見出しの短縮表記は考え物
たまたま目についた事例で、これ以外にもいろいろと、探せば出てくるとは思うのですが。
「特定秘密保護法案」を「秘密法案」にしてみたり、「防空識別圏」を「防空圏」にしてみたりと、見出しで本来の用語を勝手に縮めてしまう事例が散見された今日この頃。
ただ、縮めるだけでもどうかと思うのに、縮めた結果としてまるっきり意味が違う言葉になってしまうのでは、いらぬ誤解につながりそうでマズいんじゃないかと。特に「防空識別圏」と「防空圏」じゃ、まさに似て非なるもの。
もちろん、見出しの文字数に制約がある中で… という事情は分からんでもないですが、それにしても程度問題。
たまたまそうなってしまったというならまだしも、意図的に誤解させようとして縮めているのだとすれば大問題ですぞ。先に挙げた例の中では、「秘密法」なんかが、まさにそれ。
Comments
井上様
今回、事例に取り上げた短縮表記は、マスゴミの意図的なものが感じられます。
とくに「秘密法案」に関しては、国民に恐怖心を植え付けて、反対させたいという意図が見え見えです。
しかし、尖閣諸島の海保ビデオ流出事件の際、新聞各社の社説はおおむね「尖閣ビデオ流出は許せない」という論調だったものが、今回は「知る権利を守れ」ですからね。
Posted by: ブリンデン | Dec 04, 2013 08:36 PM
確かにそういう見方もできるのですが、確たる証拠がない以上、ここで見出しの件について、当該報道機関を難詰するのは避けておこうと思います。
ただ、海保ビデオのときとの矛盾については、まったくもって御指摘の通り。これは弁明の余地はないですね。
Posted by: 井上@Kojii.net | Dec 05, 2013 06:30 PM
弁明の余地はないとおっしゃっていますがそうでしょうか
批判されている内容には着目せずただ批判しているという点にしか着目していない浅はかな見解だと思います
法というのは一般的抽象的な規範ですから個別具体的な事案における当不当とは大きく問題がことなります
行政権が機密指定を濫用しないようにするシステムがあるかないかは法案においては問題になりますが流出では全く問題になりません
法案では漠然不明確か過渡広汎かは法案では問題になりますが具体的な事案である流出では問題になりません
いつまで機密指定ができるかは法案では問題になりますが今このとき流出したことの良し悪しでは判断されないことです
などなど大きく異なりますよね
Posted by: | Dec 07, 2013 07:47 PM
まず、発端として非公開の決定 (≒秘密指定) があるからこそ、それを流出させるという問題が出ます。公開している情報では、流出もヘッタクレもありませんからね。
そして尖閣の海保ビデオの件で、実際に流出が起きたときには「政府の情報保全体制はどうなっているんだ」という批判が出た。つまり、秘密指定と流出は不可分の関係にあるでしょう。関係者が流出という高位に訴える場面では、秘密指定に対する反対・反発が根底にあるわけですし。
そして海保の件では、件のビデオを非公開にするのは正当だったのか、という批判があった。これは秘密指定の正当性や対象選択の明確性、そして政治的配慮の妥当性に関わる問題。それは今回の法案についてもついて回る話であるわけです。
それに、個別具体的な事案における当不当を決めるに際して、そのベースラインとなる一般抽象的規範としての法律が定められているべきですから (さもないと裁量行政になる)、やはり「法案では問題になるが流出では問題にならない」というところには首肯いたしかねます。
Posted by: 井上@Kojii.net | Dec 08, 2013 07:22 AM