今月のお仕事
「軍事研究」(2012/1 号) では通信関連の連載で JTRS について取り上げてみました。なお、中止が決まった JTRS GMR の代わりに、MNVR (Mid-Tier Networking Vehicular Radio) という計画がスタートしており、RfP を発出したところです。
そのほか、「Jwings」(2012/2 号) で「ファントム延命大作戦」を、「飛行機プラモカタログ 2012」で「各国次世代機の正体」を、それぞれ書きました。
あと、今月は私の記事はありませんが、「エアワールド」に載っていた米空軍の拳銃の話、それと「防衛技術ジャーナル」に載っていた Extended-1553 データバスの記事は、個人的にツボにはまりました。
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Comments
Jwings、凄い! 間に合ったのか。
Posted by: えいじ | Dec 21, 2011 07:30 PM
これは「ファントム延命大作戦」に触手が。JWingは買ったことがないので楽しみです。
Posted by: しまだ | Dec 22, 2011 02:42 PM
ファントムの件にかこつけて「延命改修のイロハ」みたいなタッチで仕上げたので、そういう意味でもお役に立てるんじゃないかと思いますよ。
Posted by: 井上@Kojii.net | Dec 22, 2011 02:56 PM
> 延命改修のイロハ
非常に難しいところですよね。
電子機器の延命改修については、各種近代化改修が進んでノウハウが蓄積されているでしょうが、機械構造的(耐疲労他)な面での延命改修は「リマニュファクチュアリング(再生生産)」をどう行うか、機体開発メーカーならではのノウハウが必要のため、非常に難しいのではと考えます。
一般産業界でも「余寿命診断」というのは当然のように行われますが、それを行うためには「疲労診断」の正確性が何よりものを言い、「どの程度まで寿命を延ばすのか」とのビジョンがないと、却って高く付くように経験しています。
海自C-130R再生機がどうなるかも注目ですし。
<戦闘機よりは、一般論として輸送機の方が尤度は高めであり。信頼性他実績では鉄板中の鉄板のC-130でダメなら、他の機体の方がもっと難しいでしょうが。
(部品調達が…とのお話しもチラホラと…)
個人的にはファントム爺さんに鞭打つより、エンジン信頼性その他の面からも、繋ぎの機体について、真剣に比較考慮した方がよいのかも、とも考えています。
(ファントム爺さんで、岐阜で眠っている機体はありましたっけ?)
BAE経由で英空軍余剰の蛇の目の機体とか、空自でも運用実績のあるF-15などで、砂漠で眠っている機体の内、特に複座機(F-15DJの母機であるF-15Dがベストですが、F-15Bでも…)と妄想すると、それはそれで楽しく、興味深いところです。
Posted by: 担当 | Dec 23, 2011 09:52 PM
個人的には、この期に及んでつなぎの機体には否定的なんですよ。その辺の理由は記事中で書いたのですけれど。
むしろ、そのために使うおカネがあったら、IOT&E 用に F-35 を早めに少し調達して評価試験や要員の育成に使う方が、結果的に「生きる投資」になるんじゃないですかねえ。
Posted by: 井上@Kojii.net | Dec 23, 2011 11:00 PM
> つなぎの機体
仰るとおり「生きた投資」とするには何が一番良いか。短期・中期・長期視点での比較検討と、優先順位付けが一番重要かと考えます。
「IOT&E 用に F-35 を早めに少し調達」でその知見を早期に活かし、フィードバックを掛けられるのであれば、個人的にはそれがベストかと思います。
ただし、至近では
1.F-15J MSIP機の近代化改修
2.F-2A,Bの改修(キャッチアップ)
がそれより喫緊でしょうね。
純減避け難しでF-35Aが多少遅れても、生産・維持(空自内部も当然含む)基盤を確保・向上させる方が優先順位は高いでしょうし。計画通り納入されたとしても、上記は平行して行う必要があるでしょう。
後は、
3.F-15J 非MSIP機の改修(寿命延伸改修込み)
をどうするか。これは「繋ぎの機体」込みでの考慮が必要かと。
もちろん「繋ぎの機体」の導入は兄弟機
(まともな物ではF-15C/Dぐらいしかありませんが)
程度しか割が合わないところで。それなら、非MSIP機改修の方が安く付きそうですが、どの程度の純減・期間なら許容できるのか、を含めた比較検討が必要と考えます。
初めから選択肢外とするのではなく、投資総額とそれによる成果
(個人的にはF-15J近代化改修優先の考えですが)
を冷静に見極めて検討することが重要では、と考えます。
ドンガラよりアンコは、アセットに対しても同様ではないでしょうか。
Posted by: 担当 | Dec 24, 2011 03:18 PM
「1.」と「2.」は当然ながらやるとして、「3.」については Pre-MSIP 機をいつまで使うかに拠るでしょう。多分、2020 年代に入ると飛行時間が設計上限に達する機体が出てくるはずで、その頃には (予定通り行けば) 当座の F-X 分の F-35A は出揃ってる。
そのまま Pre-MSIP の代替を F-35A で継続できれば話は簡単だけれども、予算状況がそれを許すかどうかは分からない。ただ、だからといって Pre-MSIP を延命するとしても、どこまで使うのか、どれくらいおカネをかけられるのか。いずれ代替は必要になるわけですからね。
ただ、Pre-MSIP の補充にするのでも F-4EJ の補充にするのでも、つなぎとして中古 F-15C/D って単純には実現できないんじゃないですか。機体の仕様が同一ではないから、ただ持ってきてポン付けして使えるってものでもないでしょう。
Posted by: 井上@Kojii.net | Dec 24, 2011 07:19 PM
> ただ持ってきてポン付けして使える
仰るとおりですね。
繋ぎの機体の中でももっとも可能性(互換性)の高い中古 F-15C/D であっても、「トルネードやF-16他に比べればまだマシ」というレベルですから。それに本家本元でもそれほど余裕があるのか、というお話しでしょうし。
もっとも、背に腹は代えられないとなる前に、「損益分岐点」は冷静に見積もることが必要でしょうね。
その点、 F-15C/D の機体寿命が倍近くに延びる可能性
(本当かいな?とも思いますが)
が提案されたりする段階で米空軍も同じくでしょうが、延命改修(日本にとっては繋ぎ含み)等と F-35A 導入機数及び時期の再検討になるかと考えます。
もっともそれ以上に、以前ご指摘されたり、論じられてきた日本が F-35A をどう運用するのか?という問いに帰結するのでしょうね。
単なるエアフレームではなく、運用を全く一変することに最大の意義がある F-35A を如何に活かしきることが出来るのか。虎の子・切り札運用にするのか、ワークホースに出来るのか、米海軍と海自とのイージス艦運用の違いと同じくであり、私個人はそちらの将来構想の方がより興味深いところです。
Posted by: 担当 | Dec 25, 2011 12:12 AM
ええと、念のために確認しておきたいのですが、「つなぎとしての F-15C/D」って、何に対するつなぎという意味でしょうか。
F-4EJ の減勢を補うためという意味でしたら、私はそれには反対です。中古 F-4 だろうが中古 F-15 だろうが、仕様が違う機体を持ってくるのは効率が悪い上に、代替機となる F-35A が遠からず入ってくることを考えると、手間ばかりかかって投資が死に金になります。
F-15J の Pre-MSIP でしたら、JDCS(F) を付けるつもりがあるようですから、少なくともショートスパンでの退役はないでしょう。それでしたら、つなぎの機体も何もあったもんじゃありませんし。
Posted by: 井上@Kojii.net | Dec 25, 2011 04:05 PM
> 「つなぎとしての F-15C/D」
私個人の考え(基本的に既存機、特にF-15J近代化改修・JDCS(F)付与改修優先・除くF-4EJ再改修)は別として、「繋ぎ検討対象」は
α.F-4EJ 減勢対応
β.F-15J Pre-MSIP対処(JDCS(F)付与前)
のうち「α.>β.」です。
代替(繋ぎの機体)導入シナリオがかろうじて成立するのは、その上記2つ程度でしょうが、ご指摘の通り両方とも「(現状)費用対効果を考えればネガティブ」でしょうね。また、代替案として比較検討しても、現状(既存機改修)路線がもっとも効果的、との結論は変わらないように考えます(将来情勢の変化の結果変わってくる可能性は否定できませんが)。
ただ、これらのように「現在の路線との比較検討は続け、その路線が正しいことをしっかりと比較検証し、意思決定を行うべき」、というのが私個人の論旨ですので。
現在の情勢では純減避け難し、ですが、それでも現在の路線が「繋ぎ」より良い選択であることを示すこと。その意味では、今回のF-X選定のように詳細は当然別ですが、論点を整理して、それらの得失を明確に示すことが、特に「純減避け難し」の状況では必要と考えます。
以上、先に論旨をはっきりさせれば良かったのですが、申し訳ございません。
Posted by: 担当 | Dec 25, 2011 05:16 PM
個人的には、「F-4EJ をいかにして食い延ばすか」もさることながら、「F-35A の戦力化 (注 : デリバリーではない) をいかにして早めるか」を考えて欲しいなあと思う次第です。それが結果として、純減や戦力ギャップのネガを局限することにつながると思うので。
Posted by: 井上@Kojii.net | Dec 25, 2011 10:11 PM
「あと10年は飛んでやる!!」ワロタ
どこからか、言ってない言ってないのAAが出てきそう。
事故を起こさずに全機退役したら、勲章ものですね。
しかし、あと10年は長いっすね。
まあ、F-35に資源の集中は正しいのではないかと思います。素人ですが。で、素人のできることはファントム爺さんに声援を贈ることぐらいかと。
Posted by: しまだ | Dec 25, 2011 10:44 PM
アップグレード改修や延命改修が意味を持つのは、「まだ当面、それを使い続けるつもりであり、改修によって戦力を維持できる」場合に限られますし。果たして F-4EJ がそれに該当するかというと、「?」だと思うのです。趣味的な見地は全く考えていない発言ですが。
Posted by: 井上@Kojii.net | Dec 26, 2011 09:09 AM