言ってることより言わないこと
F-X がらみの記者会見などに出る機会が多い今日この頃ですが、よくよく考えたら、ひとつの歴史の現場に立ち会ってるわけですよねえ… そこで取材して、何か書いたり喋ったりできるポジションにいるわけで、せっかくのチャンスだから大切にしないと。
その記者会見で重要なのは、「何を喋ってるか」だけじゃなくて「何を喋ってないか」ではないかなあと。戦闘機同士の比較なんかでもいえることですけれど、何にでも長所も短所もあって、いかにして長所を引き出しつつ短所を出さないようにして、かつライバルの短所を突くかがポイント。
それって F-X みたいな商戦でも同じなわけです。特に今回は機種ごとのキャラクターの違いが顕著なので、そこで「何を言っているか」だけでなく「何を言っていないか」に着目するのも、また面白いのではないかと。
Comments
http://www.mod.go.jp/trdi/data/pdf/kouhou/507.pdf
one pf themのレーダーネットワークとして、今度のF-4EJ改代替機のセンサーシステムは、将来のレーダーシステムに組み込まれていませんね。あれは丘の上の馬鹿の話なんでしょうか?壁は厚くて高いですね。
Posted by: sionoiri | Oct 12, 2011 07:00 PM
近くで見ると違うんでしょうけれど、大湊の駅から見上げた J/FPS-5 は「意外と目立たないなあ」という感じでしたね。もっとも、あまり遠方から目立ってしまっても、いい「攻撃の的」になってしまうので、目立たない方が良いですが。
# 必ずしも ARM でだけ攻撃されるとは限りませんし
Posted by: 井上@Kojii.net | Oct 12, 2011 08:09 PM
> 記者会見
原則的に記者会見では
「積極的にPRしたいこと」
「残念ながら言わなければ後々問題になる事が明白な事」
ぐらいの差し障りのない事しか言いません。
勿論、質疑応答ではそれ以上の事を山ほど準備するのは当たり前なのですが、実際はそちらの方が情報の宝庫であり、核心を突く部分の方が多いのは当然の成り行きです。
よく新聞などが「記者会見の垂れ流し(も出来ないのか)」とか言われますが、無能は別として、単なる宣伝文句を未検証で垂れ流すほど記者やデスクのレベルが低いのか?というのが問われるべきでしょう。
実際はよく勉強している専門家でない限り、
「言わなかった事・触れなかった事」
に気がつくのは極めて難しい事です。バックチェックを出来る能力は実務経験者でない限り、相当分難しい事。その点が専門家の存在価値とも言えます。
でも、今回のF-Xの場合、三者三様のPRを行いますから、各々の記者会見・発表内容の要旨をexcel等で書き出して、ボーイングは、BAEは、LMは、という具合に各々対照表を作っていくと、三者三様でのトリプルチェックが働く事になりますので、極めて有効と考えます。
このような機会はそうそう無く、それが露わにするところは極めて意味深いところと思いますので、当然ご存じかと思いますが、強く推奨するところです。
(もっとも石川先生初め皆様は当然ご存じの事であり、行っている事でしょうが、それはご自分の持ちネタを全て吐き出してしまう事になりかねませんので、自重されているのでしょうね。)
Posted by: 担当 | Oct 12, 2011 09:31 PM
追伸
このような場合、聞き手の最低限のテクニックは
1.何を言って、何を言わなかったか、事実関係を明白にする事。
2.そしてその裏取りをする事。
なのですが、その次として、
3.何を言わなかったか、はっきり掴んで質疑応答の際にぶつける事。
4.当然ながら「ノーコメント」とか、「待ってました」とばかり応答がかえってくるか、いずれかですが、相手に「当初言うはずのもの以外のものを聞き出す」事。
5.そのような質問は嫌がられる事も多いのですが、好敵手として捉えられ、一目置かれて得をするケースが意外に多い事。
以上のように「聞くテクニック」は良く言われますが、「最大限聞き出すテクニック」、そしてそれを検証する能力、それが専門家、専門ジャーナリストの役割だと考えています。
(学会の質疑応答と同じです。ただ、専門家、専門ジャーナリストはそれをかみ砕いて伝える、という非常に重要な役割がありますが、それは当然ご存じの事でしょうから、ここでは省略します。)
Posted by: 担当 | Oct 12, 2011 09:43 PM
もちろん、どういう形でやるかはともかく、各社ごとの比較はやってます。オフレコで仕入れたネタもありますけれど、それは当然ながら「字」にできないので内緒。
記者会見の質疑応答だと時間も人数も限られるので、会見の後、あるいは懇親会の席みたいな場面で話をするのも重要。新米で売り出し中の私は、まだその辺の勘所を掴もうと苦労しているところですけれど。
Posted by: 井上@Kojii.net | Oct 12, 2011 09:58 PM
ライセンス生産等のニュースになるとちょっと苛々しますよね。
マスコミさんでは、パーセントしかニュースにならない。大事なのは、何を作らせて貰えて、何は絶対駄目なのかなのに。
Posted by: えいじ | Oct 13, 2011 03:40 AM
でも、AN/APG-79 がライセンス生産不可とかいう話を始めると、記事や尺がいっぺんに 10 倍ぐらいに延びて、しかも内容は意味不明、なんて事態になりそうです。ドンガラよりアンコが大事な時代というのは、報道関係者泣かせですね。専門誌は別ですが。
Posted by: 井上@Kojii.net | Oct 13, 2011 07:59 AM
> パーセントしかニュースにならない
そもそも「部品単位の数」なのか、「契約金額比率」なのか分からない罠。
まあ、防衛省の中の人に対しては、レーダー等枢要な物については「ライセンス生産可否」程度は説明しないと、今回はライセンス生産可否が重要ポイントになっていますので全く提案にならないのですが。
それより井上さんが指摘されているように「ドンガラよりアンコ」の時代。
私の方は各種ソフトウェア、情報の開示程度の方が遙かに重要だと考えます。
以前ソースコード云々が取りざたされましたが、例えば火器完成プログラムにしても、日本国内開発各種ミサイルの装備に対して、日本国内でコーディングできるのか、それとも海外本社メーカーにそれら情報を全て開示してコーディングしてもらうのか。
その他、日本国内独自のローカライズなど、目に見えないけれど非常に重要な部分は多いかと考えます。
Posted by: 担当 | Oct 13, 2011 07:26 PM
ただ、そこはバランス感覚の問題で、「国産品のインテグレーションが容易だから」「国産比率が高いから」という方ばかり優先してもダメだし、逆もまたしかり。すべての要求条件を満たそうとしても現状では無理筋なので、どこを落としどころにするかという問題になるでしょう。
Posted by: 井上@Kojii.net | Oct 13, 2011 10:11 PM
今回の F-X 選定の件、取材側は仰るとおりなのですが、3機種ともハッキリと「問題点」がある訳で、F-X 選定後には選定側(航空幕僚監部?)から、その「問題点」にどう対処するのかを説明して欲しいところですね。それこそが「説明責任」だと思うのですが。
それに、まさか「最新鋭戦闘機を飛ばしていれば良いのだ!」とは言わないと思いますので(ちょっと嫌味)。
Posted by: 観音旭光の両刀使い | Oct 14, 2011 07:15 PM
最近、F-35 を dis るネタの定番になっているスケジュールの件、個人的に思うところはあるのですが、公の場で書くのはちょっとナンなので…
Posted by: 井上@Kojii.net | Oct 14, 2011 10:54 PM