スキー初心者脱出講座

Nov 20, 2005

足裏感覚

スキーをやっていると、よく出てくる言葉のひとつです。私も師匠に「足裏感覚を磨くように」といわれました。

どういうことかというと。
板を縦方向に滑らせる「切れた状態」と、板を横方向に滑らせる「ズレた状態」では、足の裏に伝わってくる感覚が違います。この違いが分かっていると、滑りながら、「あ、今はどんな状態だな」というのが分かります。慣れてくると、荷重ポジションがどの辺になってるか、あるいは「テール側だけズレてるな」といったところまで分かるようになります。

といっても最初のうちは、どういうときにどういう感覚が伝わってくるのか分かりません。そこで、真っ直ぐ斜滑降したときと横滑りしたときとで、足裏に伝わってくる感覚を比較してみてください。横滑りしているときには、板が雪を押しのけながら横方向に移動しているので、その様子が足裏に伝わってきているはずです。この感覚の違いを覚えておけば、滑りながら板と雪面の関係を知ることができます。

自信がなければ、圧雪したばかりでシュプールがついていないところを滑った後で一旦停止して、後ろについたシュプールと自分の感覚を比較してみるのもよいでしょう。切れているつもりがズレていた、なんてこともあるかもしれません。

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Nov 13, 2005

スピードと遠心力を味方につけよう

今回は「スピードと遠心力」の話です。(タイトルに書いてあるやんけ !)

自転車やバイクで、ゆっくり走りながら車体を傾けて曲がろうとすると、ふらふらしてうまくいかず、転びそうになります。ある程度、スピードが乗った状態で車体を傾ける方が、上手に曲がれます。なぜかというと、スピードが遅いと遠心力が足りないからです。ある程度のスピードを出しつつ車体を内側に傾けることで、遠心力と釣り合いを取るところがポイントです。

ちなみに、曲がるときに内側に傾けるのは自転車・バイク・飛行機・鉄道。外側に傾くのは自動車と船。


おっと、閑話休題。
スキーも、内側に傾けるグループに入ります。もっとも、いわゆる外向傾姿勢で上半身を立てることもありますが、それでも下半身だけ見ると内側に傾いているので、概念としては同じです。

ですから、スピードが上がるとターン運動時の遠心力も増えて、釣り合いがとれます。そのため、傾きを作り出しても転びません。そして、この遠心力が、板を雪面に食い込ませて身体を支える力にもなります。そんなわけで、カービングなんかは、ある程度のスピードがないと駄目なのですね。

スピードを上げると遠心力が増えるということは、いわゆる作用反作用の法則というやつで、雪面から自分の方に向かってかかってくる力、いわゆる外力も増えます。これと板のたわみを組み合わせると、かかってくる力を利用して板を回して走らせる、なんてこともできます。切れ気味のショートターンをやると、この感覚がよく分かります。

そんなわけで、あまりにものろいスピードで滑るのではなくて、ちょっとスピードを上げてみることが上達の秘訣、といえます。ただし、いつでもスピードを落とせる、あるいは止められるということが絶対の前提条件です。止められないのはただの暴走です。

さて。スピードを上げるに際しては、2 つの関門があります。まず、どうやってスピードを上げていくか。もうひとつは、スピードに対する恐怖感の克服。まずは前者から。

◎方法 1: 中・急斜面に行く
そ う じ ゃ な い だ ろ
(,,`゚д゚)≡⊃≡⊃≡⊃)`A゚)ノ、;'.・

◎方法 2 : ズレを少なくする
板がズレると運動エネルギーが吸収されて、スピードが落ちます。つまり、板をずらす量を少なくする、あるいはズレをなくしてレールターンやカービングターンで滑るようにすれば、スピードは上がります。
斜度がない、あるいは雪が重いときなんかは、エッジを立ててカービングする方が、直滑降よりも板が走るような気がします。多分、板と雪が接している面積が少なくなり、摩擦が減るせいだろうと思います。

◎方法 3 : ターン弧を浅くする
深回りはスピードの抑制効果があります。逆に、浅回りはスピードが落ちにくくなります。さらに、ターン弧を縦長にすると、落ちている時間が長くなるので、これもスピードを上げる効果があります。このとき「落差を取る」なんていう表現をすると格好いいですね (違)

◎方法 4: アイスバーンを滑る
そ う じ ゃ な い だ ろ
(,,`゚д゚)≡⊃≡⊃≡⊃)`A゚)ノ、;'.・
アイスバーンはエッジがかかりにくいので、初心者・初級者のうちは避けましょう。

どうしても、初めの頃はスピードに対する恐怖感があります。それは仕方ありません。クルマの運転でも自転車でも同じです。

まずは、緩斜面でそこそこ距離があって、かつ空いているときに、思い切ってチョッカリ大爆走 (いわゆる直滑降) してみるといいかもしれません。安比高原の白樺ゲレンデみたいに、幅が広くて、下に行くほど斜度が緩くなる構成なら最高です。
まず、距離があれば「早く止まらなくっちゃ !」と焦らずに済みます。空いている方がいいのは、衝突事故防止の観点から見て当然ですね。

そして「もう限界」と思ったら、ずらしながらゆっくりターンして、少しずつスピードを落としていきます。それでも駄目ならターンは諦めて横滑りに持ち込みます。緩斜面なら、これで余裕をもって止められるでしょう。

スピードに対する「慣れ」と、「いつでも止められる」という自信。これが、スピードを克服する鍵だと思います。

スピードを上げたときに必要なのが、遅い人のかわし方。基本的には、前をゆっくり滑っている人の後ろを横切るように抜く方がよさそうです。逆に、前方を横切るのは衝突の機会を増やすので NG です。あと、スノボの人は何の予告もなしに、いきなり飛んだり跳ねたり転んだりするので、たとえ後方からでもあまり接近しない方が身のためです。

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Nov 12, 2005

煮詰まったときの練習法

安比のライブカメラを見たら、もう雪は融けちゃってました。この時期だと、まだ仕方ありませんね。

Yeti に通いながら、まずは感覚を取り戻すべく奮闘しておるのですが、ロングターンはともかく、ショートターンがまだ思うようにいきません。昨シーズンの終わりには板がクルンクルン回っていたのに、今はまだ動きが良くありません。挙句、コントロール不能になって暴走しちゃったり (恥)

これに限らず、「どうも思い通りに滑れない」といってヤキモキしてしまうことは、よくあります。でも、焦れば焦るほど、うまくいかなくなるのが世の習い。では、どうすればいいかというと。

まずは易しい条件で、ターン運動なんかを構成する個々のパーツを、ゆっくりと別々に試してみます。たとえばテールコントロールのショートターンならば、まず横滑りしながら交互に押し出し操作を試して、次に上下動を使った荷重・抜重のタイミングを復習して… という感じでしょうか。

また、リフトの上から上手い人の滑りを観察して、自分の滑りと比較してみるのも良いです。どうせリフトの上ではヒマですから、無駄にするのはもったいないのです。リフトの上は、次の滑りに備えたデブリーフィングの時間です。

そして、うまくいったら、パーツを組み合わせてみます。いきなりショートターンが難しければ、まず中回りをやってみて、だんだんとリズムを早めていく、といった具合に。それでうまくいったら、今度は条件を難しくしていきます。斜度をきつくしたり、スピードを上げたり。
もしも途中で詰まってしまったら、巻き戻して易しい段階に逆戻りするわけです。

次回に書こうと思っていますが、スピードが遅い方が易しい、と一概にいい切れない部分があります。プルークボーゲンはともかく、スキッディングのパラレルでも、ましてやカービングでも、そしてショートターンでも、ある程度のスピードがある方がうまくいくのも事実です。
だから、遅すぎず、速すぎないスピードで練習する、という書き方が正解かもしれません。その加減が難しいんじゃないか、と突っ込まれれば、確かにその通りなんですが。

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Sep 06, 2005

スキーに運動神経は大事 ?

そもそも「運動神経」なるものが何を意味するのか、よく分からない訳ですが。それでもひとつだけ、断言できることがあります。

「学校で体育の成績が悪かったからといって、スキーができないということはない」

なにしろ、小・中・高と一貫して体育の成績が良かったためしのない、この私がですよ。いくら 2 シーズンで 50 日以上も出動したとはいえ、「実質 2 年目としてはあり得ない」ほどの上達を遂げて、整地なら自由自在に (?) 滑ってるんですから。

個人的経験に照らして考えると、上達した秘訣は

・師匠の教え方が良かった
・積極的にいろいろな雪質・いろいろな斜面にチャレンジした
・常にうまそうな人の滑りを観察していた
・とことん理詰めで考えた

といったあたりじゃないかと思っています。
で、自分が経験したことをフィードバックして、この blog を書いているわけです。他の人にも、同じようにして早く上手くなってもらいたい、と思って。

もっとも、スキーは体力を使わない、というのは間違いで、使う筋肉はそれなりにあります。特に、私はロングターンよりショートターンが好きなので、脚がパンパンになることはよくあります。とはいっても、基本的には地球の引力を動力源にするわけですから、走ったりモノを投げたりするのに比べれば、体力的ハンデは出にくいでしょう。

だから、「自分は運動音痴だから」といって諦める必要なんて、全然ないんですよ。実は。
昔に比べればマテリアルが良くなって、上達のための敷居は確実に低くなってるし、しかもスキー人口減少のおかげで (おい)、空いててリフト待ちの行列も少ない。かつての、ブームになったときよりもはるかに恵まれた、いい時代なんです。

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いろいろなコンディションで滑ってみよう

「斜面」と一言でいっても、いろいろな種類があります。同じスキー場の同じコースでも、日によってコンディションは全然違います。そのため、簡単なバーンと難しいバーンがでてきます。

それなりにパラレルターンができるようになって、斜面に慣れてきたら、(コブやアイスバーンは論外としても) できるだけ、いろいろな雪質や斜面を体験してみるのも、いわゆるひとつの経験です。

斜度が急になるほど難しいのは当然です。斜度がきつい分だけスピードが出やすいので、スピードコントロールの技術が必要になるし、対応するための余裕時間も減りますから。ただ、斜度だけで難易度が決まらず、雪質や雪面の状態も影響するのが難しいところです。

そこで、簡単と思われる方から難しいと思われる方に向かって、独断と偏見で順位付けして並べてみました。

↑簡単
・圧雪したての新雪 (自由自在)
・普通の圧雪斜面 (まあ自由自在)
・積もりたてで誰も滑っていない新雪 (ときどき足をすくわれる)
・荒らされた後の新雪 (足元が安定しない・コブになりやすい)
・春や雨天のボテボテ雪 (板が走らない・コブになりやすい)
・フラットなアイスバーン (エッジがかからない)
・凸凹ができたアイスバーン (↑+足をとられる)
・柔らかいコブ (…)
・カチンコチンのコブ (……)
・さらに、溝が深くえぐれたコブ (問題外)
↓難しい

当たり前ですが、フラットな方が易しく、凸凹が増えると難しくなります。
まず、凸凹があると、それによって跳ね飛ばされて姿勢が乱れます。それに、好きな場所でターンできなくなるのも問題です。凸の部分でターンするとひっくり返るので凹の部分を狙うわけですが、「あっ、あそこで曲がらなくっちゃ。きゃー」とかいってパニックになったりします。

雪質は軽い方が好ましく、水分の多いボテボテの雪や、春スキーの時期の雪は、重くて抵抗が大きいので滑りにくくなります。板が滑らないと、ずらすのも難しくなり、その分だけ力を入れないといけないせいか、妙に疲れます。(でも、急斜面ではスピードが出にくい分だけラク)
また、アイスバーンではエッジを立てて食い込ませるのが難しいので、スピードを制御するという観点から見ると、難易度は高くなります。ずらしたときにも妙に滑りますから。

下半身で正しく板を操作できず、身体ごと振り回して「贋パラレルターン」をやっている人は、整備された整地の緩斜面なら平気でも、斜度が上がったり、コンディションが悪くなったりすると、たちまち馬脚をあらわします。ホントです。

そこで大事なのは、「ターンの基本は外脚荷重」という、スキッディング系パラレルターンの金言です。これができていれば、多少の凸凹があっても平気です。コブでもなければ、荷重された外脚で、多少の凸凹なら乗り越えていけます。
あと、身体は常にフォールラインに向けて、足が腰の下から大きく外れないようにすると、安定性が高まります。悪雪では身体を安定させることが大事です。

ちなみに、ボテボテ雪で板が走らないという問題。これ、早い時期から強引に、アイスクラッシュシステムの人工雪でオープンするスキー場 (例 : イエティ) にも共通する悩みです。これについては、フッ素に加えてモリブデンとかグラファイトとか、いろいろ配合したワックスを使ってホットワックスをかけると、ある程度、問題を解消できます。ホットワックスの話は、またそのうち。

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ボーゲンはパラレルより難しい

どこのスキー場でもよく見かける風景なんですが、パラレルターンができなくてプルークボーゲンで滑ってる人が、斜度のきつい中級者コースに迷い込んでくることがあります。(本人の意思じゃなくて、連れに引っ張られてきてしまったのかも ?)
で、仕方なく両脚を目一杯広げて、ものすごい「ハの字」を作りながらノソノソと滑っていくわけですが、緩斜面でやるよりも苦しそうです。

よく考えれば当たり前の話で、「ハの字」を作れば、左右の板はそれぞれ違う向きを向くわけです。ついつい、急斜面になると「ハの字」の角度が大きくなりがちなんですが、その状態で斜面に対して斜めに滑ろうとしたら、谷側の脚が落ちて行って股裂き状態になりますって。

以前にも書きましたけど、プルークボーゲンやってるときは、内脚で体重のかなりの部分を支えています。その状態で斜度がきついところに行って、「ハの字」で斜滑降を始めるとどうなるか。体重の大半は内脚、斜面を単位にして見ると山脚に乗っかっていますから、谷脚側のエッジを使ったコントロールなんてロクに効きません。
しかも、そんなときにはビビッて脚を突っ張ってしまうことがほとんどなので、上半身は当然ながら大後傾。下手をしたら、そのまま板だけ勝手に走っていってしまい、アンコントロール状態になって谷脚のエッジを効かせることができず、斜面の下に向かってドリフトアウトしてズルズルドシン。

かといって、その状態の人に、フォールラインに正対してプルークボーゲンで滑れといっても、まずできないでしょう。怖くて足がすくむのが関の山です。第一、斜度がきつくなってくると、斜面に正対して「ハの字」でスピード制御しながら、さらに角付けしてターンしろといっても無理ですよ。

ところが、スキッディングのパラレルターンができれば、左右の脚は揃って一緒に動くので、股裂き状態にはなりません。でもって、外脚にしっかり乗り込んでいれば、エッジ操作によってズレをコントロールすることで、スピードの制御ができます。だから、斜度がきつくなると、プルークボーゲンよりパラレルターンの方が楽なんです。

せめて、シュテムターンをマスターして、外脚に乗り込んで板を押し出せるようにしてから、斜度のきついところに来てほしいなあ… (ボソッ) もっとも、うちの師匠の流儀では、シュテムはやらず、いきなりパラレルに持って行くわけですけど。

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斜度克服の要諦は低いポジションにあり (ビビリ・急斜面克服 4)

斜度がきつくなってくると、誰もが直面する関門があります。
ついつい怖くなって身体が山側に倒れこんでしまい、両脚を突っ張った状態になってしまうんですね。私も経験があります。

でも、以前に書いたように、脚を突っ張って延ばしてしまうと、ますます板のコントロールができなくなってしまうんですね。そこで、斜度を克服するための金言をひとつ。

「斜度がきつくなったら、ポジションを低くする」

つまり、足首と膝をしっかり曲げて、骨盤の位置を低くするんです。上下動の力を借りてターンするときには、やりすぎだと思うぐらいにポジションを低くしてしまうぐらいでちょうどいいです。面白いもので、自分が十分に低くしたつもりでも、傍から見ると全然低いポジションになっていないものなんですよ。
(ただし、上半身は伸ばしたまま。猫背にならないように注意 !)

ポジションを低くとると、利点が 2 つあります。
ひとつは、足首と膝をちゃんと曲げることで板の操作がやりやすくなること。もうひとつは、重心が地面に近付く分だけ安定することです。ポジションを低くとると、結果として目線が地面に近付きますから、足元だけが勝手に走っていって焦る、ということも少なくなります。

で、横ズレを使ってスピードを抑えながら降りていきます。だんだんと慣れてきたら、ターン前半の谷回りで板をブン回さず、自然に回るのに任せると、ターン「弧」になってきます。

あとは、以下の 3 原則を意識することも重要です。(しつこい ?)

・身体はできるだけフォールラインに向ける
・動かすのは股関節から下だけ
・足裏全体に荷重した状態を維持する

身体が板の進行方向に向くと、板が走りやすくなります。だから、フォールラインに向ける方が安定します。ホントです。後傾してカカト荷重になると板が走りだすという話は、以前にも書きました。

ここまで書いてきたことを意識しながら、ターン弧やターンの間隔を調整することでスピードをコントロールすれば、常に安全圏のスピードで降りることができます。それで自信がついたら、少しずつスピードを上げてみます。で、だんだんと斜度のきついところにチャレンジしてみたり、スピードを上げてみたりするわけです。それでヤバイと思ったら、一歩前の段階に戻ればいいわけで。

いきなり、急斜面が滑れなくても当たり前です。段階的に斜面やスピードに慣れていけばよいのです。

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斜度が上がっても横滑りで止められる (ビビリ・急斜面克服 3)

板を操作するコツ、ターン弧を制御するコツをしっかり覚えたら、少しずつ、斜度のきついところに行ってみましょう。

最初は社会の迷惑にならないように、そして上の方から突っ込んでこられないように、コースの端に寄って、まずは真横を向いて横滑りしてみます。そこで大事なのは、どれくらいエッジを立てると滑らなくなって止まるのか、そして、どれくらいエッジを緩めると滑り出すのかを知ることです。斜度がきつい分だけ、エッジをしっかり立てる必要があります。

それができたら、緩斜面で最初にやったときと同様に、(上から誰も来ていないのを確かめてから) 斜滑降でスタート、そして軽くターンさせて停止、という動きを繰り返して、「ヤバイと思っても、いつでも横を向けて止められる」という自信をつけます。これがあれば、安心できるでしょう。
後は、緩斜面で最初にパラレルターンしたときと同じ要領で、ターンと斜滑降を交互につないでいきます。いきなり連続的にターンするのが難しかったら、最初は 2 ターン、次は 3 ターンというように、段階的に発展させればよいのです。

このとき、斜滑降の角度があまり急だと、板がどんどん走っていって焦りますから、私が名付けたところの「アミダくじ滑降」、つまり浅い角度で斜滑降してターンに持ち込み、反対側にぐるーっと回してから次の斜滑降、というサイクルを繰り返します。

ただ、斜度が急になると、谷回り、つまりフォールラインに向くまでのターン前半で板が下に向かって落ちていく度合が高まるので、その分だけスピードが出やすくなります。そこで焦らず、「板を信じて」ずらしながら乗り込んであげれば、板はちゃんと横を向いてきます。
どうしても怖ければ、谷回りのところで股関節を使って、板を「えい、やー」とブン回してしまってもいいでしょう。そのとき、エッジを立てながらカカト側を押し出すように操作すると、板が強くずれてブレーキが効きます (いわゆるテールコントロール)。

慣れないうちは、ターン後半の山回りがターンというより横滑りになってしまい、下に向かってズリズリ動いてしまったりしますけど、それでも制御不能になって暴走するのに比べれば良いです。そこでちょいと角付けを強めてあげれば、エッジが食い込んで真っ直ぐ走り出しますから。
ただ、山回りを引っ張りすぎて板が真横を向いてしまうと、次の谷回りに入れるのが難しくなります。斜め下を向いたあたりで谷回りに入れるように、ちょっと度胸を出してみてください。ずらせばスピードは落ちる、と信じて。

要は、常に板に乗っかってコントロールできていることが大事なのです。

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スピードに慣れよう (ビビリ・急斜面克服 2)

次に、スピードに乗ってもちゃんと止められる、という自信をつける必要があります。
ある程度スピードが乗ったところで、以前に書いた「直滑降から急停止」で板を横に向けて行き脚を止める。次にスタートしたら、今度は反対方向に回りこんで「直滑降から急停止」。これを繰り返すことで、スピードが上がってもちゃんと止められる、という自信を身につけます。

もし、スピードが上がったときに急停止ができなくなって、ズルズル行ってしまった場合、以下の点に注意してみてください。

・外脚 (斜面下側の脚) に乗って、エッジを効かせることができているか
 →エッジが利かないとズルズルいってしまう

・外脚の膝が伸びきった状態になっていないか
 →膝が伸びきっていると、板のコントロールが難しい

・身体が山側 (斜面の上の方) に向かって倒れこんでいないか
 →怖いけど、身体は意識的に谷側に向けること

そもそもこれは、真横に横滑りする方法のバリエーションですから、外脚にしっかり乗り込むことと、体を谷側に向けて立てることが重要です。後者がちゃんとできていないと、板をずらしてスピードを殺すのが難しくなります。もしも自信がなくなったら、停止したままで横滑りをやり直してみてください。
また、後傾してカカト荷重になっていると、横を向いたところで板が勝手に走り出します。これを意識的に練習する場合もあるんですが (某誌で柏木義之デモがやってました)、それはもっと先の段階の話。しつこいですが、今はまだ、常に足裏全体に荷重した状態を維持するように心がけましょう。

いつでも緊急停止できるというのは、とても重要なことです。横合いから人が突っ込んできたり、目の前でいきなり初心者のスノーボーダーがステンと転んだりするかもしれませんから。(どういうわけか、スノボの人って何の予兆もなしにステンと転ぶので、予想がつかなくて怖いんです。だから、スノボの人の真後ろにはつかない方がいいです)

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ターン弧やターンの間隔を変えてみよう (ビビリ・急斜面克服 1)

小学校の算数の授業なんかで「角度」について習ったときには、「30 度」というと、とても緩い傾斜に思えたものです。ところが、スキー場で「30 度」の斜面の上に立つと、とんでもない崖に見えます。いや、30 度どころか、初心者・初級者のうちは 20 度でも大壁です (経験談)。

斜度もスピードも、根本的には慣れるしかないんですが…
そもそも急斜面になると何が怖いかというと、スピードが上がるのに制御できなくなって、あらぬ方向に突っ走るのが怖いわけです。よく初心者の女の子がやってますが、「きゃー、止まれない」というやつですね。

だから、ビビリと急斜面を克服するには、

・スピードに慣れる
・いついかなるときでもスピードを自分の意思で制御できる

の 2 点を身につけることが必要です。もっとも、スピードにばかり慣れてしまって、単なる暴走野郎になっちゃっても困りますけど (それはひょっとして、自分のことか)。

まず、緩斜面で自信を持ってターンできるようになってきたら、同じ斜面のままで少しずつスピードを上げて、板を走らせてみましょう。
スキッディング系のパラレルターンでは角付けが少なく、ターン中は板がずっと横滑りしています。ですから、それによって運動エネルギーが吸収されて、ターンするにつれてスピードが落ちていきます。つまり、ターンしている間にスピードが落ちるのであれば、ターンしている時間を長くとることで、それだけスピードを落とせることになります。

そこで、斜滑降を挟んで左右のターンをきちんと切り替えられるようになったら、だんだん斜滑降の時間を減らして、素早く切り替えられるように練習してみましょう。これで「ターンによる速度制御」になります。
(もしもうまくいかなかったら、もう一度、斜滑降を挟んでやり直し)

逆に、ターンとターンの間に斜滑降している時間が長いと、それだけスピードが上がります。

一方、ターン弧の調整は、股関節を使って板の向きを操作してやることで行ないます。回り方が少ないなと思ったら、回転の内側に板を回し込んであげると、ターン弧が小さくなります (これをスピーディーにやると、ショートターンになります)。逆に、板が回るのを抑えるように操作すれば、ターン弧は大きくなります。

つまり、

・ターンを小刻みに繰り返す
・ターン弧を深くする

といった方法でスピードを落とせますし、逆に

・ターンとターンの間隔を広げて、斜滑降で直進する時間を増やす
・ターン弧を浅くする

といった方法でスピードを上げることができます。

まずは斜度の緩いところで、いろいろ試してみてください。どんどん板を走らせてスピードに慣れるのも、練習のうちです。

なお、スピードが上がってきたときに、急激にエッジを立てないように注意してください。いまどきのカービングスキーは、エッジを立てると一気に「キュン」と回り込んでくることがあるので、びっくりさせられます。特に、短い板、柔らかい板、サイドカーブがきつい板はそうです。常に少しずつ、優しく操作するようにしましょう。

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