続・シリア情勢
DOD Focuses on Ending Assad Regime’s Chemical Weapons Use (Defense.gov)
あーあ、DoD の報道官が「化学兵器の使用を止めさせるところにフォーカスする」って明言しちゃった。
もちろん、欧米諸国のどこにも「アサド政権をつぶすところまでやる」と本気で考えている政府首脳はいないでしょう。ただ、「化学兵器使用に対する懲罰的攻撃に止めるのではないか」と思われているのと、当事者がそれを明言するのでは重みが違うわけでして。
こうなると、アサド政権としては「武力でつぶされる心配は要らんな」と判断しても不思議はなさそう。
政権側が「化学兵器を使った」と認めていれば、仮に欧米諸国が武力行使に踏み切ったとして、その後でまた化学兵器を使用することで「欧米諸国の攻撃は無意味だった」というプロパガンダの勝利になる可能性が。
しかし実際には、表向きの説明として政府軍は化学兵器を使っていないことになっているので、攻撃を受けた後で化学兵器を使用すれば藪蛇。「反政府勢力の仕業だ」といっても、それを諸外国が信用するかどうかは別ですし。
一方、反政府勢力からすれば、政権打倒までやるつもりがないことをあからさまにしてしまったような格好なので、「欧米はアテにならない」という結論につながる可能性が高そう。
結局、武力行使の有無は大勢に影響しなくて、今後も政府軍と反政府勢力の一進一退が続いて、たまらないのは一般市民という構図。武力行使をやったとしても、さしあたり「化学兵器の使用を看過しなかったぞ」という示威以上の意味はないんじゃあ…
Comments
>こうなると、アサド政権としては「武力でつぶされる心配は要らんな」と判断しても不思議はなさそう。
“ついうっかり”アサドの宮殿なりを“誤爆”しちゃ駄目なんでしょうか(1回だけならば(ry)?
Posted by: きっど | Sep 08, 2013 04:41 PM
大統領を爆殺したら直ちに政権が崩壊するかという問題と、政権が崩壊したらしたで、その後をどうするのかという問題と。その辺について、先に目処をつけておく必要があるのではないかと愚考いたします。
Posted by: 井上@Kojii.net | Sep 08, 2013 10:22 PM
Maher Assad指揮の4th Armoured Divisionが化学兵器を使用したのかどうか、事実関係が確定してほしいところです。
英国が騒いでいるということは化学兵器拡散の瀬戸際なんですかね。そこら辺の機微がわからなくてもどかしいところです。
Posted by: しまだ | Sep 09, 2013 05:07 AM
この手の話って、誰がどういう立場・どういう動機で情報を流したかが問題なので、第一報だけで反応するのはどうかなあと。いろいろな立場の人がいて、それぞれの立場から自身に有利な状況を作りだそうとして、いろいろやるものですから。だから、急いで結論や真実を求めないで静観する必要も姿勢ではないかと思うのでした。
Posted by: 井上@Kojii.net | Sep 09, 2013 10:05 AM
>思われているのと、当事者がそれを明言するのでは重みが違うわけでして。
9/10のオバマ大統領のAmerica is not the world's policeman.で思い出したのがこの一節。
オバマさん個人がそう思っているのと、それを明言するのでは重みが違うわけでして。
これはひどい!歴史的な失言だと思ったのですが、あんまり大ニュースにならなかったので
自分の方がおかしいのかなと少し熟考していたのですが、
やっぱり歴史的な大失言なのではないかと思います。
世界中の安全保障の枠組みにジワジワと影響を与えるような気がします。
なんかこの政権は言葉のプロではないですね。
Posted by: しまだ | Sep 27, 2013 11:28 PM
これは大失言というべきでしょう。「思っていても言っちゃダメ」の典型例です。スピーチライターや補佐官連中は何やってるんでしょうねえ…
Posted by: 井上@Kojii.net | Sep 28, 2013 09:50 AM