« 領海・領空と EEZ と ADIZ とその他いろいろ | Main | 2013 年 11 月のお仕事・その 4 »

Nov 25, 2013

中国が尖閣上空を監視する手段

中国はどうやって尖閣上空を監視するのだろうか ? (隅田金属日記)

本土の地上設置レーダーで継続的に監視するのは難しい、という指摘。その通りです。といって、早期警戒機はあってなきがごとしだし、それを継続的に進出させて監視するのも負担が大きすぎる話。

これが日本だったら、地べたを押えているから、たとえば JLENS (Joint Land Attack Cruise Missile Defense Elevated Netted Sensor) みたいなのを配備する手も考えられるわけですけれど。

では、監視の手段がまったくないか ? というと、そうでもないかも。

たとえばの話、中華イージスを近隣海域に進出させて、レーダー・ピケットを担当させるとか (爆)

少なくとも飛行機より艦の方が、長期行動や継続的な監視には向いているし、プレゼンスを見せつける効果もあるし。ただ、これはこれで負担が少なくない話だし、緊張を高めるための火種を自ら撒くことにもなるので…

だから、本当にこんな真似をやらかせば、「歴史的ミステーク」(イスラエル首相の台詞か ?) になりかねないところではありますが。あくまで、ひとつの可能性というか、ネタということで書いてみた次第。物事は、一応は反対側から眺めてみて、多様なシナリオを考えてみないと。

|

« 領海・領空と EEZ と ADIZ とその他いろいろ | Main | 2013 年 11 月のお仕事・その 4 »

Comments

日中中間線のリグとか、浙江省にもOTHレーダーはあるでしょう。
大陸をどうするには今回の北京の防空圏は大きいけど、リグを防空するには縦深は浅いでしょう。
>与那国島
http://www.mod.go.jp/j/press/news/2010/06/24a.html

Posted by: sionoiri | Nov 25, 2013 08:25 PM

ええ~ オーストラリアの JORN を見る限り、よほどだだっ広い土地がないと OTH レーダーなんて据え付けられないと思うんですけれど…

それに、周波数帯と動作原理からいって、分解能についても大きな期待は持てないのでは…

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 25, 2013 08:53 PM

 眼だ! 眼で監視するのだ! by沖田艦長

 所で、私は別の所に注目してまして、あの中国側のライン、微妙に日中中間線(日本側主張)を越えて、当然ガス田も越えているようにも見えるのですが。
 だとすると、海自機が定期的にパトロールしているガス田の辺りにも当然出て来るんでしょうね。見えればの話ですが。

Posted by: えいじ | Nov 25, 2013 09:42 PM

ところがどっこい、大昔に所沢、千歳、泡瀬(沖縄)に米軍のOTHレーダーが置かれていたことがあったので、オーストラリアのようなだだっ広い場所が必要だとも言えないかと。

ただ、分解能については、精々「大型機の編隊が探知出来る」程度だったようなので、戦闘機1個飛行小隊程度は探知出来るか微妙・・・。

Posted by: 観音旭光の両刀使い | Nov 25, 2013 09:52 PM

あと、OTH レーダーって HF を使用せざるを得ないから、JORN ほどでなくてもアンテナはそれなりのサイズになりますよね。そんなものをオイルリグに据え付けたら、一発でばれそうな気がします。

>海自機が定期的にパトロールしている

一晩経ってみたら、今回の ADIZ 設定は東シナ海における日米の哨戒機の跳梁を抑え込む狙いがあるんじゃないか、と思えてきました。
フライトプランを出して二次レーダーのトラポンを作動させろということは、「身元を明らかにした機体しか認めない」ということだし、さらに「中国当局の指示に従え」と来れば、フライトプランを出さず、トラポンを作動させていない機体を追い立てるための名目。

となると、真っ先にひっかかりそうなのは、平時からこの界隈を飛んでいて目の上のタンコブになっている、日米の哨戒機ではないのかなあと。

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 26, 2013 07:12 AM

> 一発でばれそうな
OTHレーダーはロンビックアンテナを使うので、オイルリグに置くのは難しいですが、1km平方の土地があれば十分置けます。
頑張れば300m平方程度でも何とかなるかも。ロンビックアンテナは菱形の1辺が2波長以上有れば良いですから。

まあ、OTHレーダーの信号は非常に特徴的なので、電界強度と方向探知で、近づかずにばれそうな。

しかしまあ、今回の一件はいやらしい所で、哨戒機に護衛戦闘機随伴が必要になるとすると面倒が増えてくるし、乗客の安全があるから理解出来るとは言え、JALやANAは早速フライトプランを中国へ出しているし・・・。

Posted by: 観音旭光の両刀使い | Nov 26, 2013 08:09 AM

もちろん、尖閣云々とか実効支配に向けた布石とかいう狙いもあるんでしょうけれど、真っ先に影響が出そうなのは、哨戒機や ELINT/SIGINT プラットフォームなんですよね。これも一種の「アクセス拒否」。

フライトプランを出させて民航機のトラフィックを把握することと、レーダーで全体の状況を把握することで、フライトプランを出していない機体を見つけ出すのは容易になるわけで。そうなると、それは哨戒機や ELINT/SIGINT プラットフォームの可能性が低くないから。

といって、潜水艦ではマストの高さが限られるから、航空機ほど効率的な情報収集ができないし。ううむ。

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 26, 2013 08:21 AM

確かに、尖閣よりは哨戒機対策の方が大きいように思えてきました。
今後、米軍はP-8でしょうし海自はP-1だし、哨戒機が高速化してきて、巡航中は民間の旅客機と区別が付かなくなって来るわけですから。

えいじさんのBlogでどなたかが書いていましたけど、時々、ファイタースウィープかけるとか、同時多発的ADIZ進入とかして嫌がらせして、身の程をわきまえさせるのも面白いかもと思ってしまいました。

Posted by: いーの | Nov 26, 2013 09:13 AM

そそそ、そんな物騒な。むしろ、まず哨戒機を送り込んで、スクランブルに上がってきたところで RC-135 や EP-3 を使って ELINT/SIGINT の入れ食い状態にする方が… (こらこら)

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 26, 2013 03:54 PM

監視できたとしても、ADIZの下の海上の艦船が航空機を発進させたら、ADIZを飛行するわけですが、中国のスクランブル機が到着するまでに着船したら「防御的緊急措置」ができませんね。それとも中国は、東シナ海の大半において、艦載機に飛行計画の提出を求めるつもりでしょうか。

Posted by: 炎暑雪国人 | Nov 26, 2013 10:46 PM

本来、ADIZ は「自国の領空を侵犯する可能性がある正体不明機」を早期にいぶり出すためのものですけれど、「フライトプランの提出やトラポンの作動がない機体はみんな防御的緊急措置の対象」といっちゃうと、御指摘の通りに収拾がつかなくなるんですよね。

そういう観点からいっても、今回の件は、「正体不明機への対処」より「東シナ海は俺の海宣言 & 既成事実作り」と「日米の警戒監視・情報収集活動に対する牽制 & 邪魔」が主な狙いと思えるのです。

そもそも誰が、東シナ海経由で中国の領空に突っ込んで武力行使しようとしていましたっけ ? (苦笑)

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 27, 2013 08:54 AM

そういえば、仮に自衛隊がOTHレーダーを導入するとして、どこに置くのがベストなのでしょうか?
(冷戦時代は喜界島に置く計画があったみたいですけど、現在は情勢が異なりますし)
私自身、中国が台湾に侵攻した時に役に立つのかもしれないな~?と思っている程度の話ですが

Posted by: メリッサ | Nov 27, 2013 12:01 PM

早期警戒の手段ということなら、原理的に分解能の限界がありそうな OTH レーダーよりも、JLENS みたいな空中センサー プラットフォームの方がいいかなあ、というのが私の考えなので、あまり OTH のことは考えたことがありませんでした。すみません。

多分、OTH だと想定監視エリアに近すぎてもダメだと思います。

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 27, 2013 01:11 PM

>OTH
電離層としてどうかは分からないのですが、南西諸島方面を探査するには、北海道という事になると思いますね。
ただ、今の配備状況に当てはめるとして、那覇の5分待機×2と30分待機×2を、五分待機×4にする警報を出せる程度の精度しかないでしょう。

元々は、ウラジオやサハリンあたりから出て来る通商破壊のソ連爆撃機編隊を探知して、迎撃準備を整えるためのものですからね。
ゲリラ的に単機出撃されたら、見逃すかもという話は、当時もありました。

Posted by: いーの | Nov 27, 2013 01:34 PM

そこで「成層圏プラットホーム」を(オヒ

OTHレーダーについては、電離層へ反射させて探知する原理です。更に、ソ連領土のICBMを睨んだ上での、千歳、所沢、泡瀬、喜界島だったので、その位の距離を考えた上で、既に基地があるけど、できれば民間人が近づかない、1km平方の土地が容易に手に入る場所となると、自ずと推測が・・・。

Posted by: 観音旭光の両刀使い | Nov 27, 2013 01:48 PM

千歳だと、東千歳のアレに悪影響が生じないのかなあ、なんてことがちょっと気になりました。土地は充分にありそうですけれど。

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 27, 2013 05:15 PM

沖縄からある程度の距離のある、南鳥島を推薦する人も居ましたけど
言われてみれば、井上氏の仰るとおり
今はもっと便利な物がありますから
そういう意味でも、OTHレーダーの出番は無さそうですね。
皆さん、ありがとうございました。

Posted by: メリッサ | Nov 28, 2013 05:40 AM

話は変わりますけど、早速米軍はB-52を飛ばして来ましたね。

こういうのは、素早いし得意とする所ですね。

発表ではB-52が2機ですが、きっと、後ろから見ているELINT機とかがいたんでしょうし、B-52自身が、下手なELINT顔負けの防御電子兵装積んでますからね。
中国が、空警出して来たら、万々歳か。

Posted by: いーの | Nov 28, 2013 09:27 AM

たとえ早期警戒機が出てきていなくても、一部で報じられたように哨戒機を飛ばしていたのだとすれば、その哨戒機と地上とのやりとりがあったはず。となれば、SIGINT の面でも収穫があったかも知れないですね。

逆に、B-52 が内蔵 ECM を作動させれば情報を「くれてやる」ことになるので、それは差し控えたのではないかと思われます。今回の場合、存在を誇示する狙いがあるから妨害する必然性は薄いし。

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 29, 2013 07:25 AM

あ、いやいや、説明不足で申し訳ない。防御電子兵装は、ESMを想定していました。
確か、機上分析装置を積んで、防御システムオペレータが対応を操作できるようになっていはずです。

Posted by: いーの | Nov 29, 2013 10:31 AM

あ、そういうことですか。爆撃機の ECM 機材になると、そこまでできるのが魅力的。爆撃機をジャミング機の代わりにしては、なんて話が出たレベルですもんね。

Posted by: 井上@Kojii.net | Nov 29, 2013 08:08 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 中国が尖閣上空を監視する手段:

« 領海・領空と EEZ と ADIZ とその他いろいろ | Main | 2013 年 11 月のお仕事・その 4 »