【速報】A400M の費用追加で合意
52 億ユーロの追加が必要とかいう話が出ていた A400M ですが、「20 億ユーロの追加支出 + 将来に輸出が実現できたらその利益で返済する 15 億ユーロ」という話でケリがついたようです。ただ、EADS にしてみれば値切られた格好で、2009 年度の決算には悪材料。
それに、追加の 15 億ユーロは一種の出世払いみたいなもんですから、これ以上の追加受注が得られなければ返済のアテがなくなります。実質的には、この 15 億ユーロも各国が追加負担するのと同義といえるでしょう。
なんにしても、「軍用輸送機市場をアメリカのメーカーに牛耳られていいのか」という殺し文句が出てくれば、追加費用の負担は飲まざるを得ないだろうと思いましたし、実際、それで落ち着くようです。A400M もある意味、政治的色彩が強い航空機開発プログラムですからねぇ…
Comments
政治的色彩が強いにしても、とにかく無事に飛んで、必要とされる能力を発揮しなければお話しになりませんからね。
極めて前途多難でしょうし、国際的なプロジェクト遂行にあたっては教訓としなければならないことが、私個人の仕事面でも同じと考えます。
Posted by: へぼ担当 | Mar 06, 2010 04:49 PM
A400M の最大の問題点は、船頭が多すぎる点にあるのではないか、と個人的には考えております。2-3 ヶ国ぐらいの共同開発案件なら、もうちょっと迅速に意志決定ができたんじゃないかと。
ともあれ、EADS にとってはまだしばらく、辛い時期が続きそうですね。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 06, 2010 06:19 PM
> 迅速に意志決定
仰るとおりですね。様々な問題が発生した際にそれを技術的なレベルで最小限に食い止め、迅速に手を打てることとそうでないことの差は極めて大きいものと考えます。
まあ、政治の思惑に翻弄されるのは私の仕事領域など代表例ですが、そのような合意形成が不可欠な物ほど扱いが難しいことを思い知らされているところです。
Posted by: へぼ担当 | Mar 06, 2010 08:44 PM
政治に翻弄されるのも嫌ですけれど、情実に翻弄されるのはもっと嫌かも。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 06, 2010 10:11 PM
これだけで、実はP-X/C-Xの総開発費超えてるような……。
国産品マンセー、というわけではありませんが、あらかじめ仕様が決まってて、すりあわせる必要がない、というのは幸せなのかも。ありがとう武器輸出三原則(違)
Posted by: TB&SH | Mar 07, 2010 11:29 PM
「ラクダとは、委員会が作った馬である」(うろ覚え) なんて格言 (?) もありますし、ステークホルダーが増えて、さまざまな要求の間で妥協しようとすると、いろいろ難しいんですよねぇ…
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 07, 2010 11:31 PM
欧州のこの手の共同開発って、リスク分散や量産効果を狙っていたはずなのに、必ず途中ですったもんだして転けかけるんですよね。
ユーロファイターの諸々の教訓が生かされて、こういう態勢でやったはずなんですけどね。
Posted by: えいじ | Mar 08, 2010 03:59 AM
共同開発のメリットはおカネの問題が大きいだけに、おカネの問題が絡んで意思統一ができないと、技術的な問題以上に手間取るということなのでしょうね。
F-35 みたいにアメリカが引っ張って他国がそれに付き合う形であれば、アメリカの都合に振り回されるリスクがある代わりに、意思統一ができなくてゴタゴタということは少なそうですが。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 08, 2010 07:38 AM
船頭がしっかりして、かつ現場が船頭の要望に応えられる、だったら良いんですけど、技術的要素をあんまりに見切り発車しちゃうと…
C-2なんてホント平和だ、としみじみ思えますね、飛んでしまった後だと。
Posted by: ぼろねこ2k | Mar 09, 2010 12:50 PM
ただ、機体規模が似ているというだけで「C-2 マンセー・A400M プギャー」ってやるのも、ちょっと痛い感じがします。重量増加で苦労している航空機なんて、それこそたくさんあるわけですし。
もちろん、A400M が「委員会が作った馬」であるのは間違いないのですが。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 09, 2010 03:23 PM
仰るとおりでしょうね。
XC-2も何とか初飛行にこぎ着けましたが、試験飛行を行っているうちに「トラブルがない」ことはあり得ないわけで。今までの苦い教訓や経験を活かし、マイナートラブルが発生しても無事に乗り越えることが出来るよう、応援したいところですね。
そしてXC-2が民間特殊用途に転用できればベストなのですが、そこまでは高望みと言うところ。とにかく無事に開発を終え、部隊配備される日が早く来ることを願う次第です。
Posted by: へぼ担当 | Mar 09, 2010 07:51 PM
ついでに書いておくと、A400M の場合、最近になって「軍用輸送機がこんなに複雑なシロモノだったとは」「固定価格契約で請けたのは失敗だった」なんて発言が出てくるあたり、当事者に見通しの甘さがあったのは否めないかも知れません。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 09, 2010 09:41 PM
まあ「軍用輸送機がこんなに複雑なシロモノだったとは」という発言は分からないでもない(旅客機での経験は何処に行った?)のですが、「固定価格契約で請けたのは失敗だった」というのは「親方AIRBUS」意識が残っているのかも知れませんね。
民間型の方でも様々に補助金を受けて、開発費超過分を補っていたことが指摘されていますが、その点の悪さ加減が凝縮されていたとしか言いようがないところで。
そう言う日本側はライセンス生産他でかなり割高になっていますが、元々高値を見込んでその中に抑える日本企業と、超過した分は平気でツケ払いを頼む欧米企業の差があまりにも顕著に表れているように思います。
Posted by: へぼ担当 | Mar 09, 2010 10:04 PM
A400Mもエンジンは最終的には形になるからまぁ良いんですよ。(楽観的な気もしますがsnecmaだって潰れたくないでしょうから、遅れても形にするでしょう)
何で、機体があんな重量超過になったのか、不思議で不思議で。仮にCATIAとか3D CADを使っているのなら、機体の重量がキログラム単位で推定出来るらしいんですが(直のソースが2ちゃんってのも非常に何ですがw)、どっかで言い出せなかったのかなー、とか、機体そのものの根幹に問題があったの?とか。
C-2も初号機はかなり重量過多との事ですが、2号機以降はそれなり、程度で収まるらしいですし、関係者の努力に感服します、ホント…。
Posted by: ぼろねこ2k | Mar 09, 2010 11:23 PM
誰だって、わざと重くしたくないけれども、できてみるとなぜか重くなってしまう。ものづくりって難しいもんです。
実は新幹線なんかでも、グラム単位の重量統制をやってるんですよね。
Posted by: 井上@Kojii.net | Mar 10, 2010 10:58 AM