2020 年 9 月のお仕事・その 3 & その 4
お次は「航空ファン」と「Jwings」。なんか「欠陥機説の真偽」というと私が出てくる状況になりつつありますが、今回のお題は V-22 オスプレイ。
過去に発生した 4 件の大事故について、概要と原因と対策について解説するのはお約束ですが、肝心なのはその後のパートかなと。最初はお約束通りに事故率の話から攻めようかと思ったんですけど、それは早々に放棄して、実際に世に出た記事のように路線転換した次第。以前にも「Jwings」で事故に関する解説記事は載りましたけれど、事故に関する解説の後の考察パートでは、今回、独自色をいくらかは出せたんじゃないかと思ってます。
その「Jwings」の方はいつもの「月刊 F-35」ですが、「GAO の報告書で殴られたら GAO の報告書で殴り返す」という展開になってます (苦笑)
Comments
どっちも読んだ。GAOはそれが仕事だしね。件数が公表されるだけでもどこかの国よりマシ。
航空ファンはちょっと驚いた。航空雑誌がこんなネガティブなネタを表紙に刷って、しかもメイン記事にするのは珍しいんじゃなかろうか。
でも、油圧にしてもボルテックスにしても、それあんた達、設計段階からこういう機体のウィークポイントだと散々言われていたのに、なんでもっと時間掛けて設定やテストをしなかったのよ、という気がしてならない。
ちなみに結線ミスの事故が起こったのは1991年の6月だけど、この事故のせいで、9月にテキサスに行った時、実機のデモを見る予定が流れて工場見学になった。あれから30年も経つのに、まだこんな話題が続いてる軍用機も珍しいんじゃなかろうか。
Posted by: えいじ | Sep 26, 2020 04:08 PM
>なんでもっと時間掛けて設定やテストをしなかったのよ
そこが結局のところ、記事中でも書いた「新規カテゴリーの機体、かつ予算をへつられているにもかかわらず導入を急いだ」ことのトバッチリだったんじゃないかと。よその業界でも、似たような話はときどきあると思いますけれど。
テストで何が大変かといえば、テストケースを作ることなんですよね。「不具合が出ませんでした」はあくまで、その当初に設定したテストケースの範囲内であって、そこから漏れた部分については、不具合があるともないともいえない。テストケースを適切に設定して、それに沿ってテストをしないと、不具合はいぶり出せない。
裏を返せば、F-35。あれだけ不具合が指摘されるのは、裏を返せばそれだけテストして、いぢめてるってことです。
Posted by: 井上孝司 | Sep 26, 2020 04:51 PM
>なんでもっと時間掛けて設定やテストをしなかったのよ
先生! F-2さんと737MAXさんが息をしてません!
テストケースで思い出すのは、787のバッテリーですよね。発注者と受注者で、テスト設定(仕様要求)が、権限の谷間に落ち込んでいたという。
それはさておき、テストの話がらみで私が思うのは、最近、米空軍の調達担当次官補(でいいのかな?)が提唱しているデジタル・センチュリーシリーズに、私が懐疑的なのはそれですよね。
8年ごと(?)に新型機って、性能実証とか機能実証とか、どうするんだろう? と。
次官補はデジタルで短縮とかって言ってますけど、SF「未来の二つの顔」に出てくるみたいに、独立した仮想空間を設定して、そこで飛ばすとかでもしないと、画期的に縮めるのは無理ですよね。
それか、ガワとアビオニクスとソフトを全部スパイラル開発可能なものとしてみなすとか、いくつもの新型機を同時並行で試験するとか。
どちらにしても、最終評価は人間が判断する必要があるから、そこがボトルネックになりますよね。
Posted by: いーの | Sep 29, 2020 10:19 AM
まったくその通りです。digital twin の活用で試作や保守管理はいくらか合理化できるかも知れないけれど、試験・評価、とりわけ運用評価・任務適合性評価の部分では、大して貢献できないでしょう。
それに、たとえば「仮想環境で設計してデータを作って 3D プリンタで現場製作」なんていってみても、現場製作した部品の品質管理や保証はどうするんだと。安全に関わるクリティカルなパーツを 3D プリンタで現場製作なんて、おっかなくてやってられません。
まぁ、Gigazine や Engadget あたりが喜びそうなネタを提供する役には立つでしょうけれど。
Posted by: 井上孝司 | Sep 29, 2020 01:31 PM