F-35B 導入報道と防衛相の否定発言
「海自が F-35B 導入を検討」というニュースが出て、その後で防衛相が会見の席で否定したんだとか。
この流れからすると「正式決定」ではないにしても、「そうしたいなあ」という話が部内で出て、それで政界・官界・世間の反応を見るために話を流してみたのだとしても、不思議はなさそう。
だからといって、防衛相の否定発言を見て、鬼の首でも取ったように盛り上がるのも考え物。
企業の買収・合併・事業見直しなどに関して、スクープ記事が出回った時点ではとりあえず否定しておいて、後になってスクープされたのと同内容の正式発表が出るパターンがありますよね。政府の関連でも、似たような話はままありそう。
以前に本館で書いたような気がしますけど、スクープされた時点で「ハイそうです」と認めたら、その時点で公式な事実になってしまって、いろいろ影響が出てしまう。ことに企業の場合、株価への影響という問題もあるから。
だから、抜かれた話が事実でも、とりあえず公式発表までは否定しておくのは、よくある話。公式発表っていうのは、それだけ「重い」わけだから。
でも、スクープだったはずの報道が本当はガセネタだったとか、観測気球を掴まされたとか、願望が入り込んでしまったとかいうのも、これまたありそうな話。
そういうわけで、「F-35B 導入検討」の報道で反射的にはしゃぐのも、「防衛相の否定発言」で鬼の首を取ったようになるのも、どちらもいかがなものかと。当初の動向だけを受けて反射的に反応しないで、まずは様子を見るのが無難。
ましてや、そこに個人的な好悪の感情が入り込んで「俺が嫌いな誰某が F-35B 導入報道ではしゃいでいるけど、防衛相が否定会見した。ザマーミロ」なんていうのは、情報の評価に関わる態度じゃないなあと :-p
Comments
>抜かれた話が事実でも、とりあえず公式発表までは否定しておくのは、よくある話。
……ゴホゴホ
某社の合併報道とかありましたねえ。
最近週刊誌で「生き残る企業」とか「株の上がる企業」とかのリスト載せてますけど、川崎重工は見事にハブられてますw。
Posted by: いーの | Jul 18, 2013 09:44 AM
暴露事件なんかが起きたときにも、対応次第では「暴露した話は本物だったのか」となっちゃうので、表向きはすっとぼけるのもひとつのやり方、ではあります。それが通用する場合と、しない場合がありそうですけれど。
その典型例が「イスラエルの核兵器」かも。
Posted by: 井上@Kojii.net | Jul 18, 2013 10:18 AM
イスラエルの核は「公然の秘密」の典型例ですよね。
前にも書いた気がしますけど、F-35Bではしゃいでいる人、disっている人両方とも、間をすっ飛ばして配備前提で話をしている人が多いなあと思いますね。
大綱の変更やら、自衛隊法の改正やら、空自と海自の棲み分けとか、護衛艦隊の(隻数的)縮小やらなんやかやとこなさなきゃならない手続きがいっぱいあるのに……。
それはそうとして、正直、空母がないと、本当に任務がこなせないのかの本質的な問いはどうするんでしょうね。
dis派も賛成派も、そこの議論は置き去り感が……。
Posted by: いーの | Jul 18, 2013 03:19 PM
RDT&E や、とりわけ「戦力化」の話って、なんか軽く見られてるような気がしますよね。それで、KF 誌でああいう連載を始めたわけなんですが。
ぶっちゃけると、海の向こうの中国人と同じで「空母は一流海軍の証」みたいな刷り込みがあるんじゃないでしょうか。動く空母より先に不沈空母の維持と抗堪性向上を、と思う私は少数派なのかなあ。
Posted by: 井上@Kojii.net | Jul 18, 2013 05:58 PM
私も「海上自衛隊の為の空母」ならまだしも
「空母の為の海上自衛隊」には賛成出来かねます。
Posted by: メリッサ | Jul 19, 2013 09:52 AM
全部が全部そうだとはいいませんけれど、中には「空母を保有している日本を愛している人」とか「韓国や中国のネチズンに張り合うには空母が欲しい」とかいうことを考えている人がいやしないか、と思うことがあります。考え過ぎならいいんですけど。
もっとも、空母空母と舞い上がっている中国人民も、似たり寄ったりではあります。
Posted by: 井上@Kojii.net | Jul 19, 2013 09:31 PM
日本みたいな国には、空母の必要性がありませんからね。
今にしてみれば、ひゅうが型の時に22DDHより大型の多目的艦(艦上戦闘機の搭載は無し)にすれば良かったかも知れませんね。
(もっとも、大きすぎて扱いづらいかも知れませんが)
Posted by: メリッサ | Jul 20, 2013 01:49 PM
「ないと困るもの」と「あれば助かるもの」の違いは、近くて遠いと思うのですよね。空母も、それに該当しそうなもののひとつだと思うのです。
Posted by: 井上@Kojii.net | Jul 20, 2013 11:24 PM
日本の場合、大型多目的艦も「あれば助かるもの」に近いのかも知れません(´・ω・`)
(ただ、空母よりは活躍できそうな場面が多い所が、判断に迷う部分です)
Posted by: メリッサ | Jul 21, 2013 01:29 AM
24DDHは20年後は無人機がバンバン離発着してたりして。
リフトエンジンの無人機ってないですよね。費用対効果が合わないのかな?
Posted by: しまだ | Jul 21, 2013 12:59 PM
それだったらF-35BのUCAV型がいいような。実際イージスがあるから空戦させる必要がなく
単なるミサイルキャリアーならF-35BのUCAVでもいいような気がします。
Posted by: Nerazzurri | Jul 21, 2013 05:43 PM
F-35 の無人化って、誰かがアドバルーンを上げただけで、具体的に予算が付いたわけでも開発計画がローンチしたわけでもないですからねえ。それに、「墜とされても惜しくない機体」としては、お値段が高すぎるんじゃないかと。
リフトエンジンが要るのは、VTOL 能力と固定翼機としての高速性能の両立が必要な場合。後者の比重が低ければ、わざわざリフトエンジンなんてデッドウェイトを抱える必要はないわけです。
ただ、MQ-1 クラスの機体の艦上離発着が可能になれば、フラットトップの大型多用途艦にちょっとした打撃力を与える役には立つかも。と思ったけれど、それなら MQ-8C の武装化で済むという説も。
Posted by: 井上@Kojii.net | Jul 21, 2013 06:09 PM
「ないと困るもの」と「あると便利なもの」の違いは費用対効果では計れない領域かなと。(または計算間違いをするから、「ないと困るもの」が「あると便利なもの」と間違えられてしまうとか。)
「墜とされても惜しくない機体」と「墜とされて惜しい機体」の違いは、無人機だと費用対効果である程度の数量化ができるのかな。アラブの油田国家だと許容範囲は高そうですが、普通の国はある程度相場がありそうです。
MQ-9はユニットコストが1300万USDぐらいみたいですね。
F-35BのUCAVは廉価版でも10000万USDは切らないでしょうねぇ。
有人機を力技でUCAVにしちゃうシステムとかあったら、中古のシーハリアーを… いや、陸のF-4も壊れるまで…
Posted by: しまだ | Jul 21, 2013 07:59 PM
つ「QF-4」
無人で飛ばすことはできても、無人で戦わせるのは難しい。そう思います。
Posted by: 井上@Kojii.net | Jul 21, 2013 08:42 PM
>つ「QF-4」
あ゛ー、そんなのがあるんですね。
BAE completes 300th F-4 conversion into QF-4 target drone
http://www.airforce-technology.com/news/newsbae-300th-f-4
これ読むと、離着陸できるんですね。BAEのお仕事で300機のようです。
プロはフルスケールの超音速の標的に使うのね、、、
世の中にはQF-16というのもあるようで、
http://www.airforce-technology.com/news/newsusaf-qf-16-drones
こちらはボーイングのお仕事のようです。
Posted by: しまだ | Jul 21, 2013 10:27 PM
昔は QF-100 だったんですけれど、タネ車ならぬタネ機がなくなって、QF-4 になり、そして QF-16 に… という成り行きに。実は、我が国でも F-104J を QF 化した事例がありますよ。
Posted by: 井上@Kojii.net | Jul 21, 2013 11:15 PM