ある意味台風の目になるのかも知れませんが、降着装置の強化の他、ローンチ バーやアレスティング・フックの装備。そして何より期待強度の増強など課題は盛りだくさんかと思います。
 その中で軽量俊敏が旨のGripenが何処まで奮闘できるのか、軍ヲタや航空ファンとしての興味は尽きません。

Posted by: へぼ担当 | Jan 03, 2010 03:39 PM

ブラジルも空母はそんなに大きくないからGripen良さそうなんですよね。
インドの場合、MiG-29KとTejasの予定だった筈ですが、Sea Tejas上手い事行って無いのでしょうかねえ?
MiG-29KとSea Gripenて組み合わせもインドらしいですが。RD-33とF414のエンジンが同じ艦ても良いなあ(・ω・)ノ

Posted by: 井上さん二人分の重さの男 | Jan 03, 2010 07:07 PM

あっ、TejasもF404でしたね^^;
(Kaveriエンジンが難産だからなあ)

Posted by: 井上さん二人分の重さの男 | Jan 03, 2010 07:36 PM

そんなCPUがあったようなw<Tejas

軽量で安価な艦載機と、それに併せて最適化された空母、というのは意味で空母と艦載機の破壊的イノベーションを引き起こすのかもしれませんね

腐食の問題とか離発着の時の負担は、陸上の基地に配備する分も含めてSea Gripenを大量調達して、艦上にいる時間を減らすようにローテーションすれば、とは。

Posted by: 憑かれた大学隠棲 | Jan 03, 2010 10:14 PM

> MiG-29KとSea Gripen
 両方とも艦載機としても足が短いように感じますが、インド周辺で陸上基地との併用を考えた場合は、意外によい組み合わせかも知れませんね。
 ただ、空母の機動性と陸上基地による縛りが足かせになるのかも知れませんが、逆の発想として遠征軍指向の米軍とは違った用兵思想が有っても良いように思います。
 ところでイギリスの場合、各地に散らばるチョークポイントの防衛という意味でも、空母の有用性は指摘できるかと思います。しかし、フランス海軍の場合、勉強不足なのでしょうがあの規模の空母の数で何をしたいのか、よく分からないところです。もちろん砲艦外交に並んだ使い方やミニ遠征軍は形成できますが、ご教授いただきたいところです。
 その意味では、航空戦力はDDやDDHでのヘリ運用に特化した海上自衛隊の用兵思想は、比較的分かりやすいところと考えますが。

Posted by: へぼ担当 | Jan 03, 2010 10:32 PM

そういえば、Typhoon 艦載型なんて話が出たことがありますけれど、Saab 単独ではなくて BAE Systems が一枚噛めば、また状況が違ってくるかも知れないですね。どのみちGripen International には BAE も噛んでいるわけですし。

>フランス海軍
世界各地にチョコマカと植民地や拠点を持っている国ですから、陸上基地に頼らずに航空戦力を投入できる「浮かぶ飛行場」としての存在価値を認めているのだろう、ということと、後は「大国の意地・ヨーロッパの盟主としてのプライド」ですかねぇ… (こら)

Posted by: 井上@Kojii.net | Jan 03, 2010 10:54 PM

ミラージュ2000使ってるなら、Rafale買うってのが常道のような気もするんですが……。

……どうせ岸壁の女王なら、機体規模に余裕のあるのを買って陸上運用させればいいのに(ボソッ

Posted by: TB&SH | Jan 03, 2010 11:11 PM

> Sea Gripen
 私個人はすっかりBAE Systems が入れ知恵をした物と考えていました。まあ、真相は続報待ちなのでしょうが、個人的には仏海軍よりも大きな空母を持てない限り、少なくともTyphoon 艦載型よりも向いているような。

> フランス海軍
 ご教授ありがとうございます。確かにご指摘の通り、世界各地の植民地や拠点が念頭なのでしょうが、9割方はプライドだったりして。
 その意味では海上戦力もさることながら、英仏共に侮れない原潜部隊を組織して、核報復能力をそこで担保している割り切りが見えますね。
 まあ、原潜のトータルメンテナンスコストを考えれば、そこまで思い切った考え方をしなければならないのでしょうが、日本国内の原潜待望論者は核保有論者と同じく、ただ待望論だけの視野狭窄に陥っているのが何ともです。
 まあ、だからこそ説得力もなく、海上自衛隊や自衛隊がおかしな方向に行かないのは不幸中の幸いかも知れません。しかし、曲がりなりにも調達本部に籍を置いていた元幹部自衛官が専門誌でデタラメを垂れ流すようでは、意図的な欺瞞情報提供ならともかく、お話し以前の問題と愚考します。

Posted by: へぼ担当 | Jan 03, 2010 11:19 PM

>Rafale
そういえば、インドにもブラジルにも Mirage 2000 があるんですよね。それなら、常識的に考えれば Rafale を買うでしょうねえ。

ただしインドの場合、ここのところ対米シフトが進んでいるので、F/A-18E/F の目もあると踏んでいます。もっとも、AN/APG-79 に関する異様なガードの堅さが足を引っ張る可能性も高そうですけれど。

>原潜
「あればメリットは大きいけれども、現実的に考えてデメリットと比較検討した場合にどうよ」ということで否定的にならざるを得ないのが個人的見解なのですが、それはともかく。

ちょっと穿った見方をすると、現実論ばかりでもアレだしイケイケドンドンばかりでもアレだしということで、編集サイドで意図的に、いろいろな意見を並べてみたのかも知れないですね。技術的な話の正誤についてはまた、別次元の問題ですけれど。

Posted by: 井上@Kojii.net | Jan 04, 2010 11:33 AM

きょうKojiIと、検討すればよかった?

Posted by: BlogPetの⊂⌒~⊃。Д。)⊃ | Jan 04, 2010 03:00 PM

>アレスティング フックも必要だし、腐食対策

今探してみて見つからなかったんですが、
確か簡易移動式の降着装置(移動式の
アレスティングワイヤーを道路に張らせる)
の画像を見た記憶があるんですが。
実用化ではなく試作かもしれませんが
スウェーデンの運用環境を考えると、
そういった装置&運用する機体の降着装置
は艦載機並みの強度があっても不思議は無い気がします。

あと、こっちは完全に推測ですが、冬季は道路に
は融雪剤撒いてる道路から運用することに
なるでしょうから、ひょっとして腐食対策に
ついても考慮されているのかもしれません。

Posted by: とおりすがり | Jan 04, 2010 03:39 PM

そういえば、飛行場の除雪は除雪車だけで済ませているのか、何か薬剤を撒くのか、なんて調べたことがなかったです。

アレスティングギアについては、普通の空軍基地でも緊急着陸用に設置している場合がありますから、それと比較して、どの程度の能力 (=減速度) があるのかがポイントになりそうですね。

Posted by: 井上@Kojii.net | Jan 04, 2010 10:40 PM

原潜ネタは今月号の丸に、日の丸原潜でネタがありましたね。なかのひと(元)は懐疑的、外に出るに従ってママ欲しー、状態だったような。
東芝の4Sでも積んだ、ディーゼルの動力置換型ならともかく、軽水炉はネタでしかないでしょうに。

印度なグリペンは、印度限定ならSTOBARだろうし、降着機まわりの強化で済む、と踏んで居るんでしょうかね?伯剌西爾はもう捨てた、で。

因みに融雪剤も酢酸系ならそれほど腐食しないんですが(ちらっと調べたら千歳では塩化物系から移行計画があるようで)、高い、かなり高いです。
だいたい、地上なんて真水で洗い流せばOK,な発想ですし、そんな馬鹿な事出来ない空母じゃ(除くアメリカw)艦載機を本気でやるならどっかと組まないとどうしょうも無いでしょうね、やっぱ。

Posted by: ぼろねこ2k | Jan 05, 2010 06:45 PM

現場から遠ざかるほどイケイケになるのは、多くの業界に共通する法則なのかも知れませんね。

ちなみにブラジルは、先走り通りに Rafale で決定みたいです。と、昨日到着の JDW に載ってました。
だいたい、アメリカでも F/A-18 でメーカー替えをやったぐらいなんですから、経験があるメーカーが関わらないと、艦上機なんて作れないでしょう。

Posted by: 井上@Kojii.net | Jan 06, 2010 12:16 AM

> 原潜ネタは今月号の丸
 「丸」の名誉のために申し上げますが、愚劣な執筆者のために台無しにしたのは「世界の艦船」2010年2号
http://www.ships-net.co.jp/detl/201002/indexj.html
です。
 中でも「白戸直之退役1佐」執筆の「原子力潜水艦のメカニズム」は技術的に全くお話しにならない、デタラメも良いところ。
 分からないなら分からないに書きようがあるのでしょうが、自己のデタラメな認識の元にリサーチを全くしていないのは明らか。入門書はおろか、各種パンフレットにも書いてあるレベルで間違えているのだから、お話にもなりません。
 読んでいて、頭が痛くなるどころか、このような人間が調達本部にいたのかと考えると、正直ぞっとするところで。
 全く理解していないことはよく分かったから、お願いだから白戸直之氏には「海自OB」を二度と名乗って欲しくないところ。
 あまりにも恥ずかしいので、以前mixiの場でも取り上げたところですが、それを真に受けてデタラメを拡散させないためにも、本格的に白戸直之氏の誤りを徹底的に指摘して批判すべきなのかも知れませんね。
 正直なところ、自衛隊そのものが公の場で侮蔑されたのと同義に感じており、内心で激怒しているところです。

> 東芝の4Sでも積んだ、ディーゼルの動力置換型なら
 ネタですか?
 原潜に東芝の4S
http://www.toshiba.co.jp/nuclearenergy/jigyounaiyou/4s.htm
を持ち出すのであれば、手持ちの詳細な技術資料を元にその非現実性を指摘しますが、お望みでしょうか。

Posted by: へぼ担当 | Jan 06, 2010 12:28 AM

>へぼ担当さん
ネタです、怒らないでください(^-^;
誌名も間違っているし、もうだめぽ orz

それはそうと、よしんば日本の通常型潜水艦に搭載できるような原子炉が出来たところで、それを積んじゃったら原潜そのものですし、防衛上良いことは殆ど無いでしょう。持つことによるデメリットが多すぎますし。

Posted by: ぼろねこ2k | Jan 06, 2010 08:31 PM

>>へぼ担当の方
調達本部は調達業務(契約、納品及びそれに関わる事務仕事)をするところであって、装備品の中身、機構に関するスキルは必ずしも必要としません。出来うるならば知っておいた方が多重チェックも兼ねてより安全な調達ができる。という範囲です。基本は上がってきた要求書を取り纏め、入札ないし公募を実施し、契約、納品された品物の員数チェックをしたあと、品質等のチェックは要求元にぶん投げる。という仕事ですので、そもそも技術的素養を必要としません。ですから、憤るとしたら記事の内容ではなく、そもそも不相応な人にそのような記事を書かせた上、採用した事実になるのではないかな。と思います。

Posted by: あっさむ。 | Jan 06, 2010 10:38 PM

そういえば、DoD では調達業務をアウトソース化したせいでスキルの喪失が問題になってますけれど、あの国のことですから、契約書ひとつ作るのも大変そうですね。

かといって、単純にロー ファームから人を引っ張ってくればいい、ってものでもなさそうですけれど。

Posted by: 井上@Kojii.net | Jan 06, 2010 10:58 PM

> 調達本部の人
 一応、遠縁では関係者の一人ですし、友人にもメーカー側の対応経験者も居ますので、ご指摘の内情は十分把握していました。ただ、その内情に言及するのは「調達本部のお役所仕事」をぶちまけることになるので触れなかっただけであり、調達本部について過大評価も過小評価もしているつもりはありません。
 ただ、私個人が白戸直之氏に立腹しているのは
「分からないなら分からないなりに、書きようがあるはず。それでも書けないのであれば、元幹部自衛官ともあろう者が、こともあろうに海自OBの肩書きを使ってデタラメを書き散らすな!」
と言うこと。
 これについてはご指摘の通り、白戸直之氏の能力を見抜けず、原稿執筆のオファーを出し、ノーチェックで掲載した「世界の艦船」編集部の責任も「幇助」と言う意味で問われるべきです。
 しかし、それ以上に海自OBの肩書きを使った、執筆者たる「白戸直之氏」の責任は重大であり、相応の批判に値すると考えています。

Posted by: へぼ担当 | Jan 07, 2010 01:02 AM

現実問題、事前に能力を見抜けといっても難しい可能性が高いので、むしろ納品後のチェックに手間をかける方が現実的ではないかと思いました。

Posted by: 井上@Kojii.net | Jan 07, 2010 12:24 PM

> 納品後のチェックに手間をかける方が現実的
 仰る通りかと思います。第一詳しい人間が執筆したとしても、変換ミスなどの誤字脱字は避けられませんので、その有効性は高いと考えます。
 一方、この手の専門誌で心配しているのは、その内容の正当性を誰がチェックするのか・出来るのか?と言うこと。まだ、入門書の場合は容易でしょうが、このような専門分野になるとある一定以上の知見を持つことが必要となります。
 願わくば学術誌や論文誌のように査読制度が有ればよいのですが、さすがにそこまでは無理があります。
 例えば井上さんの原稿を誰がチェックできるのか。IT分野はまだ良いとして軍事用IT技術に対して、日本国内で他にまともにチェックできるのは、それこそ本職の方ぐらいでしょう。
 まあ、私自身も人のことは言えず、購読の際の技術的なチェックは論文誌査読並みの精度で厳密に行いますが、これに耐えられる方と言えば同業者ぐらいとなってしまうわけで。
 言うがやすし、でも行うはがたし、と言ったところですが、専門誌において学術論文誌のような論争を行うわけではありませんので、時間的締めきりは厳しいのでしょうが、知り合い等でせめて誰か詳しい第三者の人間を連れてきて、ざくっと一読してもらう
(大概これでほとんどの誤りを取り除けます。取り除けないのは秘密分野ぐらい。)
体制の確立が急務だと考えますが、皆さんは如何お考えでしょうか。

Posted by: へぼ担当 | Jan 07, 2010 07:21 PM

オイラの場合は、国内のその手の雑誌は捨ててます。もうきっぱりと。全体的に見て自腹を切るのに見合うものは少なすぎ、かつ選択肢が少なすぎると考えていますので。軍事研究ですらマトモに読んでる人間は我が社では非常に少ないです。娯楽雑誌扱いですね。信用した方が負けというか、そんなの信用するのは自助努力が不足のせいだ、という見方が多いです。

じゃ、海外の専門誌に書かれているのを全て正しいとしているのか?というと、やはり違います。少なくとも3〜4年くらい著者の記事を出来うる限り徹底的に追い続け、傾向、正しさを評価した後、信用出来る範囲で解説記事を読むという感じですね。

要するに◯◯氏の解説は結構正しかったの「だ」という、遡った評価が多いです。どんな人であっても常に正しいとは限らない。肩書きよりも「過去何をしたか」「今何をしているか」という流れを重視する読み方しかできません。基本的には新人の記事投稿者を全く信用しません。人なりを知っている人ならともかくとして。

トレンドウォッチ系の記事はそういう見方もあるね。的な感じでライト感覚で見てますけどね。事実じゃなくても別に構わない、キャッチーな記事は楽しんで見る。こんな感じ。

Posted by: あっさむ。 | Jan 08, 2010 01:39 AM

Σ(゚д゚lll)ガーン

もっとも、どこの業界でも、当事者と外部メディアの乖離というか、参考になる・ならないの議論ってあるものだと思いますけれど。

中の人にしてみれば、当然ながら公にできない種類の情報がいろいろあるはずで、それが原因で記事の内容が不正確になることもあるでしょう。あるいは、何らかのバイアスがかかって不正確に、ということもあるでしょうし。

なんか、自分の立ち位置をどうするか、考えさせられてしまいました。

Posted by: 井上@Kojii.net | Jan 08, 2010 08:56 AM

内輪で軍事研究を娯楽雑誌扱いするのは、仕方がないと思います。だって、クロスリファレンスが非常に少ないですし。だから、議論していて、その論拠が軍事研究と鼻高々に言われた日には、非常に困る。せめて、その雑誌記事を起点として、色々な視点から検証し、その結果、この程度の範囲ならばほぼ正しいと確信した。という論法ならまだ聞く耳も持つんですが、それを唯一無二の聖典が如く扱われちゃ、鼻で笑うしか無い。という感じなんです。

検証に耐える記事が多いかどうか。媒体(Medium)のメタ部分の評価をもって、媒体ごとばっさと切り落とすことでもしないと、毎年のお布施額wが軽く3000ドル超えてしまって、毎日カップ麺の生活になってしまいますっ。タダですら自腹で論文を購入している身にとっては、そういう仕分けでもしないとキツイのれす(x_x)

Posted by: あっさむ。 | Jan 09, 2010 12:00 AM

市販の雑誌は基本的に一般人向けですから、特に業界関係者が見るには足りない部分が出てきても、仕方ないというか、当然の話ですねえ…

私は自分のことを「テクノロジーと一般人の通訳」だと思ってますが、あくまで視点は一般人向けで、業界向けではありませんし。ううむ。

Posted by: 井上@Kojii.net | Jan 09, 2010 08:42 AM

> 市販の雑誌
 「市販の雑誌」として一括りにするには少し難しいところがあると思います。
 日本国内の軍事系の雑誌の場合、あっさむ。さんが仰るとおり、論拠としては少々厳しいかと思います。私個人が言い出したことですが、論文誌のように査読体制がしっかりしているわけではありませんし、まともな文献引用も出来ていない有様では、信用しろと言われても、その筆者が本当に信用できるかどうかという点に帰着せざるを得ません。
 一方、私個人の専門分野である工学誌の場合、若干事情が異なってきます。
 電機分野で言えばオーム社発行の雑誌にはその正確性、および教科書としての利便性にも定評があります。
 その他、日刊工業新聞社発行の雑誌類も、ページ数の割に大変高価なものではありますが、それなりに出典も明記され、執筆陣もその分野の権威や実績ある実務担当者があたっており、各種論文での引用文献としても十分に実用に耐える正確性を誇っています。
 これは出版界の中の人(編集の人)に伺ったお話なのですが、各種記事やその執筆者の選定含め、編集方針というのは常に問題になるものとのこと。
 まあ、当たり前のお話ですが、出版事業もお仕事ですのでペイしなければどうしようもなく、なかなか理想と現実を合致させるのは難しいとのことです。また、その雑誌それぞれのカラーがあり、萌え系しかり、硬派路線しかり、差別化戦略も相まって。それぞれはそれぞれの持ち味を大切にしたいとのこと。
 その中で如何にあるべきか、というのは難しい問題なのですが、永遠のテーマですね、とは編集の偉い人のお話でした。

Posted by: へぼ担当 | Jan 10, 2010 04:25 AM

> 「テクノロジーと一般人の通訳」
 その路線は全く持って正しいと思います。ただし非常に難しく、だからこそフリーの技術ライターとして食べていけるほどの収入も得られるものと考えます。
 また、視線も一般の人向きで正解でしょう。
 業界の中の人向きに書くのは実は非常に簡単です。
 何故なら難解な概念であっても、それを原語のまま伝えるだけで済みますが、一般の人向きにはそうはいきません。難しい概念をまず自分が完全に理解し、かみ砕いて吸収した上で、一般の方にも読んでもらえるよう、平易で分かりやすい表現としなければなりませんから。
 それでいて一般人から容易に間違いを指摘されないような正確性も求められますので、非常に難しく手間の掛かる仕事であり、その基礎データの提供は行いますが、専門従事者が片手間に出来るような仕事ではありません。
 だからこそ、企業には広報担当者や技術営業担当者が居るわけであり、我が分野でも非常に難しい仕事として認識されており、トップ級のエースが投入されるのが常です。

Posted by: へぼ担当 | Jan 10, 2010 02:21 PM

そういえば以前、2ch のどこだかで「小難しい話題に平易な語り口で切り込むところが云々」って書かれていたことがあったような。

この芸風を、最大限に活用しないといけない場面が発生する可能性が出てきたのですが、どうなりますか…

Posted by: 井上@Kojii.net | Jan 10, 2010 05:46 PM

そもそも、軍備関係で一般誌なんつー物がどのレベルまで成り立つか、…そんなことなかのひとなら、まぁ重々承知でしょう。
いろんなバイアスがかかっているのを上手に排除しつつ、こう思われて居るんだ、を把握、そんな感じかと。

所謂一般向けですと、字数で頑張ってなるべくかみ砕く、と、多少の誤解を承知で丸めた物言いにする、のせめぎ合いだと思います。が、一般向け、と十把一絡げにするには広すぎます、ホント。(自己完結するヲバハン相手に理解させるとか、それはもぉ苦行でw)

つまんない結論ですが、ターゲット層をきっちり据えて、そこに焦点を絞る、なんでしょうね。

Posted by: ぼろねこ2k | Jan 11, 2010 11:49 PM

多分、「興味はあるけれど、あまり詳しくない」から「そこそこ詳しい」あたりが主な想定読者層かなあと考えています。専門家が納得できるものを書けるかというと、それはちょっと (汗)

Posted by: 井上@Kojii.net | Jan 12, 2010 12:05 AM

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