最近読んだ本 : 海軍技術研究所
久々の読書ネタは「海軍技術研究所」。帝国海軍におけるレーダー開発に焦点を当てて、それと、戦後のエレクトロニクス産業の隆盛の関連をまとめた本。
太平洋戦争については、国家が持っているリソースをいかにして有効活用するかというマネージメントの面で「まずさ」があったと思うし、それは本書でも指摘されているところ。ただしそれだけの問題ではなくて。
たとえば、海外で新しい技術やメソッドが出てきたときに、当初は冷淡でソッポを向いて「相手にしない理由」をせっせと挙げているのに、いざそれがモノになって活躍した途端に「バスに乗り遅れるな」と掌をひっくり返して大騒ぎ。でもスタートが遅いのだから追いつけるはずもなく。そんな根本的体質は、「今も大して変わらないのではないかなあ」という印象。
よく「日本でも○○を発明していた、技術的に遅れていたわけではない」みたいな主張をする人がいるけれども、それって研究室レベルの話でしょ。もちろん、研究室で発明や開発が行われなければ、その先はないのだけれど、「発明する」ことと「実際の製品やシステムにまとめて役立てる」ことの間には大きなギャップがあって。そこを乗り越えるときに重要なのがマネージメントじゃないかと。
ときには「まだ不十分なところもあるけれど、それはこういう工夫で乗り切ろう」みたいな話も必要。すると、最終的に実現しなければならない機能・能力・価値を見据えた上で、何をどう組み合わせればそれを実現できるか、実現のために使えそうな技術はあるか、といったことを考える人がいないと駄目なわけ。
そういう観点からの参考書として意味があるんじゃないかと思った一冊。

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