最近読んだ本 : 誰も語らなかった防衛産業
「防衛産業ウォッチング」なんていう連載をやっている立場としては、これを読まないわけにはいかないという一冊。
ただ、現場のルポ、意外な裾野の広さについて知らしめる一冊としては貴重だけれども、話が微妙に散らかり気味。体系立てて業界の問題点について語るというにはちょっと食い足りない感じがしたなぁ、というのが正直なところ。
とはいえ、「すべてを国産化し続けるのは難しいから、選択と集中が必要」という主張には同意。ただし個別の話よりも先に、以前にも本館で書いたように、この業界をどうやって維持・育成していくのかという全体戦略を明確に打ち出さないことには…
Comments
> 選択と集中が必要
基本的には同意で、受注ランキングに来る上位社にはおしなべて適用すべきと考えます。しかし、それ以上に支える膨大な協力業者群をどうすべきか、真剣に考える時期かと愚考。
特に一芸に秀でた職人芸の町工場クラスでは、それによる影響が大きすぎ、業態転換を果たす前に消滅の憂き目の可能性が非常に高いため、配慮の必要性が。
もっとも、それ以前に熟練工の高齢化が進んでいるため、自然消滅という可能性も大きく、どちらにしても腹を据えて取り組まなければならないことだけは明らかですが。
Posted by: へぼ担当 | Aug 14, 2010 07:40 AM
煎じ詰めると、町工場でもプライムでも仕事がないと維持できないわけですけれど、単に仕事を確保するだけでなく、先の見通しが立つことが重要でしょう。
それには、まず大戦略を明確に打ち出さないことには。そうすることで、業界を再編成するとか、転廃業するとかいった話が初めて成り立つわけですし。
この本で、いまひとつスッキリしない感じがした一因は、その「職人芸でもっている町工場」に対する思い入れと、予算や数量などといった現実との間で、答えが見えていないもどかしさが感じられたことにあるのかも。
Posted by: 井上@Kojii.net | Aug 14, 2010 08:53 AM