東北における鉄道の復旧順序
「鉄道の将来を案じる政治学者原武史さん (48)」を案じる。 (とれいん工房の汽車旅 12 ヶ月)
そもそも、被災した路線を復旧するときの優先順序って、修復にかかる手間・時間・費用・リソースの問題だけじゃなくて、復旧したことで得られる効果の問題も関わってくるはず。
新幹線や東北本線などの幹線部分を優先するのは、単に沿線住民の足というだけの話ではなくて、広域ネットワークの途絶を防ぐという意味でも必要なこと。
たとえば東北本線が使えないと、北海道から関東、ないしはそれ以南までやってくる貨物列車が困るし。新幹線だって、単に新幹線の沿線だけじゃなくて山形・秋田・弘前・函館あたりまで影響が及ぶのだし。
それに、幹の部分を後回しにして枝葉だけ先に直しても、幹が使えなければ結局は全体が立ち枯れてしまうことになりはしないかと。
あと、三陸沿岸の各路線は、街の復旧がどういう形になるかが決まらないと、手をつけられないでしょう。被災前と同じ場所に駅と線路を造り直してから「街全体を高台に移転させます」なんていわれても困るわけでして。
だから、現状の復旧優先順位は妥当だと思うんですけれどねぇ。
といった話を考えていたときに、ふと気付いたのが仙石線のこと。仙石線が部分的にしか使えない状況だと、ATACS の導入計画に影響が出ないのかな…
と思ったら、対象区間の東塩釜まではすでに運転を再開しているのですね。でも、機材が被災して使えなくなっていやしないかと、やはり気になる今日この頃。
Comments
>仙石線
オペレーション・ソウルトレインだそうです。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110421-OYT1T00511.htm
Posted by: LUCHO | Apr 21, 2011 08:53 PM
気仙沼線の復旧が遅れていて廃線じゃないかと煽っている産経さん。。。→http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110421/biz11042108520014-n1.htm
Posted by: しょうたく | Apr 21, 2011 11:13 PM
瓦礫をどけて線路を直せるようにするだけならともかく、橋の架け直しや各種構造物の作り直しとなると、米軍がパッと助っ人に来て片付く問題じゃないですからねえ… それに、上で書いたような事情もありますし。
去年の秋に志津川のホームから撮った写真が手元にありますけれど、在りし日の記録として公開した方がいいのか、どうなのか。実は悩んでます。
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 22, 2011 12:09 AM
道路も鉄道も、幹線さえ復旧すれば飛躍的に流量が増やせて……と、増やせなければ根性ではこべですかそうですか。こーゆー「耐えてこそ美しい」という発想は、耐える必要のない人から得てしてわいてくるようですが。都知事然り。
>写真
自分としては問題ないと思います。別段、被災地に行って面白半分に何かしたわけでもないですし、もう一度こういう平和な風景を、と思う糧にすればいいのではないでしょうか。
Posted by: TB&SH | Apr 22, 2011 12:20 AM
どこの業界にもいますよね。「艱難辛苦するやつがえらい」って言い出す人。アウトプットが同じなら手間がかからない方がいいし、同じ手間をかけるならアウトプットを増やさないと、と思う私は少数派 ?
写真、何点か公開してみました。今は津波で流されて跡形もなくなった女川駅の写真もあるんですけど、それはまた折を見て。
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 22, 2011 10:28 AM
こう言う時だけ弱者の交通手段、を声高に叫ぶのはもぉ何とも。普段なんかしてましたっけ→大手マスコミ。
阪神淡路大震災での山陽新幹線の復旧までに掛かった時間が84日だったそうで、被害程度を考えれば東北新幹線はかなり速いと思いますよ。
被害程度を考えれば、特に三陸リアス鉄道はこれからでしょう。阪急三宮なんて1年掛かっていますし。
因みに、豪雨等で東北線が止まった時、新幹線は平常運行でした@福島出張。新幹線の凄さとダブルトラックの意味を噛みしめられました。
Posted by: ぼろねこ2k | Apr 22, 2011 12:00 PM
その辺は「とりあえず、いわゆる弱者の味方をしておけば安全」メソッドのなせる技ではないかなあと。
今回、新幹線についていえば阪神淡路大震災の教訓が効いてますよね。橋桁がずれたところはあっても、落下はしていないし。
津波で橋がまるごと吹き飛ばされたのは、もう別次元の問題だし、三陸鉄道の場合にはさらに、復旧費用負担のスキームができないと始まらないし。だから、無事だったところがとりあえず動き出した話を引き合いに出すのは論点が違うと思うのです。
Posted by: 井上@Kojii.net | Apr 22, 2011 01:37 PM